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イシュー2
「あと二人かぁ〜」
颯太と清水くんの言葉を全く気にせず、松村くんが言う。
班は六人か五人だ。僕と颯太、清水くんと松村くんとなっている以上、二人組を招き入れるのが妥当だろう。
「三人は心当たりあるか?」
「俺は特に……てかそういうの茂が向いてるから任せるよ」
「僕もお願いします……」
「俺も」
「そうかぁ……」
松村くんはきょろきょろ教室を見回す。大方五、六人のグループになってしまっている。
「おっ! 轟! 小室! ちょいちょい!」
その中で流石の松村くんは見つけたらしい。
彼の声に反応した二人がこちらへやってくる。
轟隆司くんと小室凛くん。殆ど話したことはないけれど知っている。清水くんの前の席の二人。怖い人たちではない。
「オレたちと組まねー?」
「俺らはいいけど……」
轟くんと小室くんは顔を見合わせ、それから僕と颯太、清水くんを見る。
どうやら清水くんとも顔見知り程度らしい。
「去年同じクラスで仲良くなったんだ。ちょうど二人だしどうだ?」
「交友関係広げるいい機会だし、俺はいいよ」
「俺も」
「……僕も」
颯太に半分隠れるようにしながら返事をする。ほぼ初対面だとやっぱり少し緊張する。
「よっし、決まり!」
「他も決まったっぽいな……」
清水くんが周りを見やり、壇上に上がる。
清水くんの指示でクラス全員が手分けして班の人数ごとに机をくっつける。そしてそれぞれの班のメンバーが固まって座った。
僕も颯太と僕の席が向かい合うように動かした。そのまま座るので颯太とは隣同士になれなかった。でも清水くんが隣に座ってくれたから少し安心。
すると突然、上履きの先をツンツンされる。そっと視線を上げると颯太と目が合って微笑む。
「行き先を決める時間だけど、まずは軽く自己紹介か」
話し出すにも話せない微妙な雰囲気に清水くんが先陣を切った。
すると松村くんがビシッと片手を挙げた。
「そうだな。オレは松村茂。サッカー部。言わなくてもみんな知ってるか!」
たははっと松村くんが笑う。その屈託のない声に思わず笑い声を漏らす。
そのおかげでその場の雰囲気が緩んだ。
意図的ではない久志さんみたいな人だ、松村くんって。
「なに、名前と部活言う感じ? 俺は清水蓮。サッカー部。よろしく。はい、渡来」
「あっ、渡来亜樹……です。部活は入ってません。よろしくお願いします」
「亜樹、敬語じゃなくてもいいと思うよ。俺は間宮颯太。同じく部活は入ってない。よろしく」
ぐるっと反時計回りに順番が回ってくる。緊張するから敬語になるのは致し方ない。
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