386 / 961
イシュー3
そして颯太まで行けば次は轟くんと小室くんだ。
「面白い班になりそうだ。俺は轟隆司。部活は硬式テニス。よろしく」
「おれは小室凛。部活はたかちゃんと同じ硬式テニス。よろしく〜」
轟くんは真っ黒な短髪でよくいる高校生らしい見た目。小室くんは比較的長めの紺色寄りの黒髪で、垂れ目で常に笑っているような人。
「たかちゃんって呼ぶな」
「嬉しいくせに〜」
「うるせえ、阿保」
「うわ、ひどーい」
轟くんが、たかちゃん。なんか可愛い。
そう思われるから轟くんは嫌がるのかな。でも文句を言いつつすごく楽しそう。二人はとても仲良いんだってよくわかる。
「仲良いんだな、二人とも」
「幼馴染なんだ」
「ただの腐れ縁だけどな」
「おもしれーやつらだろ! 二人とも!」
松村くんが自分が褒められたかのように誇らしげに叫ぶ。一番面白いのは松村くんだと思うけれど。
目の前の颯太を見れば同感の様子。
そこから机の中心の方へ視線を戻すと、小室くんとばっちり目が合ってしまった。
何か喋った方がいいのかと思ったけれど、小室くんはへらっと笑って緩く手を振ってきた。
こんな近距離で? いや、そもそもなんで?
そうは思ったけど手を振り返してみる。
「凛……なにやってんだよ」
「渡来くんと間宮くんとずっと話してみたかったからさ〜」
「まあそうだな。仲良くなりたいってこいつと話してたんだ」
小室くんの柔らかい笑みと、轟くんの爽やかな笑みが僕らに向けられる。
仲良くなりたいと思ってくれていたのか。だから誘われたらすぐに了承した……のかな?
そんなことは今までないから嬉しい。
「好意は嬉しいね、亜樹」
「あっ、うん。ありがとう……」
「なんか照れる〜」
「自分から言ったんだろ」
「やっぱおもしれー! テンション上がってきたな! なっ!」
「はい、座れ。茂」
清水くんが拳を握って立ち上がる松村くんを席に引きおろす。それにみんなが笑う。
この時点でも楽しい班だ。旅行も楽しみ。
「自己紹介も済んだしそろそろ決めるぞ」
清水くんの言葉で今日決める班行動の行き先を決め始めた。
時々二者面で抜ける人が出る中、順調に話し合いは進んでいった。そもそも殆どがクラス別行動なので行き先だけなら楽だ。あとは移動手段とか時間を考えるだけ。
「渡来、次」
「うん、わかった」
そうして授業も終わりに近づいてきた頃、二者面に呼ばれる。
授業内に呼ばれて少し安心だ。出席番号が最後の人って何かと不都合がある。
みんなに言葉をかけて教室の外へ出た。
ともだちにシェアしよう!