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いざ沖縄2

集合十分前に学校に着く。もう殆どの人が到着しているようだ。そのせいで集合場所の校庭は人でごった返している。 もうこれでは誰がどこにいるかなんてわかったものではない。 先生たちもクラスごとに並べ〜だったり、静かに〜だったり、色々な指示をしているけれど、生徒たちはばらけたままだ。 「とりあえず俺らのクラスがどこか……」 「あそこ?」 人の群れの中で手が上に伸ばされている。指の本数がちょうど僕らのクラスである一。清水くんかもしれない。 「そうかも。亜樹ついてこれる?」 「んー……うん」 「ほら、おいで」 颯太が僕を庇いながら人混みの中、その手の元まで連れて行ってくれる。 誰もが今から行く場所のことを話しているから僕らのことなんて見ていない。そもそも人混みが苦手すぎて、周りを気にする余裕もない。 なんとか人の間をすり抜けて行くと、やはりその手は清水くんのものだった。同じクラスの人がちらほら集まっている。 「清水くん、おはよう」 「おお。間宮、渡来。朝から見せつけんなよ」 「えっ、や、そんな……」 清水くんが手を上げたままニッと笑う。 見せつけて……、そう、見えるんだろうか。いや、僕らの関係を知る人だけだと願いたい。 「冗談だよ。楽しもうな、渡来」 清水くんは僕の手を握って上下に振る。その手を見て、また清水くんの顔を見て。 「うんっ……」 「俺も楽しみだな、清水くん」 すると颯太がするりと僕から清水くんの手を奪ってぎゅっと握る。にこやかな笑顔はいっそ恐ろしいかも。 いつも颯太はこうだ。清水くんも多分わざとやっているのだろう。 颯太だって何の気もない清水くんにいちいち対抗心を燃やさなくてもいいのに。 「ほら、班ごとだから自分のところ行け」 「はーい」 「七班だよね、颯太」 「うん」 一番最後の班だからまた人混みをぬって後ろへ行く。すると松村くんや轟くん、小室くんの姿が見えた。最初からここに向かえばよかったのかもしれない。 「渡来〜! 間宮〜! おっはよう!」 「おはよう、松村くん」 「おはよう」 松村くんは旅行だからかいつにも増して明るかった。 「おはよう〜二人とも」 「わっ!? こ、小室くん?」 松村くんに気を取られていたら背中に急に体重を感じる。首を回せば正体は小室くんだ。僕より少し高いくらいの身長の小室くん。肩に顎を乗せられる。 要するに小室くんに抱きつかれている。急にスキンシップが激しくなったのにも、颯太の反応にも焦る。

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