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ひと騒動のマリンブルー4
「綺麗な海だと水も気持ちーな!」
「それただの勘違いじゃない?」
「うるせーな、小室!」
「茂は馬鹿だからな」
「むっ!」
松村くんが足でバシャバシャ水を蹴り上げていると小室くんが笑う。松村くんはキッとその顔を睨んだ。そして清水くんに言われると今度はそっちに。
「とりゃっ!」
「うわっ」
そして仕返しとばかりに松村くんが小室くんの顔に海水をかけた。思い切り口に入ったようで咳をしている。
でもこれあれだ。テレビとかで見かけるやつ。みんなで笑い合うやつだ。
「わーたらい!」
「へ?」
「そい!」
「わぷっ」
外からその様子をニコニコ眺めていたら僕にまで海水が襲う。
顔を拭って松村くんを見ると何かを待つ顔。
……やり返してもいいのかな。
「こういう時は来いよ!」
「あっ……うん! えい!」
松村くんがニッと笑うから真似してバシャッと水をすくった。
「うぇっ!」
加減がわからなかったせいで顔だけじゃなく髪とかワイシャツも濡らしてしまったようだ。
僕が一人で慌てていると松村くんは爽やかに海水を拭う。
「こういう時は恋人に仕返しだ!」
「ちょっ!」
にやりと笑んだ松村くんが颯太に思い切り海水をかける。僕のせいで颯太が餌食になってしまった。
「やったな〜……」
「ぶっ!」
「おら、茂!」
「松村!」
「わっ、ちょっ!」
「ほ〜い、松村くん〜」
「うっ」
すると皆が皆、松村くんに狙いを定めたみたいだ。
颯太、清水くん、轟くん、小室くんが次々海水をかける。松村くんはバシャバシャ音を鳴らしながら海の中を逃げ出す。
それを皆で追いかけ、松村くんに振り向きざまに海水をかけられたり、またかけたり。
気づけば誰にとか関係なく海水のかけあいをしていた。
煌めく太陽のもとで、海の雫が輝き、何度も空へ飛び出した。
顔やワイシャツ、髪の毛がどんどん濡れていく。時には鼻に入って苦しかった。
でも、楽しかった。
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