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ひと騒動のマリンブルー5

「五人して何やってんだ……」 海で大騒ぎしたあとみんなで砂浜に座り込んだ。結構濡れてしまっているし、僕に至っては体力も消耗した。 轟くんが呆れたように呟いて、全員で苦笑する。 でもこういう子供らしい行動もたまにはいいかと思う。だって高校を卒業したらいよいよできなくなってしまうことだから。今はまだ子供でいられる。 「しょんべん出そう!」 すると急に松村くんが立ち上がった。松村くんはいつも第一声が大声な気がする。 「あ、俺も行ってこようかな。亜樹は?」 「ううん。平気」 「じゃあ行ってくるね」 「うん」 颯太も手を軽く振って松村くんに続いた。 「おれあっち気になってたんだよね〜」 「あっ、おい」 今度は小室くんが立ち上がる。そしてふらふらと岩や木々が茂る方へ行ってしまった。轟くんが追いかけていく。 そしてその場に残った僕と清水くん。 僕は膝を立てて、清水くんは足を伸ばして座っている。 「すっかり濡れちゃったね」 「ほんとだよ……茂のやつ」 「でも楽しかったよね」 「そうだな」 隣の清水くんを見て笑う。清水くんはいつもの優しい笑顔を返してくれた。よく見せてくれる、愛情とかそういった感情が浮かぶ笑顔。 この笑顔をもう何回見ただろう。清水くんはいつもとても優しい。颯太とギクシャクしている時もさりげなく助けてくれるし、しかもそれをさらりとやってのけてしまう。 颯太は恋人で除外できるから、清水くんは僕にとって一番の友人だ。すごく大切な人。 「清水くんと同じ班でよかった」 「……え?」 「だって清水くんは僕の大切な友人だから。一緒にいると楽しい」 「……そっか」 清水くんはへらっと笑ってすぐに顔を前に向けてしまう。 清水くんのことだから俺も楽しい的なことを返してくれると思っていたけれど……。まあ思惑が外れるなどありがちなことだ。 清水くんは口角の高さを緩く保ったまま海を見ている。陽の光がその姿を柔らかく照らしていた。 僕も海を見よう。 「渡来」 前を見た瞬間、清水くんに呼ばれる。隣を見ると、清水くんはじっと僕を見ていた。 笑顔はもうない。 「間宮のこと、好きか?」

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