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第8話 2-5 

 今日は週末だ。そのためカツラの自宅には朝からタイガがいる。二人で遅い朝食を食べた後、テレビを見ながらソファに並びくつろいでいた。カツラはタイガの様子を何度も確認しながら例の話を切り出すタイミングを見計らっていた。 「そういえばフジキさん、今度長期休暇取るんだよ。2週間ぐらい。」 「そうなんだ。」 「知り合ってから初めてじゃないかな。いつもバリバリ仕事しているから社長もしっかり気分転換していいぞって。旅行にでも行くのかな?」 呑気に話すタイガをよそに今が伝えるチャンスなのではとカツラは意識を集中する。 「なぁ、カツラ。俺たちも今度旅行に行かないか?」 「タイガ。耳に入れておきたいことがあって。」 二人が同時に話したため言葉が被った。「しまった!」と思いカツラはなんとか取り繕おうとしたがもはや手遅れである。 「え、なに?」 キョトンとした様子でタイガが顔をむける。カツラは話そうと思っていたことを話し続けるしかなかった。 「えぇと。フジキさん、彼女に会いに行くんだ。その休みで。」 「なんでカツラがそんなこと知っているんだ?」 「あの...。フジキさんに相談されて。」 「恋人がいたなんて俺も知らないことだ。カツラとフジキさんってそんなに仲が良かったのか?」 「そんなはずないだろ。偶然外で会ったんだ。買い出しの途中に。フジキさん、様子が変で。」 「...。」 タイガ、なんで黙るんだよ。ここまできたら全部話すしかないよな?カツラは確信のないままタイガに話し続けた。 「事情があって。フジキさん、その日はそのままうちの店で仕事をしていたんだ。その時に聞いたんだ。ほら、話せば気がまぎれることがあるだろ。たまたま俺がそこにいただけで。それで、喉が渇いているようだから飲み物を出したんだけど。それが強い酒でさ。瓶の中身が間違ってて。」 タイガは押し黙りじっとカツラを見つめている。ここまで彼は至って無反応だ。「くっそっ。タイガのやつ、なんでまだ無言なんだ。」タイガの反応が全く予想できない。カツラはただ黙って続きを促すタイガにいよいよことの顛末を話す勇気がしぼんできた。 「フジキさん、その恋人のことがすごく好きみたいだ。ずっと会えていなくて苦しくて。それで、あの、酒に酔ってしまって、間違って...。」 一番安全な言葉を選ぼうとするあまりしどろもどろになる。視線もタイガの射貫くようなまなざしに合わせることができずせわしなく泳いでしまう。 「だから、フジキさん...、俺と彼女を間違って、キスしてしまったんだ。」 言えた。カツラは恐る恐るタイガの様子を伺った。 「へぇ。それいつの話?」 「え?」 タイガの反応は恐ろしいぐらいに冷静だ。カツラは頭の中でカレンダーを確認する。 「二週間ぐらい前かな。ははは。」 軽く微笑み伝えたがタイガの反応は辛辣だった。 「なんで今なんだ?」 そう言って立ち上がりカツラの腕を掴み上げた。すごい力だ。 「痛っ。タイガ?」 タイガはそのままカツラを寝室に引っ張って行き、ベッドに放り投げた。 「カツラ、どうして今日まで黙ってたんだ?」 「え?」 「俺、カツラのこと好きだし愛してるよ。だからこんなことで別れたりなんかしない。嫌いにもならない。でもお互いの信頼関係は大事だろ?なんで今日まで言わなかった?ばれなきゃいいやって思ってたのか?」 タイガの冷たい眼差しにカツラは大いにうろたえた。そして彼が言ったように確かに一瞬思ったのだ。「ばれなければこのままでもいいか」と。しかしそれは(やま)しさからそう思ったわけではなかった。タイガが過剰反応するのではと危惧したからだ。 「カツラ、今日まで黙っていたこと悪いと思うのなら俺の言うこと聞いて。もう二度と今回みたいなことがないように今からカツラにお仕置きするから。」 「はっ?なに言ってんだ。次からは必ず報告するし。お仕置きとか意味不明。」 「そうか。俺はカツラの覚悟を知りたかっただけだ。じゃ、しばらくは会わない。帰る。」 そう言ってタイガはくるりと背中をむけ寝室から出ようとした。 「おい、待てよ。」 カツラはベッドから立ち上がりたまらずタイガの腕を掴む。 「放せ。いつになるかわからないけど、気持ちが落ち着いたら連絡するから。」 そう言って掴んだ腕を振りほどかれた。カツラに嫌な記憶が蘇る。満月の夜の。「嫌だ。このまま待つなんて。本当に連絡くれるかもわからないのに。」カツラは焦って深く考えずに言葉を発した。 「タイガ。わかった。わかったから。お仕置きして。俺の覚悟見てくれ。」 再びタイガの腕を掴みながらカツラが言った。タイガは無表情のままカツラに振りむいた。「お仕置きっていったいなにするんだ?まさかケツを叩かれるのか。とにかくさっさと終わらせてタイガの機嫌を直さないと。」カツラはタイガの言葉を待つ。 「じゃ、カツラ。服脱いで。」 「え?」 「早く。」 有無を言わせぬタイガの言葉にカツラは戸惑いながらのろのろと服を脱ぎ始めた。 「カツラ。全部脱ぐんだ。それも。」 下着のままつっ立ているカツラにタイガが指示する。 「タイガ。なにをする気なんだ。」 「だからお仕置きだよ。早く脱いで。」 タイガの表情を見て素直に言うことを聞いた方がいいと判断し、カツラはタイガの目の前で生まれたままの姿になった。お互いに気持ちが盛り上がりムードが出ているわけでもないのにこんな明るい時間から一人、一糸まとわぬ姿になって恋人の前につっ立ていることにカツラは急に恥ずかしさを感じた。 「カツラ、ベッドに座って。足、思い切り開脚して。」 「タイガ、それは...。」 「できるよな?覚悟見せてくれるんだろ?」 カツラの言葉が言い終わる前にタイガが自分の言葉を被せてきた。カツラはタイガの言う通りにするしかなかった。ベッドに座り、白く長い足を膝のところを曲げ左右に大きく開く。カツラの割れ目はタイガからは丸見えの状態になった。恥ずかしさでその存在が見つからぬようにきゅっと今は小さくなっているそこは相変わらず美しい薄桃色をしていた。カツラは羞恥心のあまりタイガの顔を直視できなかった。 「カツラ、自分で慰めて。カツラが自分で気持ちよくなっているところ見たいんだ。いつも俺がしているよう中のほうで気持ちよくなって。」 「えっ。タイガ?」 耳を疑いタイガを見る。彼のブルーの瞳は濃さを増していた。「やらないと、許してやらない。」そう目で語りかけていた。 カツラは唾液をしたらせた細く長い指を、隠れようとしていた自らの蕾の中にゆっくりと挿入し始めた。

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