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第20話  3-9  (R18)

数十分後、目を覚ます。隣には優しく微笑むカツラがタイガを見ていた。 「カツラは眠らなかったのか?」 「俺もウトウトしていた。」 タイガは仰向けになり背伸びをした。 「俺、そんな泣きそうな顔してたかな?」 タイガは先ほど愛し合う前に話していたことを思い出し、裸でくっつき横になったカツラの髪を片手でなでながらつぶやいた。 「半泣きだっただろ。遠目でもすぐに分かった。」 「フラれて直ぐだったからなぁ。」 タイガはカエデとのやり取りを思い出していた。するどいカツラはタイガが今なにに思いを馳せているのか気付いたようで、タイガの上に体を乗せ彼の鼻をぎゅっとつまんだ。 「泣きべそのタイガ君は今なにを考えてる?」 「いてっ。ちょっ、鼻っ。」 鼻声でタイガがカツラの手をどかそうとするが彼は頑として引かない。 「お兄さんが慰めてあげようか?タイガ君、また泣いちゃう?」 カツラはすごく意地悪な笑顔でタイガをおちょくり続けた。 タイガは本気を出し、体勢を逆転させる。今やカツラが下になり、タイガが上だ。カツラの両手は手首のところでタイガに強くつかまれており、ようやく解放されたタイガの鼻は赤くなり目は涙目になっていた。 「カツラ、なんでそんな意地悪するんだ?」 「タイガ君、どうした?そんなムキになって。」 カツラはまだ続けるつもりだ。 「その呼び方やめろ。」 「どうして?タイガ君はカエデが恋しくなったのか?」 カツラは一瞬でもタイガが愛しい目をしてカエデのことを思い出したことが気に入らなかった。嫉妬でタイガをおちょくり憂さ晴らしをしていた。 「カツラ、怒るぞ。」 見つめ合う二人。タイガの瞳の色が濃さを増した。 カツラは自分からタイガにキスをしにいくが、タイガが顔をそむけた。カツラはめげずにタイガの唇をとらえようとするが、またしてもキスはできない。しばらく見つめ合う。 カツラは諦めたように顔を横に向け瞼を閉じた。タイガはそんなカツラを見てたまらなく愛おしさがこみ上げ、カツラに顔を近づけ唇を貪りはじめた。 「んっ...。」 あまりの深い口づけにカツラの吐息が漏れる。そのまま長い時間お互いの唇を奪い合い貪り続けた。 「俺だけ見て、タイガ。」 カツラがぽつりと言った。 「カツラしか見ていない、カツラだけだ。こんなに愛してるのにわからないのか」 また深く口づけをし、舌を舐めつくし絡めながら唇を吸い合う。タイガはそのまま舌をカツラの首に這わせ胸の薄桃色の突起物を舌を使って細かく転がす。何度も何度も。 「あぁっ、うっ。」 カツラが体を逸らせ艶めかしい声をあげた。既に我慢しきれないほど固くなったタイガはカツラの秘部に指を差し込みながら舌は同じ場所を責め続けた。同じリズム、同じ圧で繰り返し繰り返し責める。カツラの秘部は何の抵抗もなくタイガの指を受け入れていた。滑らかに出し入れされるそこはタイガの白濁とカツラの愛液とでピチャピチャと音をたてた。 「あぁ、タイガ。いぃ。中、イキそう。っつ!」 カツラがそう言った途端、タイガの差し込んだ二本の指が強く締め付けられた。そこは血液が駆け巡り激しく脈打っている。ドクンドクンと小刻みに締め付ける。タイガは自身の肉棒に与えられるこの感覚を知っている。こんなのもう無理だ。タイガはカツラの中に自分を挿入した。クチュッ...、チュンッと卑猥な音をたてながら固くそりたった肉棒をカツラの奥深くまで挿入する。 「うっ!!」 「あぁっ、タイガッ。いいっ。あぁっ!!」 カツラの要求にこたえるためにタイガは激しく動き始めた。カツラにキスをしながら上と下でカツラを貪りながら快楽に身を委ねる。タイガはなにも考えられないくらい頭がしびれだした。そんな感覚に陥っているとカツラの白濁がタイガの腹にかかった。その瞬間彼の中にいるタイガ自身にものすごい締め付けが起こり、タイガもたまらず限界を迎えた。またカツラの中に全てを出し切った。 「あっ、あっ。」 「きもちいいっ!」タイガは瞼を閉じ、まだある快感の余韻に浸り、荒い息遣いのままカツラの上に身を重ねた。「カツラの体は良すぎる。これは癖になる。やはりそれなりに経験が多いからか?いったい何人ぐらいとこういうことを...。」 快楽に顔をゆがませるカツラ。もっとほしいとねだる表情はたまらない。この完璧な体を味わった者が自分の他にも大勢いるという事実をタイガは認めたくなかった。嫉妬でおかしくなりそうだが、やはり知っておきたい。カツラの全てを。 タイガはカツラの中から抜け出し、そばにあったタオルで彼の体を拭いてやる。既に何度も果てて、カツラは眠りかけていたようだ。 「ん?タイガ?」 お互い横向きで向かい合い見つめ合った。 「なぁ、カツラは今まで何人ぐらいと経験があるんだ?」 タイガの質問にカツラはすっかり目が覚めたようだ。驚いた顔でタイガを見つめた。 「え?そんなこと気になるのか?」 「そりゃぁ、まぁ。」 「女?男?」 カツラはこういうことはあまり気にしない性質(たち)なのかあっけらかんと逆に聞いてきた。 「両方...。とりあえず女の人は?」 「うーん。何人だ?」 カツラがあおむけになり指を折り数え始めた。片手の甲を額にあて眉間にしわが寄っている。 「だめだ、思い出せない。」 「えっ!そんなにいるのか?」 多いとは思っていたけどまさか思い出せないほどいるとは。タイガは絶句した。 「昔はそれなりに性欲があったし、よっぽどでない限り来る者拒まずみたいな感じもあったから。一晩だけとかもいれたらわからない。」 押し黙るタイガの様子にやっとカツラが気付き、タイガの方に顔を向けた。 「ひいた?」 「いや、びっくりしただけで。男の方は?」 「そっちもようわからん。覚えてないんだって。最悪だけどこういう行為自体、気持ちよければよかったから。相手にこだわりがなくて。」 タイガは以前ツバキから聞いた話を思い出していた。「カツラは他人に興味がない。」

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