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第25話  4-3 (R18)

 今夜の『desvío』は最悪だった。ウィローがカツラと交代するまで終始カツラの態度はあのままだった。しかも彼はタイガたちが店を出るときに見送りにまできたのだ。ミモザに愛想を振りまきタイガのことはガン無視だった。 「くそっ。カツラのやつ、いったいどういうつもりなんだよ。」あんな態度はとられたが、タイガはカツラの自宅で彼の帰りを待っていた。とにかくニ人で話がしたかった。 ガチャ。 カツラが帰ってきた。緊張しながら玄関に向かう。 「おかえり、カツラ。」 タイガは少し緊張して声をかけたが、カツラはタイガの姿を認め優しく微笑んだ。タイガの好きな特別な笑顔だ。 「タイガ!」 そう言ってタイガに抱きつきキスをしてきた。 「んっ。」 とても濃いキスだ。突然のことでタイガの声が漏れる。カツラからは舌が絡みつきタイガの全てを飲みこむようなキス。満足しないのかかなり長い間口づけを交わす。ようやく唇をはなすとお互いの唾液の糸が引いた。カツラはそのままタイガに強く抱きついた。 「カツラ、会いたかった。すごく。」 「俺もだ、タイガ。」 タイガはカツラの顔がよく見えるように彼の顔を両手で包み込んだ。とても美しい顔だ。カツラから愛しいものをみる目で見つめられ、今度はタイガからカツラにキスをした。 長いキスの間にたまらなくなったのか、カツラがタイガの足の間を膝を使い刺激を与え始めた。キスのせいでそこはかなり前から固くいきり立っていた。二人抱き合いキスをしながら寝室へ向かう。  ベッドの前に来るとキスはしたままどちらともなく服を脱ぎ始めた。 やがてカツラの下半身が露わになった。タイガはカツラにベッドへ押し倒され、まだ脱げていない下着を膝まで下ろされた。いきりたったものが思い切り自己主張をしている。カツラはタイガの上に乗り、何の前触れもなくそれを一口でしゃぶった。 「ぐぁっ!」 思い切り圧を加えられ気持ち良くてたまらない。タイガが快感に目をきつく閉じていると次にはひんやりとした感触がした。ぱっと目を開け自分の下半身を見ると、カツラがローションをタイガ自身に塗り込んでいた。目が合うと小悪魔のようにニヤリと笑い、そのまま自分の中にタイガを(うず)めた。 「あっ、はぁ…。」 カツラの赤い唇が僅かに開き、性器の粘膜同士が触れ合ったなんともいえない感触にため息を漏らす。 「うっ!」 タイガもたまらず声をあげる。タイガが目を閉じている間に自分にもローションを塗ったのか、カツラの中は十分潤っていた。タイガはカツラの粘膜と蜜に包まれ、中に侵入しただけにもかかわらず、気を抜くとすぐに果ててしまいそうな感覚に陥った。そんなタイガの状況を知らないカツラは激しく腰を上下に動かし始めた。 「はぁ、はぁ、あぁ、ああぁ!」 今日のカツラは特に激しく自分の欲望のままに乱れ、その姿はタイガの興奮をより高ぶらせた。カツラの動きにあわせて蜜が飛びかう音がする。タイガはなんとか堪えようとするがカツラの中はいよいよ良くなり耐えられなくなった。 「カツラっ、イク!うあぁ、あぁぁ!」 タイガは思い切りカツラの中にたまったものを吐き出した。先にイってしまったと申し訳なく思い顔を上げると、カツラも達していたようだ。激しい息遣いのままこちらに顔を向け優しく微笑んでいた。 「タイガ、おかえり。」 そう言ってタイガにキスをしてきた。 「カツラ、今夜の店のあれはいったいなんだったんだ?」 ニ人でシャワーを浴び部屋でまったりしながら、タイガは先ほどまで頭を占めていたことを尋ねた。 「あれって?」 「店での態度だよ。俺のことはガン無視でミモザを口説いてたろ。」 「はははははははっ。」 「なにがおかしいんだよ?」 「タイガ、お前ほんとに鈍いな。彼女はお前に気があるんだ。」 「えっ!」 カツラの指摘に驚き愕然とする。まさか。 「気のない男にあんなことするか。」 あんなこと?しばし考え、ミモザが自分に腕を組んできて体を密着させてきたことだと思いあたった。 「でもそれならツバキだって。」 言ってしまってから気付く。ツバキの気持ちはカツラは知らないのだった。カツラの反応を伺う。 「ツバキは酒が入ったらな。あの子、そんなに飲んでたか?」 確かにミモザは酒に強い方だし、全然酔ってはいなかった。カツラの言葉に彼は一体いつから自分たちの様子を見ていたのかと少し気まずさを覚える。 「慰めてやったんだろ?大方勘違いさせてしまったんじゃないか?」 背伸びをしながらカツラが言った。何気ない動作だが目を奪われてしまう。 「カツラ、いったいいつから聞いていたんだ?姿見えなかったけど。」 質問の返事の代わりにカツラに無言で見つめ返される。すごい圧だ。タイガが自分がいけないことをしてしまったのではと思いかけたところでカツラが口を開いた。 「お前のことだからな。それは聞き耳たてるさ。」 少し照れ隠しなのか顔を正面に戻し答えてくれた。タイガは嬉しくて言葉に詰まる。 「カツラ...。でもだからってどうしてカツラがミモザを口説くんだ?」 「あのな、お前じゃ無理だろ?」 「え?なにが?」 「好意を持たれていることにすら気付いていないのに。お前が気付いた時には勘違いさせまくって手遅れで泥沼になってる。」 まだよくわからないという顔のタイガにカツラが畳みかける。 「お前への気持ちを俺に持って行かせたんだ。俺なら彼女を傷つけずにさばける。」 「えっ!」 タイガはようやくカツラの言わんとしていることを理解した。カツラはミモザにわざと好意を抱かせ振るつもりなのだ。 「カツラ、大丈夫なのか?」 「ああ。一つ、お前に忠告しておくけど、俺が彼女を振った時にまた慰めるなよ。俺が気を持たせた意味がなくなる。」 「それは気をつけるけど。」 「どうしてフリーだなんて言ったんだ?」 「言ってないよ!恋人いるってちゃんと伝えてある。ミモザが勝手に誤解しているだけだ。」 「ふーん。」 「本当だから。」 「しばらく様子見だ。彼女の出方次第だな。」 タイガはカツラの作戦通りに行くのか全く先が読めなかった。

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