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第42話 6-4 (R18)

「それで、例の傘の彼女とはどうなったんだ?」 「え?あの子、別になにもないよ。」 タイガがアンズから菓子を受け取ってから数日がたっていた。カツラの自宅のダイニングでパソコンを操作しながらタイガは淡々と答える。カツラの記憶では、あれから傘の女は店に姿を現していなかった。 「連絡先もらわなかったのか?」 「菓子袋の中にあったけどしていない。する気ないし。菓子も会社の女子社員にあげたから。」 「ふーん。」 「カツラ。」 タイガはソファで足を延ばして寛いでいるカツラの元に歩み寄った。 「ん?」 カツラの目をまっすぐ見て言う。 「俺はもともと女性が苦手だ。つき合ったこともないし。なにより今はカツラがいる。こんなに夢中なのにわからないのか?」 気持ちをストレートに言われ、カツラは視線を下に向けた。そして小さな声で言った。 「わかってる。」 カツラには珍しく照れているのだ。彼の言葉を聞いた瞬間タイガはカツラにキスをしていた。何度も唇を吸い舌を絡めた。「もう今言おう。」タイガは前々から考えていたことをカツラに伝えることにした。 「カツラ、俺たち一緒に暮らさないか?カツラがよければ、ここで一緒に暮らしたいんだ。」 「本気?」 「うん。」 「それは…。俺も考えてた。タイガはほぼ毎日ここに来ているから。お前の体が大変なんじゃないかと。」 「じゃ、決定だな。善は急げで今日と明日で荷物運ぶよ。着替えぐらいしかないから。」 「タイガ、お前が今暮らしているマンションはどうするんだ?」 「叔父さんのマンションだからそのままにしておくよ。落ち着いたら解約するかもしれないけど。」 「そうか。ここも部屋は空いているから。」 「うん。じゃ、昼食ったら早速行ってくるよ。」 タイガは満面の笑みでこたえた。  タイガと同棲を始めてからカツラは初めてくそ真面目なタイガにも欠点があることを知った。タイガは整理整頓ができないのだ。それもかなりひどい。 あれだけ全てにおいてきっちりしていますオーラを出しているタイガであったが、カツラが彼にあてがった部屋は一週間もするとひどい有様だった。服は脱ぎ散らかし、ごみもごみ箱に捨てられていない。タイガの自宅から持ってきたものもカツラからしたらそんなにあるのかと思ったぐらいで、実際は不必要なものがあるのだとこの部屋の状態を見て悟った。 愛していても潔癖のカツラには我慢のならないことだった。 「タイガ、お前いい加減にしろよ。まず部屋を片付けろ。その部屋からこっちにものを持ち込むな。」 そんなものいらないだろうというものを自分の部屋から持ち出してこようとするタイガにカツラがきつく言う。 「大丈夫。ちゃんと片付けるから。これ、カツラと一緒に見たいから。」 またある時には 「タイガ、いったいどれが洗濯したものかわからない。もう、服、服、服まみれだ!これ絶対に虫がわくぞ!」 など、タイガの部屋に一歩足を踏み入れようものならカツラは烈火のごとく吠えたてた。しかしタイガはそんなカツラの怒りさえ愛おしく思ってしまうのだ。 「ごめん、カツラ。少しづつ片付けるから。そんなに怒らないで。」  タイガがなだめるようにカツラに近づきキスをすると彼はたいてい許してくれるのだ。もちろんその後はそのまま激しい愛の営みへと移行するのが常だった。 一緒に暮らすようになってお互い求め合い愛し合う回数は以前よりも増えていた。夜のベッドで、昼間はリビングで、浴室、洗面所でといたるところで愛し合った。 ただ唯一タイガの部屋にはカツラが入ってこようとしないので、そこではまだ愛し合えていなかった。 「カツラ、ちょっと来て。見せたいものがあるから。」 タイガが自分の部屋にカツラを手招きすると、カツラは部屋には入らずドアの手前で様子を見ていた。 「カツラ、そこからじゃ見えないから。ほら、部屋、少しは片付いただろ?」 一番ひどい状態よりはマシになった程度で綺麗とはとても言えない状態だった。しかし、タイガが執拗に呼ぶからカツラは観念してタイガの部屋に足を踏み入れた。 「なに?」 もう早くこの場を立ち去りたいという感じでカツラが聞いてきた。 「これこれ。」 タイガはカツラを手招きして近くでよく見るように促した。 「ええ?」 カツラが嫌々近づいてタイガが見せようとしている物に顔を近づけた。それは虫が数匹入った虫籠だった。 「ひっ。」 「お前、なんでそんなもの×××××××××!」 カツラは虫がダメだったらしくその場にしりもちをついた。 「これ、人から預かったんだ。旅行に行っている間世話してほしいって。どこかの国の虫で、綺麗な声で鳴くらしいよ。」 タイガはカツラの反応におかしさと愛しさがこみ上げ、カツラは嫌がるかもしれないが、ここで今カツラを抱くことに決めた。尻もちをついたカツラのズボンを足首の方から引っ張りずらしていった。するとカツラがタイガのやっていることに気付いた。 「タイガッ、こんなところでなにしてる。ちょっ!」 カツラはふわっとタイガの膝の上に乗せられ丸裸の尻を思い切り揉まれる。 「タイガっ。」 カツラはうるさくわめいていたが、タイガは気にすることなく彼の首元、そして唇を重ねキスをした。キスをしたことでああだこうだと叫んでいたカツラの口は大人しくなり、彼も(しま)いには思いきりタイガとのキスを堪能していた。タイガはカツラの尻から片手を放し自分もズボンを下ろしていく。用意ができたところでカツラの腰を少し浮かせ唾液で(なか)を潤し彼の中に侵入した。 「ああっ、タイガッ、くそっ、いい、すごく!」 カツラが自然と腰を上下に動かし始めた。 「んっ、あっ!」 「カツラ、興奮してる?すごい締まる。」 カツラの中はいつにも増して良く、タイガは早くも果てようとしていた。 「はぁ、はぁ...。」 タイガは瞼をきつく閉じ、呼吸が荒くなっていた。そんなタイガを見てカツラがニヤリと笑う。 「タイガ、まだイくなよ?俺はまだ楽しみたい。」 カツラは言いながら上の服も脱ぎ素っ裸になった。カツラの積極的な行動と美しい身体を目の前にして、いよいよタイガは耐えることが厳しくなってきた。 「ちょっ、ちょっと待って。カツラ、ちょ...、」 そう言ってタイガはカツラの中から一旦退去する。 「タイガっ!」 「ごめん、ごめん。ちゃんとするから。」 言いながらタイガも服を全て脱ぎ、カツラを立ち上がらせ彼には壁に手を付けさせた。そして自分は背後からカツラの中に再び侵入し、カツラの片足を持ち上げた。繋がっている部分が丸見えになるし、カツラが体を捻じって半分こちらに向いているので、彼の表情もよく見える。恋人の前でしかできないあられのない姿なので、タイガはこの体位が好きだった。 パチンっ、パチンっ、パチンっ、パチンっ、 激しく肌がぶつかる卑猥な音がする。 「んっ、んっ、あぁっ、ああっ!」 それに合わせてカツラが声をあげる。かなりいいらしい。 「カツラ、なんでそんなに興奮してるんだ?」 タイガが尋ねると艶めかし顔でタイガを見つめカツラが答える。 「うんっ、はぁ、こんなクソ汚い部屋で…、あっ、素っ裸でお前と、あぁっ…、興奮するっ、あぁぁっ、キモイ虫もいるのに...、はぁっ、あっ、無防備でっ、あっ。」 感じながら話すカツラにタイガも興奮させられ腰をこれ以上ないほど早く動かす。振り向いたカツラと深いキスをし、お互いを貪り合う。次の瞬間、二人は一緒に達した。 「はぁ、はぁ、はぁ...カツラ。」 「あっ、んっ...、タイガ。凄くよかった。」 リーン、リーン、リーン...。 「なんだ?」 「カツラ、虫が鳴いてるんだよ。アレは雌を呼んでるんだ。俺たちの行為を見て虫も触発されたのかも。」 「なわけあるかっ。」 呑気に話すタイガにカツラが突っ込みを入れる。  裸のままタイガの部屋で二人くっつき横になりながらまったりと虫の音を一緒に聞く。タイガは眠ってしまったようだ。「確かにきれいな虫の音だ。」タイガの寝顔を見つめながら安らかな気持ちになったカツラは、部屋の片づけを一緒にしてやってもいいかと考えていた。「欠点があるところもかわいいな。」そっとタイガにキスをしカツラも重くなった瞼を閉じた。

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