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第45話 7-3

「マツボ、お前どうした?一人か?」 トベラが男の子に話しかける。二人は知り合いのようだ。 「うん。家からおじちゃんがここに行くの見えたから遊びに来た。」 「おじちゃん?」二人のやり取りをじっと見ていたカツラにトベラが気付き、男の子を紹介する。 「カツラ、こいつマツボ。俺の妹の子供だ。今六歳だ。」 「え!」  驚愕だった。このトベラという男はいかにも一匹狼の雰囲気で家族がいる様子がまるでない。まさか妹がおり、しかもその子供に懐かれているとは驚きであった。 カツラがマツボににっこり微笑みかけると彼は少し恥ずかしそうにトベラの影に隠れようとした。カツラは膝を折り、マツボの目線と高さを合わせる。 「こんにちは、マツボ。よろしくね。」 マツボはしばらくカツラをじーっと見ていたが、トベラの影から一歩前に踏みだし手を指しのべた。 「うん、友だち。」 カツラとマツボは握手をした。 ジムから風呂に向かう頃にはマツボはすっかりカツラに打ち解けていた。しっかり手をつなぎ歩いている。マツボも一緒に風呂に入るというので安心だ。 「ここのお風呂、すごく広いんだ。」 「マツボはよく来るの?」 「うん。家がこの近くだから。おじちゃんが行くときはよく来るよ。」  マツボの言ったようにジムにしてはかなり充実したシャワールームだった。まるでホテルにある大浴場のようにしゃれた作りで、温泉からのかけ流しの湯が広い浴槽を満たしている。  マツボはあっという間に服を脱ぎ「わーい」と言いながら風呂場に向かっていった。今日はジム自体が休日のようで、カツラたち以外は誰もいない。このジムのVIPのトベラが貸切ったようだ。  カツラは一応トベラの様子を確認しながら服を脱ぎ始めた。マツボがいるから変なことにはならないだろうが、用心に越したことはない。しかし、トベラはカツラのことなど全く意識せずさっさと服を脱ぎ、風呂場へと向かってしまった。逆にカツラがトベラの鍛え抜かれたたくましい体に目を奪われ、手を止めて見入ってしまった。 腰にタオルを巻き風呂場に入ると、マツボは既にトベラに頭を洗ってもらっていた。 「まだ?もういい?」 マツボはそう言って必死に両手で顔を押さえてシャンプーが目に入らないようにしている。そんな仕草がかわいく、しかもトベラがまるで父親のように優しく頭を洗ってやっているのがおかしくて、カツラはついつい笑ってしまった。 「あはは。トベラさん洗うの上手じゃないですか。マツボ、もう少しだ。がんばれ。」  マツボに声をかけながらカツラも自分の体を洗っていく。最後に髪を洗おうとしたらシャンプーがない。「どこだ?」と思いキョロキョロしているとマツボがカツラを呼んだ。 「お兄ちゃん、こっち。」 マツボを見ると、カツラが持って入ったシャンプーを手にしていた。 「ほら、返して。」 「いやぁだよー。」 そう言ってあっかんべーをした。どうやらマツボはカツラと鬼ごっこをしたいらしい。この際、仕方がない。つきあってやるかとカツラは立ち上がりマツボにゆっくり近づいて行った。 「マツボ、捕まえたらお仕置きでコチョコチョするからな!」  そう言って急に走りだした。カツラの様子を遠い場所から見ていたマツボは走り出したカツラを見て、ヤバっという顔になり逃げ始めた。  浴室は真ん中で背の低い仕切りの壁がある。その周りをぐるぐるまわりながら二人はしばらく追いかけっこをしていた。「きゃははっ。」とマツボの楽しむ声が浴室にこだまする。 トベラはそんな二人をよそにゆっくりと自分の体を洗っていた。彼の周りにはボディソープが流れている。そこへマツボがさっと駆けていった。その後をカツラが追いかけ同じようにその場を走る。と、次の瞬間カツラは床に流れたボディソープに足を取られ、体が一瞬中に浮いて見事にその場に尻もちをつく形でこけた。 ドンっっ! 「痛っあ!!」  カツラは尻を思い切り床に打ち付けた。カツラの腰に巻かれていたタオルは見事に外れ思い切り開脚した足元に落ちている。 トベラは目の前で大きく広げられたカツラの足の付け根の割れ目にあるものを凝視していた。そこには薄い桃色をした今は大人しく閉じている蕾があった。白い足との色の差で余計に目立って見えた。今にも甘い蜜を垂らしそうなそこからトベラは目が離せなかった。 「痛えっ。」  数秒後、カツラが尻の激痛から意識を戻し、上半身をようやく起こすと自分の状況を理解した。自分の足の付け根に視線を落とすトベラの目が血走って見えた。はっとし、すぐに足を閉じる。 「カツラ、大丈夫か?」 我に返ったようにトベラが言いながらカツラの腕を取り、体を引っ張り起こしてくれた。 「痛っ。」  とりあえず膝立になった。痛すぎて言葉が出ない。トベラは既に立ち上がっており、カツラの顔の高さはちょうどトベラの股間辺りにあった。「ちょっと、この状況はまずいのでは...。」そうカツラが思った瞬間、トベラの腰に巻いたタオルがムクリと膨れ上がった。「こいつ、勃ってる!」やばいと思い無理をしてなんとか立ち上がる。尻に手を当てるとジンジンと痛みがした。 「平気か?」 トベラが心配な顔で聞いてきた。今やもはやトベラには全て見られてしまった。素っ裸で彼に腕をとられ、尻の上のあまりの痛さに頭をトベラの肩に預けている。カツラは自分はなにをしているんだと滑稽に思えた。 「お兄ちゃん、大丈夫?」 マツボが心配そうに聞いてきた。マツボを不安にさせないようにカツラは笑顔を作り大丈夫だと伝える。トベラがカツラの肩越しに打った尻を見た。 「赤くなってるな。湿布を張った方がいい。」 カツラは開きなおっており、足元に落ちたタオルを拾った。もう今さらそれを腰には巻かず、手に持ったまま湯にむかう。 「先、浸かります。」 トベラはカツラの後ろ姿を見つめていた。

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