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第54話 7-11 (R18)

「いったいどういう風の吹き回し?」 「ナツメちゃんと私、いまは仲良しなの。誰かのおかげで。」 「はいはい。」 カツラは今夜、ホリーと二人でトベラの店に客として招かれた。ホリーはあれ以来すっかりナツメに懐かれたらしく彼女にぜひ店に来てほしいと言われたそうだ。一人では行きにくいので、白羽の矢がカツラに立てられた。「今夜はタイガと過ごす予定が。」なるべくさっさと帰ろうと決意して店に入った。 「いらっしゃいませ。ホリーさん、カツラさん、ようこそ。」  この店の店長として店を仕切るナツメは普段の薄化粧からしっかりと知的なメイクにかわっており、眼鏡も雰囲気に合わせて大人びたものになっていた。髪をルーズな感じで一つにまとめ、口には赤いリップがキリっとひかれている。 「ナツメちゃん、感じが全く違うから。とても素敵。」 「ありがとうございます。」 「ここのお店のオススメは?」 カウンターに座りながらカツラが質問する。店に入ってきた美男美女のカップルに他の客達は興味をひかれた。しかも店長と親しそうに話している。 「オススメの酒はこちらになります。」 ナツメは内面が変わったのだろう。感じが柔らかくなった。客と一緒に楽しもうという気持ちが伝わった。しばらくするとカツラと顔見知りのスタッフたちが顔を見にかわるがわるやってきた。彼らはホリーを見て彼女ですか?と聞いてきた。 「彼女にはれっきとした彼氏がいる。俺にもいるし。」 「やっぱり社長?」 カツラと挨拶を交わすために顔を出した副店長がカツラに尋ねた。 「どうしてそうなるんだ。はっきり言っておくけどやつじゃない。」 「お似合いだと思ったんですが。」 副店長の言葉にその場にいるみんなが笑った。もちろん、カツラ以外だが。早く帰るつもりが楽しく閉店間近までいてしまった。そこへここの社長のトベラが来た。 「来ていたのか。」 「こんばんは。」 「こんばんは。とても素敵なお店ですね。」 カツラとホリーがトベラと挨拶を交わす。 「ああ、ボチボチやってる。」 トベラはカツラの隣の席に腰をかけた。ホリーはトベラがカツラに話しかけるのを見てそっとその場から離れた。ホリーから見てトベラの目はカツラしか見ていないように見えたのだ。  客達がはけ、店は閉店準備に取りかかる。ホリーは寂しそうな目でトベラとカツラを見ているナツメの所へ行った。 「大丈夫?」 「トベラさん、カツラさんに夢中なんですね。あんな優しい目で見るなんて。」 「カツラには別に恋人がいる。彼はその人のことをとても大切に思っているわ。」 「でも怖いです。その恋人とうまくいかなくなったら?」 ホリーはカツラの交際歴の短さを思い出した。確かに男同士ではあるが、トベラならカツラを飼いならせるのではと思ってしまうところはあった。「あいつ、結構わがままだから。」どうナツメに声をかけようかと思っていたらナツメがきっと前を向き決意表明のように言った。 「でも、私は負けません。」  トベラの店からの帰り道。カツラは悶々としていた。「全くトベラときたら話が長い。」最初は酒や仕事の話だったから興味深く面白かったが、途中からマツボを餌にカツラをお持ち帰りしようとしているのが見え見えだった。 事故とはいえトベラにすべて見せてしまったせいで、せっかくなくなりかけたトベラの自分への思いをまた蘇らせてしまったのではと、あの日やつの目の前で思い切りこけたことが悔やまれた。 「早くタイガに抱かれたい。」カツラはトベラの一件でタイガと仲直りをしたあの日からずっと毎日彼に激しく求められ続けている。そのため日中も睡眠不足でぼぉっとしていたのだ。こんな状態が続いていたので、今では毎夜タイガに抱かれないと体がムズムズする始末だった。 「タイガ、ただいま。」 「カツラ、遅かったな。お疲れさま。」 深夜近くにも関わらず、タイガは起きて待っていてくれた。急ぎ汗を流し、彼が待つ寝室へ行く。 「カツラ。」 カツラはタイガから毎晩優しい声で呼ばれそのまま濃密な時間をすごしていた。この日もいつも通り、タイガの隣りにするりと入り込む。 タイガは愛しい目でカツラを見つめながら、彼の顔を指先でゆっくりなぞっていく。額から頬、唇、顎先へと。 「おかえり、俺の美人さん。」 そう言ってキスをする。舌を遠慮なく入れ、カツラの舌と絡み合わせ、唇に吸い付きながら、彼を自分の下に組みひく。首もとへと唇を這わせ、手は器用に服を脱がせていく。 数分もしない内にカツラは素っ裸にされ、タイガの熱い愛撫を体中に受けていた。カツラの体はタイガの唾液で所々が艶めき、執拗な愛撫を受けた敏感な胸の部分は薄い色を濃くしぷっくりと固くなり、その存在を強調していた。 「カツラ、いまからカツラが一番好きなことしてあげるから。」 タイガはカツラの足を思い切り開脚させそこに顔を埋め開きかけた薄桃色の蕾を舌でころがした。タイガの舌の動きに合わせてカツラの体がビクビクと反応する。 「はぁっ、はぁっ…。」 「気持ちいい?」 「タイガ...。」 タイガは舌でほぐれだしたそこにローションを塗りこめ、今度はゆっくりと指を付け根までいれる。そっと出し入れを繰り返し、同時に口では堅く直立したもう一人のカツラを優しく舐めまわした。 「っ!タイガ、待って。無理っ、それ、やめてっ!」 カツラが耐え切れずにタイガに請うが、タイガは容赦なく同じリズムでこの動作を繰り返した。カツラが懇願してから間もなく、カツラの白濁がタイガの顔にかかった。 「あっ、あ...ん...。はぁ、はぁ、はぁ...。待てって言ったのに。」 カツラは快感のあまり頬を染め瞳を潤ませている。 「カツラのイッタ顔が好きなんだ。もちろん、これで終わりじゃない。」 タイガはいつの間にか服を全て脱いでおり、そう言ったと同時にカツラの中に自分を奥まで侵入させた。 「っあっ!!」 タイガ自身をきゅうっと締めつけながらカツラがあえいだ。 「ぐっ!」 与えられる快感にタイガも声を出す。いつもながらカツラの中は最高だ。タイガが小刻みに腰を動かすとクチュ、クチュと気持ちを呷る音が耳に聞こえる。まさに今その音が発生している部分でニ人は深く繋がっていた。 「ああぁ、はぁっ、あああぁ、タイガぁっ!」 果てたばかりのカツラにこの刺激はかなりいいのか、なりふり構わず激しく声を張り上げる。 それと呼応するようにカツラの内部はタイガを何度もきつく締め付ける。カツラの蕾が快感に達し、粘膜が激しく痙攣しているのだ。 「カツラ、もっと乱れろ。こんなお前は俺しか知らない。」独占欲丸出しでタイガはカツラを貪り続ける。数分後、タイガも早くも耐え切れなくなり、腰を激しく数回振って達した。タイガの白濁はカツラの(なか)に吐き出された。 「カツラ、愛してる。」 カツラに包まれたまま、彼を強く抱きしめた。 「タイガ、俺もだ。ずっとこうして。」 カツラもタイガを強く抱きしめ返した。

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