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第75話 9-12 (R18)
その日仕事が早く終わり自宅に着いたカツラは、タイガの様子をそっと伺った。タイガは今日取引先とうまく契約を結べたらしく、かなり機嫌が良かった。彼は鼻歌を歌いながら洗濯物をたたんでいる。カツラはシャワーを浴びた後、内心ではタイガにハチスとのことをどう切り出そうかと考えながらレシピノートをパラパラとめくっていた。
「また、メニュー変わるのか?」
「え?ああ、そう。そろそろ準備しないとな。季節がさ。」
タイガがソファに腰をかけているカツラのひざ元によってきてカツラのレシピノートを覗いた。カツラはタイガの顔をじっと見、「タイガ」と声をかけた。カツラはタイガが「ん?」と言って顔をあげた瞬間タイガにキスをした。じっくりと時間をかけて舌を絡め合い、お互いの口腔内を味わう。タイガがカツラに抱きついてきてようやっと唇を離した。カツラは抱き合いタイガの肩に顔を預けたまま今日あったできごとを伝えることにした。
「タイガ、今日ハチスと偶然会ったんだ。」
ハチスの告白を受けて、今日の出会いは偶然ではなく彼が待ち伏せをしていたのではとカツラはうすうす感づいていたが、そのことには触れずにタイガに報告することにした。
「それで、ハチスにキスされて、告白もされた。」
カツラの話を聞き、カツラを抱きしめるタイガの腕にぎゅっと力が入った。
「俺の気持ちは伝えたから。無理だと。タイガには報告しておこうと思って。」
次の瞬間カツラはソファに押し倒された。そしてタイガから激しく濃厚な口づけを受ける。
「んっ。」
タイガのキスはしばらくおさまりそうになかった。
「あっ。」
カツラの唇を強く吸いやっとキスの嵐がやんだ。カツラの唇はじんじんして腫れている感じがした。
「カツラ、もっと気を付けてくれ。告白をされるって思わなかったのか?」
タイガの目は潤み血走っていた。
「思うはずないだろ、ハチスはノーマルなんだから。」
「今までそういう関係になったやつでノーマルなやつはいなかったのか?カツラが男初めてって奴は0か?」
「それは...。」
「いたんだろ?いるよな、そりゃ。カツラは自分がどれだけ人を惹きつけるかわかっていない。」
「タイガ。」
「今までだって不意を突かれてキスされたこともあるんじゃないのか?」
タイガは納得がいかないのかカツラに反論する隙を与えなかった。
「カツラを責めても仕方ないのはわかってる。カツラは悪くないって。でも俺はめちゃくちゃ嫌だ。他のやつにカツラが触れられるのは。」
「俺だっていやだ。お前以外になんて。逆の立場でも嫌だ。」
タイガはカツラの頭を両手で優しく包み込み、額同士をくっつけた。
「カツラ、おまえは俺のものなんだ。俺だけのものだ。」
「分かってる。俺もそのつもりだ。」
タイガが強い眼差しでカツラを見つめた。彼の目はこのまま寝室へ行こうと誘っていた。
明くる日、タイガはハチスにはっきり言ってやろうとわざわざ彼の部署まで訪ねた。
「タイガ、なんだよ、わざわざ来るなんて珍しいな。」
「ちょっと顔かせよ。」
勤務が始まったばかりのこの時間に広い休憩室には今は誰もいない。タイガはハチスをきっと睨んだ。
「カツラから聞いた。人のものに手、出してんじゃねえよ。」
タイガが自分に会いこういうことを言うと予想していたのか、ハチスはタイガの言葉に全く動揺していなかった。ハチスは悪びれることもなく戦線布告をしてきた。
「俺がどうしようと勝手だろ。同じ男でこんな気持ちになったのは初めてだ。自分でも驚いてる。顔もモロタイプだしな。」
「男とヤッたこともないくせにいきがるな。今度またしたらただで済ませないからな。」
タイガは言いたいことを言ってその場を立ち去ろうとした。ハチスが負けじとタイガに言い返した。
「選ぶのはカツラだ。いつまでも自分が一番なんて思うなよ。束縛野郎が。そのうち愛想つかされるさ。」
自宅に帰るとカツラは今日は休みだったので一人で晩酌をしていたらしい。不思議な色にきらめく酒がグラスに注がれていた。
「おかえり、タイガ。」
「かわった酒だな、それ。」
「光の反射で色が変わるらしい。面白い酒だからとってくれって言われたらしけど味がいまいちなんだ。店では出せないから店長から拝借してきたんだ。名前も「黄金虫」だってさ。」
「タイガも飲むか?」
「いや、カツラ。あのさ…。俺の嫌なところとか直してほしいところがあったら言ってほしいんだ。」
タイガは最後にハチスに言われた言葉が引っかかっていた。「束縛野郎」「そのうち愛想つかされる」自分でもおおいに心当たりがあり、そのために常に不安に感じていることでもあった。
「え?」
「やきもちやきすぎるとか、束縛が強いとか。」
タイガがしゅんとしてカツラに話した。
「タイガ、どうした?」
カツラが床に正座で座るタイガに近寄り彼の肩に優しく触れた。「図体でかいくせに急に子犬みたいな表情して。俺がこれに弱いの知ってんのか?」カツラはタイガを最初に見た時と同じく、タイガのこの表情にはだめなのだ。感情を揺さぶられどうにかなってしまいそうになる。「今すぐタイガがほしい、俺が慰めてやる。」カツラは俯いていたタイガの顔をあげさせキスをした。自ら激しく舌を入れ、タイガを貪る。そのうちタイガもこたえ、お互い舌を絡め激しく唇を吸い合う激しい音がした。
「タイガ、俺はこんなにおまえに夢中なんだ。そんな顔されたらたまらなくなる。」
カツラはそう言って上の服を脱ぎ、タイガの首元に愛撫を始めた。
「カツラ...。」
カツラはタイガを押し倒し、ひたすら彼への愛撫を続けた。タイガのネクタイを外しシャツのボタンをとり露わになったタイガの肌に唇を這わせる。その行為を続けながら自分のズボンを脱ぎ素っ裸になった。そして反応のためはちきれそうになっているタイガのズボンをさっと脱がし、タイガのいきり立ったものを口に含んだ。
「うっ、カツラ!」
ぴちゃ、ぴちゃ、ぺろぺろ、ちゅっ、ちゅっ...。
カツラはこれが愛おしくてたまらないというふうに舌と唇を使って舐めまわす。執拗に舌と口でいたぶられ、タイガは限界がきそうだった。あともう少しのところでカツラの攻撃がやんだ。タイガが顔を下半身の方に向けるとカツラがタイガを自分の中に招き入れるところだった。
「カツラっ、くっ、ふっ、はぁ。」
タイガの太い分身はなんの抵抗もなくカツラの奥深くまで一気に入った。
「ああっ、タイガっ!好きだ、たまらなく...。おまえは俺のもの。愛してる。」
カツラがタイガの上で激しく腰を動かしだした。カツラの中は初めからいい具合になっていて、タイガは何度も絶頂を迎える寸前までいき、なんとか気をそらすということを繰り返していた。しかし、とうとう耐え切れなくなり、カツラの中に勢いよく放出した。タイガが果てたと同時にカツラの体がビクンとなり、彼もタイガの腹の上に出した。
「あっ、ああっ、はぁはぁ...。」
内側はまだきゅんきゅんとタイガへの締め付けを続けているが、カツラは脱力し、タイガの上に体重を預けた。
「タイガ、気分よくなったか?俺たちに終わりなんてない。お前の嫌なところもない。全てが愛しい。俺を信じて。」
「カツラ、信じてるよ。ただ、俺は...愛しすぎていて。」
「それはお互い様だ。」
カツラがタイガに顔を向け、優しく微笑んだ。
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