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第77話 9-14 (R18)
「じゃ、またな、ナラ、ハチス。」
カツラが別れの挨拶を交わす。
「またね、おにいちゃん!」
「ああ、また、カツラ。」
ハチスはカツラと目が合い微笑んだ。そんな二人の様子をタイガは相変わらずむすっとして見ていた。
カツラとタイガは二人で車を駐車したところまで戻った。もう街頭が灯り始め、二人が乗ってきた車をぼんやりと照らしている。カツラが助手席に乗りシートベルトを締めたところでタイガが急にキスをしてきた。
「んっ。」
かなり激しく熱いキスだ。思いきり舌を深く入れられ口の中をタイガに貪られる。タイガからは外の風の匂いがした。カツラもタイガに腕を回し、片手は服の上からもわかるタイガのたくましい背中の筋肉をそっとなぞっていく。
息ができないほどのキスを数分続け、離れるときには舌先だけを絡め合いながら離れた。お互い息を切らして見つめ合う。
タイガがカツラの耳元にキスをしてきたので、カツラが窓際に顔を向ける格好になった。ふと目を開けると、窓の向こうにはハチスが立っていた。
「ハチス?」
カツラの声にタイガが反応し、彼はさっと車を降りた。ハチスはカツラが持ってきたボールを手にしていた。ハチスの表情は暗い。「あれはたしかタイガが...。」二人は特に声をかけるわけでもなく、タイガがハチスからボールを受け取り、ハチスはそのまま背を向け立ち去っていった。
「はぁっ、はぁっ...あぁっ、」
自宅に戻り今日かいた汗をシャワーで流したあと、タイガが求めてきたので愛し合った。二人はベッドから降り、今日何度目かの愛の営みを続けていた。カツラはベッドに両手をつき、腰をタイガにしっかりとつかまれ背後から激しく攻め立てられている。
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ、パンッ...!
素肌同士が激しくぶつかる音がカツラの喘ぎ声と共に部屋に響く。
「ああっ、あっ!」
「タイガ…、今日はすごい。たまらない…。頭がおかしくなりそうだ。」執拗にタイガに求められ、自分とタイガの愛液が混ざり合っている場所は、タイガが動くたびにぴちゃぴちゃと音をたてていた。その度にカツラの意識は快感のあまり朦朧とする。「あぁっ、いいっ!すごく…。」次の瞬間、ひたすら続いた快感の波の後、なんの前ぶれもなく、いいようのない刺激が体中を駆け巡り、カツラはひと際大きな声を発した。
「ああぁっ!ああぁーっ!」
同時に体がビクンと痙攣し、カツラは思い切り白濁を放出した。カツラの射精を確認し、タイガはカツラを仰向けの体勢にし、彼の片足を自分の肩に乗せより激しく奥へと貫く。
「ああぁっ!タイガ!」
カツラの艶めかしい声にタイガはなおさら興奮する。
「くっ!」
タイガも数回動いただけて果てた。動きが急に止まり、つい先ほどまで激しく攻めたてていたのが嘘のように全身、脱力する。
今日は珍しくタイガはカツラの中からすぐに抜け出し、カツラの体、特に自分を埋 めていたところを綺麗に拭いてやる。カツラはそんなタイガを放心した状態でぼぉっと見ている。拭き終わるとタイガは、ベッドで横になっているカツラの足を持ち上げ、足首からぺろぺろと舐めだした。
「くすぐったいっ、タイガっ。」
カツラがタイガから逃れようと足を動かすが、タイガに余計にガシッと足を掴まれた。タイガは離す気はなく、そのままカツラのふくらはぎを吸ったり甘噛みし始めた。
「こらっ、なにしてるんだ?」
タイガは今日ハチスが舐めるような目でカツラの生足を見つめていたのがたまらなく嫌だった。「これは俺のものだ。誰にも触れさせない。」抑えきれないカツラへの独占欲に身を委ね、心のままカツラを求め激しく何度も抱いたが、それでは飽き足らず、ハチスに見られたカツラの細く形の良い足までもしゃぶりつくす。タイガはカツラの両足に内太ももまでその行為を行い、やっと満足した。
タイガにされるがままになっていたカツラはタイガの一通りの行為が切りの良いところにきたと判断し、自分の横に早く来るように手で枕をポンポンと叩いた。タイガが素直にカツラの隣りに並んだ。
カツラはタイガの髪を優しく撫でながらさっきから気になっていたことを彼に切り出した。
「タイガ、あれ、わざとだろ?」
「なんのこと?」
「ボールだよ、おまえに渡したはずだ。わざと忘れてハチスが届けるように仕向けたんだろう?俺たちがいちゃついているところ目撃させるために。」
カツラはタイガの顔を見て問いただしたが、タイガはカツラの顔を見ようとはしない。
「知らない、そんなこと。」
あくまでしらを切るタイガをカツラはそれ以上責める気はなかった。
「ったく。ガキみたいなことすんなよ。ほんとおまえかわいいな。」
カツラはそう言ってくすくすと笑い出した。タイガはカツラの反応が意外だったのか、ようやくカツラの顔を見た。
「俺はおまえにこんなに夢中なのにまだわからないのか?困ったやつだ。」
カツラはまるで子供をあやすようにタイガに腕を回してよしよしとした。
「なぁ、カツラ。俺、ゆくゆくはおまえに似た子供が欲しいんだ。代理出産で可能だろ?」
タイガはハチスに対して自分がやったことをカツラに見抜かれ、幼稚なやつだと呆れられるのではと少しハラハラしていた。しかし、カツラの反応はあくまでタイガ第一であり、彼に愛されていると実感したのだ。この瞬間たまらず最近ずっと考えていたことをカツラに話した。
カツラはタイガの発言に驚いたようようだ。一瞬間を置き答えた。
「タイガ、この間話していたのはそれか。それなら俺はおまえに似た子供がいい。男の子でも女の子でも…。でもお前に似たら女の子は図体がでかくなるかもしれないからな。やっぱり男の子の方がいいのか?」
眉間にしわを寄せ、カツラが真剣な面持ちで答えた。
「なんだよ、それ。」
タイガはカツラの言いように自然に笑みがこぼれた。
「カツラのご両親は?挨拶しておきたいし。」
タイガの質問にカツラが目を丸くした。そして少し寂しそうに瞼を伏せた。
「うん...。ありがとう。でも、いないんだ。幼い時に事故で亡くなって。」
「えっ、ごめん、俺...。」
タイガはカツラから初めて聞いた衝撃の事実に言葉を失った。「どうりで自分から身内の話はしないはずだ。」タイガはカツラがこれまでどうやって育ってきたのか気になった。タイガの表情を読み取ったのかカツラが話し始めた。
「俺は母方のじいさんに厄介になったんだ。これが変わった人でさ。そういや最近会いに行ってないな。今度一緒に行くか?」
「いいのか?」
「もちろん。」
「カツラ、兄弟はいるのか?」
「妹が…。事故で一緒に。母親の腹の中にいたから。」
タイガはまた聞かなくてもよかったことを聞いてしまったのではと急ぎ言葉を繋いだ。
「そっか、思い出したくないこと話させてごめん。これからは俺がいるから。ずっと一緒にいるから。」
「ああ。」
タイガはカツラを強く抱きしめ、今初めて知った恋人の過去を胸に、自分は決して彼を一人にしないと固く誓った。「俺は生涯カツラのそばから離れない。絶対に。」つらい思い出を話させてしまったが、カツラのことを知れてよかったとタイガは思っていた。
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