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第80話 10-1 (R18)

目を覚ますと隣には自分を見つめるタイガがいた。カツラは軽く背伸びをした。 「おはよう。いつから起きてた?」 「おはよう。十分ぐらい前かな。」 カツラは少しはにかみながら言う。 「昨日は...。めちゃくちゃ良かった。おまえ、どこであんなこと覚えたんだ?」 「我流だよ。カツラに気持ちよくなってほしくて。ここにひどいことしてしまったから。」 タイガはそう言ってカツラの尻に優しく手を当てた。 「なぁ、あのキャンドルは?なにに使ってたんだ?」 「まさかカエデとの行為にも使ってたんじゃないだろうな?」カツラはキャンドルを目にした瞬間思いかけたことをタイガに確認したかった。こんなことでさえ、自分は嫉妬を感じてしまう。タイガの全てを自分のものにしたいと強く思っていることをどうすれば彼に伝わるのだろう?カツラはタイガの手を取っていた。」 「叔父さんにもらったんだ。付き合いのある会社の商品でたくさんもらったからって。昨日初めて使った。持って来ててよかったよ。」 カツラはタイガの上に乗り、彼を見下ろした。どうやらカツラの思いは杞憂(きゆう)だったようだ。 「そっか。」 「タイガって...セックス上手いよな?毎回こうだったのか?」 愛しているからかもしれないが、カツラはタイガとのセックスにはかなり満足していた。時に激しく、時に優しく、どちらの時もとても気持ちがいい。それは彼自身が立派だということもあるかもしれないが、タイガに与えられる快感は癖になるほどで、カツラはタイガがカエデとも同じような行為をしていたのかと思うと気になって仕方がなかった。 「へ?」 カツラからの予想外の質問にタイガは間抜けな声を出した。 「そうか?とくに考えたことはなかったけど。」  タイガはカツラの美しい瞳に見つめられ、またしてもカツラを抱きたくなった。彼の美しい顔が快感にゆがむのを見たくなったのだ。  カエデはこういう行為があまり好きではなかった。そんなことよりただ抱き合って話をする方が好きなタイプだった。そのためタイガもそこまで求めることはせず、こういうものなのだと思っていた。長い間つき合っていたが、カエデと体を重ねたのは数えるほどしかない。それは受け入れる側にどうしても負担のいく行為であるがためにタイガはカエデに無理強いをしたくなかったためでもあった。  しかし、カツラと付き合うようになってからは性欲に限りがなく、激しく求めてしまう。しかもカツラはこの行為自体が好きなようでとても積極的だ。そんなところが余計にムラムラとタイガの性欲を煽るのかもしれなかった。そして自分の行為によってカツラが感じ気持ち良くなってくれるのも嬉しかった。 「カツラ...。」 タイガは上から見つめるカツラを抱きよせキスをした。昨夜は背後から行為に及んだためカツラの表情があまり見れなかった。今はカツラの表情を見ながらしたい。タイガはそう思っていた。 「ふふふっ、タイガ、くすぐったい。」 タイガがカツラの体に愛撫を始めた。それがやがてきわどいところ、まさにその場へと移るのに時間はかからなかった。カツラのクスクス笑いが艶めかしい声に変わっていく。タイガはベッドにカツラを座らせ思い切り足を開脚させ、欲望のまま彼の蕾に一気に自分を(うず)めた。 「ううっ!」 「はぁっ、タイガ...!」 「カツラッ。」 タイガは深く繋がったままカツラにキスをしカツラの表情をじっと見つめる。途端にカツラの手の平がタイガの顔に伸びてきた。 「こらっ、なにじっと見てんだ?」 タイガは顔にかかったカツラの手を取った。 「カツラ、恥ずかしい?カツラの感じてる顔、すごくいい。」 「はぁ?」 カツラの両手はタイガが押さえている。そのままタイガは腰を小刻みに動かした。 「はぁ、はぁ、ああぁっ。」 気持ちいいらしくカツラがたまらず顔を斜め上に向け、快感の声をあげる。カツラの顔がこの時にか見せない表情へと変わる。「カツラ、すごく綺麗だ。もっと感じさせたい。」タイガは欲望のままもっと早く激しく腰を動かす。 「ああっ、あっ!」 タイガは瞼を閉じずにカツラにキスをする。舌を絡め取りながら上も下もカツラを貪る。 「ああぁっ、ああぁっ、...。はぁ、はぁ、はぁ...。」 キスに感じたのかカツラの粘膜がタイガをなおさら締め付けた。 「くっ!」 タイガも声をあげる。気持ちが高まり腰の動きはより速まり、一気に一緒に果てた。タイガの腹にはカツラの、カツラの内側にはタイガの白濁が放出された。どちらともなくまたキスをししばらくお互いの唇を吸い続けた。ようやっと唇も体も離れ体を綺麗に拭き、ベッドで横になった。  先ほどのカツラとの会話でタイガは思い出したことがあった。まだ決定ではないが、カツラの耳に先に入れておこうと思い話し始めた。 「実は今度カエデと会えそうなんだ。フジキさんも一緒に。カツラも行かないか?」 「え?カエデと?」 どういうことなのだというふうにカツラが身を起こした。 「ほら、『desvío』で厄介になったレストランがあっただろ?あそこの一周年記念のパーティーがあって。関係者だけが招待されるんだ。フジキさんはもちろん俺にも声がかけられて。」 「うん。」 「その話をしているときに偶然カエデがフジキさんを訪ねてきたんだ。前に話したろ、よく一緒に仕事するって。それでカエデに声をかけたらおそらく大丈夫だろうって。カエデもカツラに会いたいって言っていたから。」 カツラがじっとタイガを見つめてきた。美しい翠の瞳に絡みとられ、タイガは自分がなにか変なことを言ったのか今話した会話を頭の中で繰り返し確認し始めた。 「わかった。じゃぁ、俺も行く。俺もカエデとちゃんと話してみたい。」 「そっか、よかった。」  タイガは背中にひやりとしたものを感じた。「なんだったんだ、今の間は?」カツラはさっとベッドから起き上がりガウンを羽織って「先シャワー浴びる」といって寝室から出て行った。「まさか、カエデとのこと疑ったりしてないよな?こんなに尽くしているのに。」タイガは不安が募り、いてもたってもいられなくなり、急いでカツラの後を追った。その後二人はバスルームで再び愛を交わした。

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