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第166話 14-7(R18)

カツラが記憶を失くしてから一月近くが経とうとしていた。カツラはあれからタイガとはほぼ毎日体を重ねている。タイガとのセックスに夢中になっていた。セックスをするのだから、その流れで二人は一緒にカツラのベッドで眠っていた。 カツラは今まで多数の者と夜をすごしてきたが、一度でも誰かの隣で熟睡なんてしたことがなかった。しかし、タイガの隣だと不思議と深い眠りにつけた。タイガは年下であったが、彼に甘える心地良さも感じていた。しかも最近やたらとタイガの体に触れたいのだ。 記憶を失くした当時、タイガはうざいだけの男だったが、今では一緒にいると安心する存在になっていた。タイガと過ごす時間は楽しく、飾らない素の自分でいれた。カツラには初めてのことだらけだった。 その日もセックスをし、カツラはタイガの後シャワーを浴びていた。洗面所で体を拭いているとふとそこに置かれたリングに目が留まった。「これは...」それはタイガがカツラのものだと言っていた翡翠のリングのネックレスだ。「たしか婚約の証とか言ってたっけ」カツラはリングを手にし、じっと見つめた。鏡に映る自分の翠の瞳と同じ色のリング。カツラはリングを首にかけた。 「カツラ?」 シャワーからの戻りが遅いと思い洗面所を覗くとカツラはまだ素っ裸だった。美しい後ろ姿にタイガは性懲りもなくまた欲情した。女性のようにはっきりとしたくびれのあるウエストに高い位置にある尻。それは豊満だがひきしまり上向きでつい触りたくなる。 タイガが視線をそらし鏡越しにカツラを見ると、カツラの首元には翡翠のリングが輝いていた。 カツラは両手を首にまわしローションを塗っている。爽やかな香りに包まれたカツラは美しく、身につけているのが翡翠のリングだけというのが余計に興奮をさそう。 「カツラ...」 タイガがそっとカツラに近づいた。タイガの視線はカツラの首元のリングにむけられている。 「これ...俺が持ってたほうがいいんだろ?」 カツラが鏡越しにタイガの視線に気付き、振り返りリングに手をかけ尋ねた。 「でも...」 タイガはもちろんカツラに持っていてほしかったが、カツラの負担にはなりたくなかった。押しつけがましいと思われるのがいやだった。毎夜体を重ねているとはいえ、カツラが自分のことを愛してそうしているとは思えなかったからだ。 「なんだよ?俺に持っててほしいんだろ?」 「それはそうだけど」 「じゃ、持ってる。俺の()と同じ色だしな」 カツラはリングに指をかけ、洗面台にもたれた。 カツラは裸のままだと理解しているのだろうか。こうしている間もタイガはカツラを抱きたくて仕方がなかった。 「タイガ」 カツラがタイガに近寄り彼の肩に両腕を回す。 「お前、目が血走ってる」 そういってそのままタイガにキスをした。そして手はタイガの体に沿わせたまま下に下ろしていき、タイガのズボンと下着を一気にずり下ろす。カツラは重力に逆らいいきり立ったタイガの分身を見て意地悪な眼差しをタイガに向ける。そして自分は洗面台の上に腰を下ろし大きく足を開脚した。 カツラの視線はタイガの顔を捕らえたまま、それ用のローションを手に取り自分の秘部にたっぷりと塗り込んでいく。タイガによく見えるよう秘部を突き出し、彼を煽るように指を使い、自分の蕾を押し広げながら丁寧に塗り込む。クチュクチュといやらしい音をたてながら蕾がほぐれていくにつれ、タイガを見つめるカツラの視線に余裕の色がなくなっていく。 「はぁっ...」 カツラはかすかに息を切らしながらその行為を続け、いよいよ準備ができたのか片手で蕾をクパッと開き、舌で自分の唇を舐めた。その表情はタイガに「はやくこい」といっていた。 タイガは導かれるようにカツラに近づきいきり立った自分を甘く開いた蕾を押し広げながらゆっくりと付け根まで挿入する。 「ああああっ、んっ、はぁ...」 「くっ!!」 二人は激しく唇と舌を絡ませ腰を動かし始めた。動く度にカツラの首元の翡翠のリングが激しく揺れる。ローションのおかげでタイガの挿入はスムーズで、カツラは後頭部にたまらない快感を感じた。色を濃くしたタイガのブルーの瞳を見つめながら唇を奪い合う。 「俺は...お前を愛している...?」 カツラはタイガと体を重ねながら自問自答していた。タイガの指がカツラの白い尻に食い込む。思い切り揉まれ左右に開かれた尻、その割れ目にはしっかりと太いタイガが埋もれている。 「ふっ、はぁっ、はぁ、あっ!」 タイガは思い切りカツラの尻を揉みしだいた両手を引き締まった美しいウエストへと滑らせる。そのまま色を濃くした乳首をぺろぺろと舐め始めた。カツラは我慢できなくなり、体を逸らせながら全身激しく痙攣し白濁をタイガの腹に出した。タイガはカツラにより深く挿入し、数回腰を大きく動かしカツラの中に出す。 「あああっ!あああっ!!タイガッ」 「ううっ...。ふぅ...」 タイガの愛液のせいでカツラの内側はいつもトロトロだ。でもそれが心地よく、カツラはタイガとのセックスに満足していた。 激しいが優しい、真っすぐで愛情深い。くそがつくほど真面目で融通がきかない。でもそんなところがかわいらしい。タイガに惹かれている自分を自覚していた。 「俺は...お前を愛している」 カツラの疑問が確信にかわりつつあった。

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