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第172話 14-12

完成した婚姻届けを見てタイガがいったいどんな顔をするのだろうと想像するだけでカツラは胸が高鳴った。 帰宅し部屋に入るとタイガがリビングのソファに座り、仏頂面でパソコンを睨んでいる。 「タイガ、お待たせ」 ご機嫌なカツラの声にタイガはさっと立ち上がり、急ぎ足で近づきカツラの肩を掴んだ。 「どこに行ってたんだ?」 カツラを待っている間、タイガは不安で仕方がなかった。またカツラになにかあったら...詳しい行き先を確認せずにカツラを行かせた自分を呪っていた。 「タイガ、落ち着けって」 カツラはタイガの頬に触れ微笑んだ。タイガはカツラの顔を見た瞬間つい見とれてしまう。「なんだ、いったい?どうして今夜はこんなに綺麗なんだ?まさか他の男と...!」タイガがあらぬ想像を膨らましかけたとき、カツラがタイガから預かった婚姻届けを差し出した。 「これ...」 タイガはカツラから受け取った折りたたまれた婚姻届けを開き中を確認した。 「カツラっ!これ...」 タイガの薄く明るいブルーの瞳が驚きで見開いている。そのままカツラに視線を向ける。タイガの表情を見てカツラはタイガは本当にかわいいと思ってしまう。カツラはコロコロ変わるタイガの反応に満足し話し始めた。 「店長に署名してもらってきたんだ。俺はもう一秒たりとも待ちたくない。今から二人でこれを役所に出しに行くぞ」 カツラの計画を聞き、タイガは自分と同じようにカツラが思っていてくれることに感動した。 そのままカツラを強く抱きしめた。 「カツラっ!ありがとう。行こう、一緒に」 婚姻届けを提出するためカツラはタイガと一緒に役所へ向かう。 こうすることになんの迷いもない。いよいよなのだと人生の節目に今いることをカツラは自覚する。 届けは問題なく受理され二人は法的にはれて夫婦となった。タイガとこの先もずっとすごせる。カツラの胸は今まで経験したことのない充実感で満たされていた。 「カツラ、これからもよろしく。俺、大切にするから」 「それはお互い様だ。結婚式、しないとな。神の前で誓い合おう」 「カツラっ!」 タイガはカツラを強く抱きしめた。今夜もまたカツラを離せそうにない。 二人で手を繋ぎながら自宅へ戻る。今日は長い一日だった。 「タイガ。婚姻届けの件をじいさんに連絡したら珍しくメールが返ってきたんだ。大切なことだから予定を切り上げて戻ってくるらしい。都合がいい時に会いに行かないか?」 自宅につき部屋に向かいながらカツラが言った。タイガはもちろんカツラの育った場所、環境を見てみたかった。今ちょうど仕事は落ち着いている。 「おじいさんの都合に合わせるよ。楽しみだ」 タイガの返事を聞きカツラが優しく微笑んだ。タイガだけにむける特別の笑顔。今夜カツラが美しく見えた理由が分かりタイガはなおさら嬉しさがこみ上げた。 「タイガ...、ダーリン、愛してる」 タイガの顔に触れながらカツラが囁いた。カツラもタイガと同じ気持ちなのだ。 「ベッドに行く?それとも風呂?」 タイガは腕をカツラの腰に回し優しく下の方へと下ろしていく。 「そうだな...。シャワーは浴びたから...お前と早く繋がりたい」 「カツラ...」 タイガは額をそっと近づけ「俺もだ」と呟いた。そしてキスをしカツラの膝の下に腕を入れ軽々と女性のように抱きかかえた。 「タイガっ」 さすがに恥ずかしく、カツラは下ろしてくれるようにバタバタともがき始めた。そんなカツラにはお構いなしで、タイガがカツラに顔を向け静かに話した。 「俺の最愛の人、生涯の伴侶、一生君に仕える。愛してる」 真剣な優しい眼差しでそう言われカツラは胸がドキドキとしときめいた。もう抵抗することはやめ、大人しくタイガに抱きあげられたままカツラは首を伸ばしキスをした。 タイガにベッドにそっと横にされ服を脱がされる。今日はずっとタイガに抱かれていたカツラであったが、早くタイガに抱かれたくて仕方なかった。

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