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第175話 15-1

「今日はこの界隈でイベントがあるから今夜は忙しくなるぞ。メンバーは大丈夫そうだな」 久しぶりに今日は店長がオープン前から店に顔を出していた。週末の上にイベントありということで今夜は気合が入っているようだ。早番のメンバーに簡単な業務連絡を伝える。 「それから、みんなに報告しておくことがある。カツラが結婚した」 店長のこの話にみんな驚きのため言葉を失いカツラに視線が集中する。そんなみんなの様子にはお構いなしで店長は話を続ける。 「近いうちにここで内輪でセレモニーパーティーをするつもりだ。みんなぜひ出席してくれ」 「カツラ、結婚って!記憶が戻ったの?」 業務連絡が終わるとみんながカツラの元に集まる。婚姻したと聞いてピンときたホリーがカツラに詰め寄り確認する。 「ああ。元通り以上だ。一昨日入籍した。あとは式だな」 腕を組みながら幸せそうに話すカツラにフヨウ以外のメンバーが祝辞を述べる。みんな自分のことのように微笑ましくカツラに祝辞を述べた。 「ありがとう、みんな」 そんなメンバーにカツラは微笑み礼を述べる。新しく人生の門出を迎えたカツラはひと際美しかった。フヨウは複雑な気持ちでカツラに声をかけた。 「カツラさん、おめでとうございます。タイガくんとダメになったらいつでも俺がいるんで」 「お前、縁起でもないこと言うな。殴るぞ」 言葉ではこう言ってもカツラの表情は晴れやかだった。フヨウがそんなカツラを見ているとホリーがどうして記憶が戻ったのか尋ねていた。 「なにかきっかけがあったの?」 「それは…秘密」 カツラは口に人差し指をあてそう答えた。 つい最近カツラの恋人の存在を知ったばかり。そしてその後しばらくして結婚。あまりの展開の速さにフヨウはもしや自分のしたことが二人の結束をより固めてしまったのではと複雑な思いでいた。まだ未練たらしくカツラを思うフヨウはカツラに視線を奪われたまま一人物思いにふけっていた。 「近々一週間ほど休みを取ることになると思う。その時は店のこと、頼むな」 カツラは思い出したようにホリーに伝えた。 「大丈夫よ、任せて」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「店長が今夜みんなに報告したんだ。俺たちの婚姻を。今度店でパーティーをしてくれるそうだ」 自宅に帰りタイガと晩酌をかわしながらカツラが機嫌よく今日の出来事をタイガに報告した。 「ありがたいな。ちょっと照れくさいけど」 カツラはそんなタイガを見つめ優しく微笑む。 「店長に休みの件も話したから。タイガは大丈夫そうか?」 「会社の方には話を通してあるよ。向こうは暖かいんだろうな」 「この時期はそうだな。もう半年もすれば雪が降るけど」 タイガとカツラはカツラの祖父に会いにいく計画を立てていた。二人の結婚の報告とタイガを紹介するためだ。 もう入籍をすませ、法的に夫婦となっているため、タイガは多少の緊張感はあるものの叔父に紹介されるカツラの状態とは全く違っていた。既に夫婦なので、誰かに反対されたからとカツラと離婚する気も別れる気もさらさらないので気分は落ち着いていた。 結婚する前からほぼ毎日頻繁に愛し合っていた二人であったが、本当に夫婦になってからはその頻度はさらに増え、セックスの内容も濃いものになっていた。 こうして普通に話しているときでさえタイガはカツラを抱きたくて仕方がないのだ。そしてそんな瞳でカツラを見ていると、カツラも「俺も同じだ」という眼差しで返してくる。結果、場所を厭わず激しく愛し合う事になるのが常だった。 カツラの祖父に会いに行く日程の調節、結婚式、新婚旅行と決めなければいけないことは山積みであったが、いまはお互いを求め合うことに二人は夢中になっていた。どちらともなく近づき熱い口付けをし、そのまま愛し合う。一度ではなく二度、三度と愛の行為を繰り返した。

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