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第182話 15-8(R18)
ほんの一瞬の時間だが、タイガの頭は高速で動いていた。この部屋のドアには鍵はない!開けられたら終わりだと。
いま二人は裸同然でドアの正面にあるベッドで抱き合っている。しかも未だにつながったままで。カツラは際どい下着を身につけあられもない姿だ。部屋に入ればあれ特有の匂いも充満している。誰が見てもなにをしていたのか一目瞭然だ。
しかもソロは一体いつ部屋の前にきたのか?少しまえならば、二人が絶頂を迎え果てた色めいた声も聴かれているはずだ。
「なに?」
そんなタイガの心配をよそにカツラがあっさりと返事をした。
タイガは緊張した目で下になっているカツラを見つめた。カツラはタイガの考えていることがわかっているのか、タイガの髪を優しく撫でている。
「急遽出なきゃいけなくなった。チキンだが時間がきたらオーブンから出しておいてくれ」
ソロは部屋には入ってこずにドア越しにカツラに頼んだ。
「わかった。タイマーしてるんだろ?」
「ああ。じゃ、頼んだぞ」
ソロは要件を伝え終わるとそのまま立ち去った。ソロが階段を降りていく音をタイガは耳をすまして聞いていた。
「タイガ、ビビりすぎた」
カツラがタイガの態度にくすっと笑いながら言った。タイガはソロの足音が遠のくまで息を止めていたらしく、はぁぁと大きく息を吐いた。
「だって…普通は入ってくるだろっ」
「ソロはそんなことはしない。まぁ、もしかしたら声がもれていたかもしれないけど」
カツラがタイガの目を覗き込みながら片眉をあげ、意地悪く言った。
「え…」
「はははははっ」
タイガの反応にカツラが吹き出した。身内にあの時の声を聞かれてカツラは恥ずかしくないのかとタイガは不思議に思ってしまう。
「お前はほんとにかわいいな」
タイガのどうしたらいいかわからない顔を見て、カツラがまたちゅっとタイガの唇を吸う。
「ソロは外出したから下でシャワー浴びるか?」
「うん」
タイガは膝まで下ろしたズボンと下着をいそいそと履き直し、シャツを手に取った。カツラはそんなタイガを置いてTバッグを脱いで素っ裸で下におりて行ってしまった。「自分の家なんだろうけど...」タイガはカツラの行動に一瞬呆然とする。まだ階下にソロがいるのではドギマギしながら下に降りると、ひっそりとした中バスルームからシャワーの音だけがしていた。
タイガは急ぎサニタリールームのドアを開け服を脱ぐ。奥に続くバスルームの中に入るとカツラが頭からシャワーを浴びているところだった。
「きたな?」
そっと振り返るカツラの横顔は美しく、先ほどまで彼の体を好きにしたのだと思うと、もう一人のタイガがまたむくむくと起き上がる。タイガは背後からカツラを抱きしめた。
「おまえ、ほんとに元気だな」
タイガのいきり立った分身を肌に感じ、カツラがニヤリと笑った。しかしカツラは気を悪くしているどころか、タイガの反応に満足しているようだ。手を後ろに回し、もう一人のタイガを掴んだ。
「うっ...。カツラ」
カツラはタイガと向き合い、シャワーがかからないように移動しタイガの股間の前に膝まづいた。そしてそれをボディーソープで優しく丁寧に洗う。
「ああぁ...」
タイガは気持ちよさに甘い吐息を漏らした。
チュッ、チュッ、チュッ...
今までと違うこの上ない刺激がきたと思ったら、泡を流し終えた分身の先っちょをカツラが口に含んでいた。
「カツラっ!」
タイガの呼びかけにカツラは目だけ動かしタイガの顔をみる。とてもエロティックな眼差し。
赤い唇に巨大に勃起したタイガ自身が含まれている。カツラの小さな口は含んだものを愛おしそうにチュパチュパと力を入れながらしゃぶる。時々口から出すとペロペロと赤い舌でタイガ自身を舐めまわす。男のカツラはどうされたら気持ちいいのかよく知っているため、その行為はタイガが望む通りに行われた。
タイガは快感のあまり手を壁に着き、息を荒くしながら首を逸らし目を閉じた。
クチュッ、クチュッ、チュッ、チュッ、...
口腔内の筋肉を使い締め付けながら動かされると、どんどん血液がそこに集まっていくのが分かった。カツラの内 も気持ちよくてたまらないが、久しぶりに口でされるとより感度が敏感になっているように感じた。
息を切らしながら視線を落とすと、無防備に素っ裸で男の股間にむしゃぶりついている美しい男が目に入った。
タイガが見ているとカツラが視線をあげタイガを見た。
タイガは思った。今自分はカツラを完全に支配している。妙な征服感と言いようのない充実感に包まれる。その瞬間、股間でくすぶっていた快感が全身を駆け巡った。
「ぐあああぁっ!」
タイガは射精した。タイガの精液がカツラの顔にかかり、美しい顔に白い液体が光る。
「はぁっ、はぁっ、...」
カツラに視線を落とすと手や顔にかかったタイガの精液をペロペロと舐めていた。自分を見つめるタイガの視線に気付くと満足そうに微笑む。
「すっきりしたか?」
立ち上がり流したままのシャワーで顔をゆすぐ。そのまま息を切らし快感のあまりほぼ放心状態のタイガに口づけをする。
「旨かった」
両腕をタイガの肩に回し、舌で唇の端をペロリと舐めくすっと微笑む。タイガはそんなカツラが愛しくてたまらず抱き締め濃厚なキスを返した。
「カツラ!愛してる。めちゃくちゃ気持ちよかった。ちゃんとお返しするから!」
「また今夜な」
お互い体を綺麗に洗い、二人はようやっとバスルームをあとにした。
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