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第200話 15-26
「ポーカーは難しいかもなぁ」
カツラがトランプを繰りながらつぶやいた。
「なんで?」
「タイガはばか正直だからすぐに顔に出る」
カツラがくすっと笑いながらゼファーに理由を伝えた。
「な?お前なんかやってるのか?」
ゼファーはカツラに尋ねながらカツラの首に腕を回した。二人の顔はもうすぐそばだ。カツラが振り向くと、唇と唇が触れそうになる。しかし二人のこんな距離は日常茶飯事で今さら気まずくなることもなく、カツラはニヤリと笑いゼファーの手を取り、するりと腕から抜け、お返しと言わんばかりにゼファーの背後に身をひるがえし彼の腕をねじ上げた。
「っのやろうっ!!」
負けじとゼファーがカツラに技をかけソファに押し倒す感じで背後に立った。カツラはゼファーに体重をかけられながら腕を背中に回され取られているが、表情は余裕だ。そんなカツラにゼファーが逃がすものかと言葉で攻撃に出る。
「カツラ、覚えているか?俺に言ったこと?」
「え?」
カツラはゼファーの計画にまんまとはまり、すぐには反撃してこなかった。
「なんだよ、それ?」
「心当たりもなしか?」
「はあ?」
カツラがゼファーの顔を見た。彼の顔は真剣だ。なんかあったか?とカツラは思い出そうとするが思い出せない。
「自分は男だから女にしか興味ないって言ったろ」
「は?」
ゼファーの言葉を聞きカツラは記憶をたどった。確かそんなことがあったような...。あの時の…冗談じゃなかったのか?カツラは再びゼファーを見た。
「あれは...」
「俺は本気だった。ただ幼かったからそれ以上踏み込めなかった。カツラを困らせたくなかったし」
カツラはゼファーがなぜ今そんなことを言うのか高速で思考を巡らせていた。
「なんであいつなんだ?俺じゃなくて」
「ゼフッ、俺は...」
ゼファーはやりきれないという風にカツラのうなじに唇を落とした。
「ちょっ!ゼフ、辞めろって!!」
カツラはゼファーから逃れようとしたが、あまりにも長い時間技にかかったままになっていたので、体重も掛けられた上にしっかりと絡み取られ身動きが取れなかった。カツラはゼファーが諦め技を解いてくれるまで待つしかなった。
「カツラ」
カツラの腰にゼファーのわずかに反応した分身が当たった。カツラは幼馴染でもあるゼファーの予想外の突然の告白と体の反応を受け軽いパニックに陥った。
「ゼフ、俺はもう結婚してるんだ。こんなことは困る。離してくれ!」
「抜け出してみろよ?」
予想通りだがカツラからの拒絶にゼファーはやりきれなくなった。ゼファーはカツラの捻り上げた腕により力を込めた。
「痛ッ!!参った!参ったからっ」
タイミングがいいのか悪いのか、ちょうどその時タイガが階段から下りそんな二人を目撃した。
「なにやってるんだ!!」
タイガが走り寄り、ゼファーはぱっとカツラから手を離した。
「ぃたたたっ...」
開放された手をカツラはもう片方の手でさすっていた。
「今回は俺の勝ちだな」
二人はいったい何をしていたのか?タイガはカツラに寄り添いゼファーを睨みつけた。ゼファーはタイガを無視し、アトリエの方に歩いて行った。
「カツラ、大丈夫?なにがあったんだ?」
「ははは...あいつとは小さい時から技の掛け合いをしてるんだ。今日は俺が負けた。完敗だ」
カツラは今はタイガにゼファーとの会話を聞かせるべきではないと思い、そのことは伏せておいた。
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