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第201話 15-27
しばらくするとアトリエからソロ、ゼファー、リリーがリビングに戻りみんなでポーカーをした。カツラの予想通り、タイガは持ち手を読まれまくり大敗した。ポーカーが強いカツラもゼファーの言葉に多少動揺があったのか今夜の勝負では一番ではなかった。
酒が進んだせいでリリーはいつものおしゃべり好きの女性に戻り、タイガにカツラのどこに惚れたのかから始まり、挙句の果てには年収まで聞き出そうとした。
ようやく場がなじんできたが、夜も深まったので食事会はお開きとなった。
ゼファーとリリーを車まで見送る際、先に家を出たカツラとゼファーが二人になる。
「さっきの件、謝らないからな。俺は納得してない」
ふいにゼファーが言い放った。先ほど突然告白しカツラを締め上げたゼファーだが、気ごころの知れた二人の間に気まずさは微塵もない。
「何年前の話してんだよ?」
カツラは呆れた様子で答えゼファーの隣に並び、彼の車にもたれた。
「ゼフが先に結婚していたら俺もそう思ったのかな?置いてけぼりみたいな?」
夜空に輝く星を眺めながらカツラがぼそりと呟いた。
「そういうのじゃない。話逸らすな」
ゼファーがカツラに顔を向け言い放つ。カツラの瞳は星々の煌めきを受けキラキラと輝いていた。ゼファーの視線を感じたのかカツラもゼファーに顔を向ける。カツラの方が身長差は3センチほど高い。ほぼ同じ高さで目が合う。
「はい、はい。考えときます」
再びカツラが正面に向き直り、はにかみながら宣言する。
「なにを?」
「ゼフが納得する答えをだよ」
「はぁー」
カツラが結婚してしまったため、今更二人の関係が変化するなどとゼファーは期待しているわけではない。ただただやるせないのだ。過去は変えられないが、あの時もう少し踏み込んでいたらとは思わずにはいられなかった。
ゼファーは大きなため息をつき車のドアを開けた。
「まだいるんだろ?家に来いよ?飲みなおそうぜ?」
「ああ。酒持ってく」
「ほんと、今日はご馳走さま。タイガ君、良かったらここにいる間にうちにいらっしゃい。またケーキを焼くから」
ちょうどカツラとゼファーの話の区切りがついたところでリリー達が出てきた。
今夜食べたレモンタルトをタイガはべた褒めした。幼い時に亡くなった母が作ってくれたタルトの味に似ていると。それはお世辞ではなく本当のことであったが、そのことで気分を良くしたリリーが先ほどからタイガを放さないのだ。ご機嫌の様子でタイガに話し続けている。みんなに促されリリーはようやく車に乗り込んだ。
「カツラとお邪魔します」
行儀よくタイガが答えた。
「安全運転でな。おやすみ」
カツラが手をあげゼファーも阿吽の呼吸で手をあげアクセルを踏む。カツラとタイガ、ソロが見送る中、車は街の方へ向かって走り去って行った。
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先にシャワーを終えたタイガはベッドに腰掛けカツラが戻るのを待っていた。
今夜見たカツラとゼファーの距離はタイガが想像しているよりはるかに近いものだった。見送るときも楽しそうに二人で話していたことをタイガは見逃さなかった。タイガはゼファーの挑発的な目も気になっていた。
「タイガ、先に横になってればいいのに。今夜は疲れたろ?」
カツラが石鹸の香をさせ部屋に戻ってきた。髪が少し濡れとても色っぽい。慌ただしく帰省の予定を立てたため、カツラは髪を切りにいく暇がなかった。そのためいつもより前髪が長く目にかかりそうだ。髪を耳にかけた姿も艶めかしくタイガは他の男もカツラのことを性の対象として見るのではとハラハラしていた。
「そんな冷たいこと言うのか?俺はカツラとしたくて待ってたのに」
タイガがベッドから立ち上がりカツラのそばまで行く。
「タイガ」
タイガがカツラの両肩を掴み顔を近づけてきた。キスをされると思いカツラは目を閉じる。しかしタイガはカツラにキスをせずカツラの顔をすぐ目の前でマジマジと見つめていた。
タイガが何もしてこないことにカツラは不思議に思い片目を開ける。
「タイガ?」
カツラがタイガの名前を呼んだ瞬間、カツラはスウェットの上着を腰からめくり上げられ一気に脱がされた。タイガの行動は早く、そのままズボンも足元まで下ろされる。カツラは今、タイガの前で身に着けているのは下着一枚だけだ。
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