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第211話 15-36

夕飯はその日ソロとタイガが釣った魚料理だった。 タイガの振る舞いは至って普通だが、いつもとは違う。タイガがヤキモチをやいた後は必ず激しくカツラを抱くのが今までのお決まりのコースだ。しかし、あの後タイガはカツラを抱かなかった。もうすぐ夕飯ができるから、それまで休んでいるようにカツラに告げ、自分はさっさと一階に降りて行ってしまった。 カツラは付き合った相手の気持ちを推し量ることなど今まで経験がなかった。相手には申し訳ないが、全く気にならなかったからだ。それで嫌われ関係が終わるのならその程度の関係だと簡単に割り切れたし、逆に相手からあれこれと詮索されるのも嫌だった。しかし、今カツラはタイガの気持ちに大いに関心がある。タイガの心の中を詮索したくて仕方がなかった。 食事を終えたカツラはダイニングチェアに座ったまま、後片付けに勤しむソロとタイガをぼーっと見ていた。 「カツラ、暇なら車から眼鏡取ってきてくれ」 ふいにソロがカツラに話しかけた。 「え?今かけてるじゃないか」 「これは昔ので度が合ってないから見えにくい。助手席にあるはずだ」 「えー。そんなんで料理したのかよ?」 「美味かったろ?ぼけーっとしてるんだからさっさと行ってこい」 「あ、俺行きますよ?」 自分に頼まれたことをタイガに行かせるわけにはいかない。 「取ってくる」 カツラはさっと立ち上がり玄関に向かった。 車の中は真っ暗だったが、ソロの言う通り助手席にソロの老眼鏡があった。それを手に取り家に入る。 「老眼鏡忘れるなんてボケてるな」 ソロに話しかけながらダイニングに老眼鏡を置く。 「おお、悪いな」 さっきまでソロの隣にいたタイガがいない。 「タイガは?」 「先に風呂だ。今日は朝早くから疲れただろうからな」 カツラはバスルームのほうに目をむける。耳をすますとかすかにシャワーの音がする。 「コーヒーでも飲むか?」 しばらく経ってもカツラの返事がないと思いソロが振り向くと同時にバスルームに続くドアが閉まる音がした。 またか。全く飽きもせずに元気な奴だと半ば感心しソロは一人分のコーヒーを作り始めた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― カツラは洗面所のドアを開けた。棚にはタイガが今日着ていた服が綺麗にたたまれていた。相変わらずこういうところは几帳面だとカツラはタイガの畳まれた服を手に取り匂いをかいだ。 タイガの匂いを嗅ぐと安心する。タイガの服を元通りに置き、自分も服を脱ぐ。バスルームのドアを開けると体を泡まみれにして洗っているタイガがいた。 「カツラ!」 「背中、洗ってやる。貸して」 タイガは戸惑いながら泡にまみれたスポンジをカツラに渡した。 カツラはタイガの背後に回り彼の広い背中を洗っていく。筋肉が盛り上がり、自分の背中とは全く違う。尻も引き締まり男らしい体躯(からだ)だ。カツラはそっと手をタイガの体の前に抱きつくように回した。そのままタイガ自身を優しく掴む。カツラの裸体を目にしたときからタイガの分身は重力に逆らい思い切り主張していた。 「カツラ…」 「硬くなってるな」 タイガの反応にカツラは満足し、シャワーでタイガの体についた泡を流していく。

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