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第212話 15-37(R18)
カツラはまるでヘルス嬢がするように丁寧にタイガの体を流していく。タイガはカツラを血走った目で見ていた。
そんな目でお前に見つめられるとゾクゾクする。カツラはタイガの熱い視線に気づいていたが、わざとタイガと目を合わさずにいた。カツラに触れられタイガの分身はガチガチに固まり信じられないくらいいきり立っていた。
「ほら、綺麗になった」
カツラがようやくタイガと目を合わせる。そして両手をタイガの肩にそっと置き、触れるか触れないかのキスをした。
タイガの手がカツラの腰を掴み再び唇を重ねた。舌を入れ、愛している、こんなに欲していると確認するようにお互いを見つめ合いながら唇を貪る。カツラはたまらなくなり、股間をタイガの体に押し当て、片足を上げタイガに絡ませた。
「カツラっ」
タイガが唇を離し、カツラの首元に吸い付いた。
「あっ!」
予想外のタイガからの刺激にカツラはビクッと反応した。
タイガはそのまま顎、鎖骨へと唇を滑らせる。そして強く抱きしめた。
「カツラも…。今度は俺が洗ってあげる」
タイガはボディーソープを手にとり、泡だてカツラの体を洗い始めた。タイガは興奮しているため呼吸が早くなっていた。たくましい胸が上下している。カツラは早くほしいと訴えるような目でタイガを見つめていた。
自分の肌に触れるタイガの手の感触が心地いい。カツラの両胸の乳首は硬くなり、分身も勃っていた。カツラは大人しく立ったまま、タイガにされるがままにしていた。
「んんっ」
やがてタイガが一番敏感な尻の割れ目の奥の蕾を優しく洗い始めた。蕾や回りを泡で撫でられもどかしい。もっと強い刺激を体の奥にほしい。カツラは浴槽に両手をつき、腰を逸らし尻を突き出した。泡が腕を滴り落ちていく。
タイガがようやくシャワーで泡を流し始めた。尻の割れ目も綺麗に泡を流し終わりいよいよなのだとカツラはタイガからの愛撫を待った。
しかしタイガはカツラの体に触れることはなく、シャンプーを手にとりカツラの頭を洗い始めた。
「痒いところある?」
尻を突き出しタイガを思い切り誘ったつもりだったが、無視された。その気になっていたのは自分だけだった。タイガに避けられ続けた時のことが頭をよぎる。
恋人と関係がおかしくなったとき、どうやって修復したらいいのかカツラにはわからない。そんな経験がないからだ。カツラは今自分がしていることが途端に恥ずかしくなり、突き出していた尻を引っ込めゆっくりと立ち上がった。
「いいよ、自分でやるから」
カツラは頭に手をやり自分で洗い始めた。
バスルームに乗り込んだのは失敗だった。カツラは後悔していた。タイガと目を合わせられない。
タイガは自分と距離を置きたいのだ。心と体は違う。タイガの体が反応したのはただの生理的な現象だ。
タイガは嫌っていないと言っていたが、本音はわからない。タイガを不快にする毎回の出来事にとうとう煩わしいと思われたのかもしれない。しかも今回は自分の不注意が招いた結果だ。カツラはタイガとこれからどうしたら前のような関係に戻れるのかと高速で頭を働かせていた。
「カツラ」
タイガと離れたくない。カツラの頭を占めているのはタイガとずっと一緒にいたいという思いだけだった。
「カツラ」
どうしたらいいんだ?少し時間を置いたほうがいいのか?一点を見つめひたすら頭を洗い続ける。
「カツラ?」
あまり付きまとうと嫌がられる。やっぱり距離を置いたほうがいいのか?明確な答えが見つからず焦りだけが膨らんでいく。
「カツラっ!」
何度呼びかけても気づかず、無心に頭を洗うカツラにタイガが肩を掴んだ。
カツラははっと我にかえり、視線をタイガにむける。タイガがこちらを見ていた。タイガの瞳は濃い色をしていたが、眼差しは穏やかだ。
「あ、ごめん。なに?」
「頭、すごい泡立ってるから」
「え?」
鏡を見ると頭は泡だらけだった。
「ははは…。ほんとだ」
カツラは気まずくなりシャワーに手を伸ばした。
「先、あがれよ?俺、まだかかりそうだから」
なるべくタイガが気を使わなくていいようにカツラは普段通りを装い言った。
「じゃぁ…」
自分でそう言ったが、タイガがほんとうにすんなりバスルームから出て行ったのはショックだった。カツラはしばらく呆然としノロノロと頭を流し始めた。
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