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第224話 15-49
ゼファーを家に送り、ようやく自宅に辿り着く。タイガは車中、ずっと優越感に浸っていた。
カツラを信じていなかったわけではないが、タイガが耳打ちしたときのエナミオの顔はカツラがずっとタイガに言っていたことが事実であることを裏付けていた。
「中出しを許したのはタイガだけ」
結婚を意識する前からカツラはタイガにはこの行為を許していた。自分はカツラにとっては今まで関係を持ってきた者たちとは異なり特別なのだと思わざるを得ない。それが嬉しく気を抜くと自然に口角が上がりそうになるのを必死にこらえていた。
自分はまたカツラを激しく抱いてしまう。早くカツラの中に入って自分の全てをさらけ出し、深く混ざり合いたくてたまらなかった。
「タイガ、着いたぞ?」
カツラがそっとタイガの肩をゆすった。タイガはこみ上げる笑みを隠すため瞼を閉じ寝たふりをしていた。ゆっくりと瞼をあけるとカツラがタイガを見つめていた。
「平気か?」
カツラはタイガの体調を気遣い優しく声をかけてくれる。思えば今までカツラがタイガに対して素っ気無い態度をとったことは一度もない。
「うん。カツラ…」
タイガはカツラの肩を引き寄せ口付けをした。
「タイガ」
唇だけを離し、鼻先をくっつけたままカツラがタイガの名を囁いた。
「カツラ、いっぱい抱きたい。いい?」
カツラは照れたようにタイガに優しく微笑んだ。
「バカ。いちいち聞くな」
カツラがタイガに抱きつき、二人で抱き合う。もうソロが家にいようがいまいがタイガにはどうでもよかった。カツラを心のままに抱く。それしか頭になかった。
二人で手を繋ぎ微笑み合いながら自宅に入ると、ソロは外出しているようだ。タイガとカツラが目を合わせどちらともなくカツラの寝室に駆け込んだ。
部屋に入った途端、二人は急いで服を脱ぎ始める。もう一秒も我慢できないというふうに。先にタイガが素っ裸になり、カツラが服を脱ぐのを手伝ってやる。その間にも唇をカツラに重ね、カツラの口腔内を深く味わう。
二人とも生まれたままの姿になり、タイガはカツラをベッドに押し倒した。美しい翠の瞳に見上げられ、タイガはまたモクモクと独占欲が涌いてきた。カツラの唇をふさぎ、激しくキスをする。これから先もカツラは自分だけのもの。一生離さない。誰にも触れさせない。タイガは心のままにカツラを抱いた。
「カツラ?」
「ん?」
行為後二人でべッドに横になり眠るでもなくまったりとしていた。タイガはエナミオと知り合った経緯、カツラの過去について知りたい気持ちを押えられずやはりカツラに尋ねていた。
「旅行に行ったって...。いつの話?」
「え?」
カツラが身をおこしタイガの顔を覗き込む。少し気まずそうに目を逸らすタイガにカツラはエナミオとの件を確認したいのだと思い当たる。
「もう5年以上前の話だ。聞きたいのか?」
「それは...」
言いよどむタイガにカツラは困った顔をしながらも話し始めた。
「なんというか、男とセックスする楽しみを覚えたというか...。前に話したよな?それで試してみたくなったんだ」
「それって男とのセックスにはまったってこと?」
タイガがマジマジとカツラの顔を見て尋ねた。カツラはタイガとは異なり女性とのセックスの経験もある。女性とよりいいということなのだろうか。
「はまったというか新たな経験だったからな。発見みたいな?でもそれ目的で旅行に行ったわけじゃない。本当にリフレッシュのつもりで行ったんだ。エナミオとも最初からそんな感じじゃなかったし。ただあてにしていた女性とダメになって二人で飲んでいて。酒のせいもあったんだろう。エナミオが悪乗りして俺にキスをしてきて。それでまぁ...」
タイガはカツラの言わんとすることが分かった。エナミオは冗談のつもりが本気になってしまったのだ。キスをして誘惑された。一度ぐらいはいいかと思い男を抱いた。それが想像以上によく泥沼にはまったのだ。相手がカツラでなかったらエナミオも一夜だけの遊びで終わっていたかもしれないが。5年も引きずるとは。
「結構派手に遊んだんだ?」
タイガの一言にカツラが黙りこむ。
ノーザが言っていたことは嘘ではない。この容姿なのだ。その気になれば相手には困らないだろう。タイガは一瞬きっとカツラを睨んだが焦ったカツラの顔を見るとすぐに優しく微笑んだ。
「昔のことだから気にしていないよ。カツラはもう俺のものなんだから」
タイガはカツラの滑らかな背中を撫でながら言った。タイガの言葉にカツラの緊張が解ける。カツラはタイガに腕を回し抱き着くように体を密着させた。
タイガの気持ちは驚くほど落ち着いている。先ほどの行為でもタイガはカツラの中に自分の全てを出し切っていた。カツラの内 にはタイガの白い愛液が溢れている。それはカツラが身を動かす度に白い筋となってカツラの秘部から流れ出る。身も心も満たされたタイガは今またカツラと混ざり合いたくなった。
「ふふふふふっ」
不意にカツラが笑い出した。
「なんだよ?」
「タイガ。お前こんなに主張しておいて」
カツラは再び固く反り立ったタイガの分身を握りしめた。カツラの目は俺もお前と同じ気持ちだと語っていた。
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