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第265話 16-6

その日、タイガは取引先との打ち合わせが予想以上に早く終わったので、急ぎカツラが待つ自宅へと帰った。時計を確認し、自宅のドアを開けると室内は明るい。 「タイガ?今日はもう終わりか?」 ドアの音を聞き、カツラが出迎えに出てきた。ここ最近のカツラは特に美しい。長く伸びた髪のせいでとても色っぽく、タイガは当然毎晩カツラを激しく抱いていた。 昨夜の何度目かの愛の行為が頭をよぎる。 美しい裸体を惜しげもなくタイガにさらしたカツラを下に組敷く。カツラの左側を下に右足を高く持ち上げ尻の割れ目の先にある熟れた赤い蕾にタイガは固く勃起した肉棒を付け根まで挿入していた。カツラの緩く勃った分身からはパタパタと白い液が既に垂れている。両ひじで自分の体を支えながらよがるカツラの姿はたまらなく性欲をそそる。タイガはカツラの白いうなじにかかるサラ髪を優しく手で流しそこにキスをする。くすぐったいのかカツラがなおさら喘ぎ声をあげる。カツラの体は今やタイガからの刺激に全て反応していた。両方の乳首は赤く染まり固くなり勃っている。そして蕾の奥深くではタイガの肉棒をしつこく締め続けていた。少し動かしただけでタイガの肉棒の先から熱くたぎる濃厚な精液が噴出する。それはカツラの体の奥深くまで支配しようと射精された瞬間激しく駆け巡った。 タイガはごくりと唾をのみこんだ。カツラにたいしてこんな思いを抱いているのは自分だけだと思いたいタイガであったが、カツラへの執着心が強いタイガはいてもたってもいられない。 カシャッ。 ポケットから携帯をとりだし自分を見つめるカツラの姿を数枚写真に納める。 「なんだ?急に?」 タイガの行動を不思議に思ったカツラが片眉をあげる。 「カツラ...」 タイガはカツラに近づき訝しむ彼の顔を両手で包み込み、熱い口づけをした。カツラも素直に応えしばらくはお互いの口腔内を貪る音が部屋に響いた。 「カツラ。いまから少しだけ出られる?一時間ぐらい」 「別に...。いいけど?」 「じゃ、行こう。予約はしてあるから」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「おはよっ」 出勤時間には十分余裕を持って店についた。足どり軽く厨房を通りぬける。 「おはようごさいます!カツラさんっ!!髪、切っちゃたんですか?すごく似合っていたのに」 フヨウがとても残念そうに言いながらカツラに駆け寄った。 「ま、もともと伸ばすつもりはなかったし」 あの後、カツラはタイガに美容院に連れて行かれたのだ。 タイガ行きつけの美容院で今までと同じ長さでカットするようにと。特に異存のないカツラはタイガに言われるまま散髪してもらったのだ。 普通ならやりすぎと思われがちなタイガのこうした行動も、カツラにはたまらなくかわいらしく思えてしまうのだ。そしてタイガと同じ美容師に髪をカットしてもらったことも嬉しかった。 「おはようございます」 店内に入ると先に業務についていたウィローが振り向いた。髪を短く整えたカツラを久しぶりに見たせいか、最初ははっとするようだ。カツラは気にせず普段通りにする。 「大丈夫そうだな?」 「はい。うまく回っていますよ。ホリーさん、少しはよくなったんでしょうか?」 「さあなぁ...。ウィロー、連絡取り合ってるんじゃないのか?」 「心配ないって返信もらったままで」 ホリーが早退してから3日経っていた。 店は問題なく回っていたが、その後ホリーの体調がどうなったのかはみなわからずじまいだ。ホリーが妊娠しているかもしれないことはカツラと店長しか知らない。 あの気難しそうな彼氏ときちんと話し合えているのか。カツラはあまり気は進まなかったが、ホリーに連絡を取ってみることにした。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「はい」 翌日、カツラは出勤前にホリーに連絡を入れた。数回のコールの後、ようやくホリーが出た。彼女の声は暗い。 「ホリー。具合どう?」 「うん...。今から仕事?」 「ああ。もう一時間もしたら向かうよ」 普段は業務連絡以外ホリーと連絡を取り合うことはない。いつもメールでのやりとりなので、こうしてホリーと電話ごしで話すのは初めてのことだった。 「ホリー。話せた?」 カツラの問いかけにホリーからの返事がない。 「ホリー?」 カツラはなぜか電話の向こうでホリーが泣いているような気がした。 カツラの知っているホリーはいつも明るくて強い。しかし、つらいことがあっても我慢して無理をしてしまうところがあるのだと、ホリーの過去を知っているカツラはわかっていた。 「もうしばらくお休みする。ごめんってみんなに言っておいて」 電話は一方的に切られてしまった。

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