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第269話 18-4(R18)
「あっ、タイガっ、気持ちいい...。イキそう...」
その日、帰宅しシャワーを浴び二人でベッドに入るまでタイガはいつも通りの感じで過ごした。カツラを抱くまで溢れそうな欲望を我慢していた。今こうしてカツラの奥深くに入り激しくカツラの粘膜とこすり合わせると一気にその気持ちを解放し高速に腰を激しく動かした。四つ這いになり尻を高くつきあげタイガにされるがまま、快感に乱れるカツラはそんなタイガの気持ちなど一切気づかず、中できゅううっとタイガの固い肉棒を締め付けるといやらしい喘ぎ声とともに先に精液を飛び散らせた。
「ああぁぁぁぁ...いいっ!んんっ、んっ...」
締め付けがかなり良かったタイガは今は動きをとめていた。それでもカツラがビクビクといまだ痙攣を繰り返すので次から次に押し寄せる快感にタイガはしばらく耐える。まだ果てたくなかった。
しばらくするとカツラの呼吸が落ち着きようやく痙攣もおさまったようだ。そのタイミングでタイガはカツラの太ももと腰を持ち自分は座りカツラも同じ体勢にさせる。一息ついていたカツラは急にタイガの挿入角度が変わり、再び快感とも苦悶とも取れる声を上げる。
「あっ!あっ、んんっ!タイガ?」
振り向きタイガの様子を伺おうとするカツラの口をタイガはディープキスでふさぐ。
チュッ、クチュッ...
数分舌を絡め合い唇を離す。カツラは意識朦朧とした様子でタイガと目が合う。タイガの瞳の色はとても濃い。そう確認した瞬間カツラは緩く勃った分身をタイガに掴まれた。はっと思ったときにはタイガの腰が下から激しく突き上げられた。
「くっっ!!タイガッ...、ちょっと待っ、あ、あっ!!」
まだ固く太い肉棒がカツラの体の奥深くを突き上げる。しかしそれが動く度にカツラの前立腺を執拗にこすりカツラの分身はあっという間に勃起していた。カツラは惜しげもなく長い足を思い切り開脚し二人が繋がった部分は丸見えだ。タイガの太い肉棒をすっぽりと飲み込んだ後陰はカツラの愛液で溢れている。その周りをタイガは人差し指と中指でこすりながら親指ではカツラの陰茎を上から下へとしごき始めた。数十秒その行為を続け、今度はガチガチにたった陰茎をタイガはきつく握りしめ激しくしごく。カツラは自分の体内を駆け巡る快感にすぐに気付いた。あ!だめだ!!これは...、またくる!!と。
「タイガッ、ヤバイっ、ヤバイからっ!!」
カツラの必死の声も無視しタイガは動きを一掃激しくする。そしてトドメといわんばかりにもう片方の手でカツラの固くなった乳首をぎゅっと掴んでひねった。
「あああああっ!!!!」
ピシュッ!!
透明の液体がカツラの分身から激しく放出された。カツラは潮吹きをしたのだ。その瞬間タイガも局部のあまりの締め付けに耐えられずに射精する。カツラの裸の細い腰をしっかりと掴み彼の中にしっかりと濃厚な精液を放ったのだ。
「ぐはっっ!!」
先ほどの激しい動きが嘘のように部屋には二人の荒い息遣いだけが響いていた。タイガはカツラの滑らかな白い背中にキスを落とす。この男が愛おしくて仕方がない。カツラから我慢するなと言われたタイガは自分の気持ちのままに今夜もカツラを抱いたのだ。
週末だがタイガも明日からの二日間は出勤である。そのせいかもしれないがカツラがタイガの意見を聞かずに勝手に明日からの二日間の出勤を決めたことにも腹が立った。
しかも今日聞いた「ケアス エミュ チェ べホリッシュ」という異国の酒の話。やけに詳しいと思って聞いているとカツラはあの酒の自然ものを呑んだことがあったのだ。偶然知り合った人に飲ませてもらったと最初はごまかしていたが、あまりに怪しくタイガは無言の圧で問い詰めた。すると過去、「ケアス エミュ チェ べホリッシュ」を代々酒造している家の男と関係を持ったことが判明した。あの国の者は浅黒い肌をしている。しかし酒の言い伝えに関連してか白を好む者が多い。カツラは極上の色白美人だ。酒の情報、試飲と引き換えに体の関係をもったことは容易に想像できた。行為後ベッドで浅黒い肌の男に生まれたままの姿をさらし、肌を撫でられながら昔話を聞いたのかと思うと吐き気がした。またカツラ好みのガタイのいい男なのだろうかと変な想像までしてしまう。
タイガと知り合う前のカツラはゼファーが言っていた通り見境がない。過去のことなのでタイガはその件について責める気持ちはないが、湧き上がる嫉妬をこうしてカツラを抱くことでしか発散できなかった。
「満足した?タイガ」
カツラは態度にこそ出さないがタイガの気持ちにやはり気付いていたようだ。しかしその声は全くタイガを責めていない。振り向きタイガを見る瞳は愛にあふれていた。
「もっと抱いていい。まだ物足りないのなら」
一息ついた2人はようやく離れ向かい合って横になる。タイガに激しく抱かれたカツラは満たされた表情だ。タイガは無言でカツラを見つめていた。同性だが自分とは全く異なる中性的な顔立ち。カツラが放つ抗いがたいフェロモンにあてられ、タイガは近づき額にキスをする。男性であるにも関わらず、女性のような滑らかな肌、細く柔らかい髪。ホルモン療法など一切していないが年齢を重ねても瑞々しさを保っているカツラの存在は奇跡だ。過去はどうあれ今後一切自分以外の男には触れさせないとタイガは固く誓う。それにしてもやりきれない。
「酒のために体を許すなんて」
「え?」
タイガは満足したからか先程まで心を占めていた考えが無意識に声に出てしまっていた。カツラは顔を上げ大きな瞳を見開きじっとタイガを見つめている。
「あ、いや…、えと…」
タイガの呟きがカツラの耳にはっきりと届いたようだ。しまったと思うと同時にカツラからの無言の圧にタイガはたじろく。
「なんだよ、それ?俺が酒飲むために寝たって言いたいのか?」
その辺りの経緯についてカツラから詳しく説明は受けていない。タイガがきっとそうに違いないと勝手に思い込んだのだ。違ったのかという安堵の気持ちと今の言葉にカツラがさすがに気分を悪くしたのだろうかとタイガは下手に出て様子を伺う。
「違うのか?なら…いいんだ」
「よくないだろ?気にしているんだから」
タイガからしてみればカツラの反応はかなり意外なものだった。しばし2人は無言で見つめ合う。
「はぁ」
ため息と共にカツラがタイガから体を離し天上を見つめた。
「たまたまフィーリングが合っていいと思ったから。あいつがあの酒を作っていたのは偶然だ」
「そか。ははは…。そうだよな…」
カツラの言葉に不穏な空気を取り繕おうとタイガは努めるが、カツラはそんなタイガをジロリと睨みつける。俺をなんだと思っているんだといいたげだ。
「あの国は独特で一夫多妻制なんだ。しかも多妻っていうのは異性同性問わずなわけ。もう全部言ってしまうけど、プロポーズされたのさ。15番目の妻にならないかとね」
「はあ!?」
この言葉はさすがに衝撃だった。タイガはガバッと身を起こした。瞳の色はこれ以上ないほど深いブルーになっている。その目は自分の男が過去に他人から求婚されていた事実さえ許せないと訴えていた。
「あいつは当時俺と同じ24だった。初婚は18の時だってさ。でもさすがにな」
カツラはタイガの独占欲丸出しの眼差しに満足し、当時を思い出しながら詳細を話し続けた。
求婚はされたが冗談だと思い笑って受け流した。しかし数日間滞在予定だったその男の家で過ごす間にこれは冗談ではないと思い知ることとなる。
異国であったためなおさらカツラの容姿は目立った。将来家長となるべき男が妻にと見染めた男は伝説の女神のように色白で美しい。夢中になるべくしてなった。周りの者はみなそう思っていた。カツラが滞在している間、男は毎晩カツラを抱いていたのだから。
当然、カツラは既にいる妻たちからの嫉妬の目にさらされることとなった。
具体的に言えば、カツラの食事のスープの中に毛虫が数匹入っていたことがあった。しかもこれは一度だけではない。男性でありながら妻となったあどけない少年も笑顔の裏では嫉妬に狂っていたのだろう。神の酒を試飲するにあたって禊用にその少年が用意した聖水は熱湯だった。運悪くカツラの順番を抜かした他の妻が手に大やけどを負った。悪気はなかったと涙ながらに謝る少年にカツラは彼の心の闇を感じた。こうしたことは妻同士の間で日常茶飯事のようで、夫の男は全く気にしていないようだった。カツラはそのことに心底身の毛がよだった。
男の妻になる気はさらさらなかったが、ここにいたら身がもたないと肌で感じたカツラは引き止める男を無視し、予定を繰り上げ男の元を早々に立ち去ったのだった。
そういえば別れ間際に結婚の約束をした印にと蛇の姿をモチーフにした銀のブレスレットを渡されたことを思いだす。自分は婚姻の申し込みを了承した覚えはないのだが。あれはどこへやったのか...。
「カツラ?」
急に黙り込み片眉をあげ物思いにふけるカツラが心配になりタイガが声をかけた。タイガの瞳の色はもう落ち着いている。カツラの裸の肩を優しく撫でながら目では愛していると伝えていた。
「結局結婚はしなかったんだろ?カツラは今は俺のものなんだ。少し嫉妬しただけだ。今夜は眠らせないから」
覚悟をしろとその後の言葉をカツラは聞いたような気がした。カツラはタイガの太い顎に手を添え望むところだと微笑みかえした。
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