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第281話 18-15
自分が殴ったせいて片頬は少し腫れてしまったが、目の前にいる女は間違いなく絶世の美女だ。美しく光る翠の瞳は完璧な形をしており、見つめ返されると無言の圧に金縛りにあいそうになる。軽く閉じた赤い小さな唇は先ほどから微動だにしない。
男は夜の闇の中でもはっきりとわかる透き通るような白い肌を舐め尽くしたい衝動にかられる。ドレスを剥ぎ取り、好きなだけ愛撫する。嫌だと泣き叫びながらも体は素直に反応するに違いない。女の快感と羞恥心のために顔をゆがめる表情を想像するだけで男の股間ははちきれるほどに勃起した。長い手足を思うがままに組みほどき、思い切り体を開かせる。
数秒だが男は目の前の女を脳内で凌辱していた。今夜、これから起きることを考えるとニヤつきが止まらない。
卑猥な男の表情にそんな考えを見透かしたのかカツラはふっと微笑んだ。
「へぇ。俺より弱いのにできるのか?」
「おまえっ!!」
「男なのか!?」
カツラの低音ボイスを聞き、その場にいるフヨウ以外の男3人は驚いたようだ。
小太りの男と金髪男が信じられないものを見るような眼差しで驚愕の声を発した。
「な?バカなことはやめて話合いで解決しよう?
お前たちだって早くここから立ち去った方がいいんじゃないのか?」
カツラは男たち二人を嗜めるように落ち着いた声で話した。
「へ、へへへ...。面白い」
しかし金髪男はカツラをなおさら引き寄せ後ろから抱きしめるようにカツラの腕をひねった。人質がいるため男は相変わらず強気なのだ。
「本当に男か俺が確かめてやる」
「はあ?」
耳元でいやらしく囁く男にカツラが訳の分からぬことをと半分呆れ、顔を横に向けた瞬間、男はカツラのウエスト上部のわずかに肌が露出した所から胸へと遠慮なく手をすっと忍ばせた。
男の冷たい手はカツラの乳首を探し当てそっと掴んだ。親指と人差し指で優しく掴んでは放しを繰り返す。肉体に物理的な刺激を与えらえ、その感覚をタイガから嫌というほど学習させられているカツラの乳首はあっと言う間に勃ち固くなった。指でカツラの乳首を感じとった男はカツラの乳首の反応に満足し、相手が男であることも忘れその感触を堪能した。
「マジで男だな。それともまだ入れていないだけか?すごく固くなってるな。感じてんじゃん。気持ちいいんだろ?」
チュッ…、チュッ…。
男の行為はエスカレートし、カツラの首筋にキスを始めた。ひたすら乳首を掴んでいた指は今や開かれ手のひら全てで滑らかな肌と勃起した乳首を撫でまわしていた。カツラは無表情だが瞼は閉じている。男からの刺激にひたすら耐えているようだ。
「お前、マジでエロいな...。後でゆっくり舐めまわしてやるよ」
フヨウは我慢できなかった。自分が不甲斐ないばかりに大好きな人がわけの分からない男に好きにされている。犯されていくカツラを見ていられず固く目を閉じ憤る。
反抗しないカツラの様子に調子に乗った男はカツラの胸元からようやく手を出し、スリットの入った足に手を伸ばしていく。その手は上へ上へと感触を確認するようにゆっくりとあがっていく。ガーターストッキングを通り過ぎ、生の内太ももを撫で回す。その手はそのまま体の中心へとスカートの中にするりと消える。カツラの股間を揉みいやらしく手でまさぐる。目で見て分かるほどにスカートの下で手が激しく動きはじめた。
今や二人の様子に小太りの男も興奮した様子で注目していた。
男は薬指をカツラの秘部にそっと当てがいながら親指、人差し指、中指を使って器用に陰茎を扱き続けた。
「…っぁっ...」
一番敏感なところへの刺激にとうとうカツラが声を漏らした。そして小さなため息のようなこの喘ぎ声が男達の性欲をおおいに煽った。
小太りの男のナイフを持った手はすっかり緩み、もう片方の手は自分の股間を押えている。行為に及んでいる男はカツラが男であることなどお構いなしでこの行為にのめり込んでいた。首筋に舌を這わせ吸い付き、我慢も限界というばかりにカツラの唇に貪りつこうとする。
「おいっ、こっち向け!」
男はとうとうひねっていたカツラの腕から手を放し、唇を重ねるためカツラの細い顎を掴んだ。
「痛ってえ!!」
自分はもうどうなってもいいと小太りの男の気がそれていることに気付いたフヨウは捨て身の攻撃に出た。小太りの男に体当たりし、カツラの行動を制限している人質の解放に見事に成功したのだ。
「カツラさん!!」
「フヨウ、よくやった!」
カツラはそういうとするりと男の拘束を交わす。何が起きたかわからない男があっけに取られているとカツラはお得意の回し蹴りをお見舞いする。履いているスカートのことなど一切気にせずスリットが深く入った右足を高く上げ男に強烈な回し蹴りをくらわした。
カツラに注目していたフヨウは全て見てしまった。すらりと伸びた長くバランスよい美しい足。そして黒い下着から半分以上はみ出した形の良い上向きに上がった尻を。一瞬だがプルンと揺れるたわわな尻はまるでパンナコッタのように滑らかでしゃぶりつきたい衝動にかられた。しっかりと確認できた下着が食い込んだ割れ目は男の本能を刺激するには充分で、フヨウの下半身に血液が集まる。同じ男性とは思えないカツラの妖艶な肉体を間のあたりにし、フヨウの鼓動は早くなった。
深い傷を負ったフヨウの体は子孫を残そうと本能的なことも相まって股間はこれまで以上に勃起してしまっていた。
気絶した男を確認したカツラは小太りの男のそばへいき男の手足を彼のネクタイとベルトを使って素早く拘束する。
そして一目散にボロボロのフヨウに歩み寄った。
「フヨウ、大丈夫か?」
「俺はなんとか…。ママたちは?」
ママと彼女の元亭主はお互い抱きしめ合い謝り合っていた。二人は問題ないようだ。
「お前が一番重症だ」
「アハハ…。いてて…」
なんとか自力で立ち上がろうとしたフヨウはバランスを崩し、そのままカツラに覆いかぶさるようにこけた。ハイヒールを履いていたカツラもバランスを崩しそのまま背中を地面に突っ伏す。
「お前な...」
フヨウがごまかさそうと顔を上げると下に組弾いたカツラと目が合った。カツラは大きく瞳を見開いている。フヨウはこの瞬間エロティックな想像をしてしまう。この体勢はあの時の体勢であると。そしてカツラがなぜ驚いたような顔をしているのか思い当たった。ガチガチに思い切り勃起したフヨウの分身がカツラの太ももにあたっているのだ。
「えぇぇと...。これは...」
フヨウははははと笑いながらなんとかごまかそうと努める。
「お前、大丈夫そうだな!」
カツラは冷めた目になりフヨウをどんと突き飛ばした。フヨウは思い切り尻餅をついた。対応の落差に不満げに思っていることがつい口にでてしまう。
「いってぇ…。だってあんなもの見せられたら…」
「あ?なんだよ?」
普段目にすることが絶対にないカツラの体の一部を見てしまった。それはとても親密で性的な関係でないと見られない場所だ。カツラの肉体 はフヨウの想像を遥かに上回っていた。以前店で出会ったイジュより上だ。フヨウの体が素直に反応し、カツラを欲するのは仕方のないことだった。
いやぁ…となんとか自分の気持ちを悟られないようにフヨウは努める。カツラは片眉を上げじっとフヨウを見、訝しんでいるようだった。
フヨウの背中に冷や汗が流れるぐらいの沈黙のあと、カツラはようやく視線をはずし、さっと立ち上がった。
「ママさん、大丈夫か?」
カツラがママたちの介抱にむかう。フヨウも体をひぎづりながら、カツラのあとに続いた。
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