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第282話 18-16

カツラたちが店内に戻ると同時に警官数人がどかどかと入口から入ってきた。フヨウやママは驚いたようだが、カツラが警官たちの一番あとに入ってきたスーツ姿の人物と遠目に挨拶を交わすのを見て、カツラがここに来る前に警察に連絡をしてくれたのだと理解した。 「フヨウ!!ママっ!」 半べそをかいたユーリがその後に続いて店に入ってきた。彼女はボロボロのフヨウを見てわーんと声をあげながらフヨウに抱きついた。 「なにがあったの??カツラさんに警察に連絡したからって言われて訳が分からなくて...」 しゃくりながら話すユーリにフヨウは戸惑いながら、もう大丈夫だからとひたすら声をかけることしかできなかった。 「ユーリ、ごめんね。巻き込んでしまって。でももう大丈夫だから。あまり興奮するとお腹の子によくないから...。ね?」 ママもフヨウと一緒になってユーリを必死になだめている。そんな様子を見つめるカツラに一人の男が近づいた。先ほどカツラと挨拶を交わした男だ。 「全くよく化けたもんだな?」 男はたまげた様子でカツラをまじまじと見つめ賞賛の声をあげた。この男の名前はセンダン。トベラの友人で過去、カエデが襲われた時にも対応してくれた刑事である。 ライトブロンドの前髪を緩やかに流し、涼し気なヘーゼルの瞳にはクールな印象の眼鏡をかけている。ぱっと見近寄りがたい雰囲気をしているが、彼の声色は柔らかく話すと人に親近感を与える人柄なのだ。 当時親友のトベラのただならぬ様子に慌てて現場に駆け付けたセンダンは、女好きのトベラが女性ではなく男性連れであることにおおいに驚いたのだ。しかし紹介されたカツラを見て納得した。この男はトベラが喉から手が出るほど欲する類まれな存在であると。 その容姿からカツラのことを気にかけていたトベラは何かあればセンダンに連絡を取るようにと彼の連絡先をカツラに教えていたのだ。 「成り行きでね」 カツラは肩をすくめあっけらかんと答えた。 「写真撮っていいか?あいつに見せてやりたい」 ニヤリと笑いながら携帯カメラを向けるセンダンの手をカツラは払う。あいつとはもちろんトベラのことだろう。 「奴らは外で呆けてる。みっちり搾り上げてくれ」 「かわいい恰好しておっかいないこと言うね」 「ったく。フヨウがひどいけがしているから事情聴取するのなら...」 「はいはい。わかっているよ」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― パトカーと共に救急車も来ていた。見た目の傷のひどさの割にフヨウの怪我は大したことはなく、明日改めて病院で診察することになった。もう夜も遅い。 フヨウの体調が気になりカツラもフヨウとユーリと共に彼らの自宅に帰ることになった。 「今日はほんとうにありがとう。フヨウの命の恩人ね」 ようやく自宅に着きすっかり気分を取り戻したユーリは腫れた目に笑顔を浮かべてカツラにタオルを渡す。 「今日は助けてもらってばっかり。先に汗流してきて。きちんと休んでもらえるように準備しておくから」 二人の愛の巣?は2LDKのマンションだ。駅からは遠いが各部屋の広さは十分で案内されたバスルームもゆったりとしたスペースがあった。妊娠が分かってからユーリが貯金をはたいて引っ越したらしい。生まれてくる子供のことを考えてのことなのだろう。 カツラははぁと大きく息を吐き赤髪のウイッグを外す。くしゃくしゃと髪をとかし、片足を洗面台に掛けガーターストッキングをゆっくりと下ろし始めた。 コンコン... 「なに?」 「カツラさん。着替え、持ってきたんですけど...」 「入って」 「これ、俺のなんで合うかどうか...」 フヨウはカツラの了解を得て洗面所の中に入ったが、目にしたカツラの姿に言葉を失い固まってしまった。というのもカツラはフヨウのことなどお構いなしにもう片方の足を洗面台にあげガーターストッキングをゆっくりと下ろしていたからだ。それは深いスリットが入った右側で細く長い足が足の付け根まで惜しげもなくさらされていた。 フヨウの視線に気付いていないのかカツラはストキングを綺麗にたたむとフヨウに背中を向けドレスのジッパーをおろし始めた。カツラの動きはゆっくりでまるでフヨウに見せつけるかのようだった。ジッパーを下まで下ろすと丁寧に片方ずつ肩をからドレスを脱いでいく。露わになった両肩は滑らかで肌から見える骨格は美しかった。ドレスがウエストまで下りると盛り上がったヒップで一旦止まる。その時カツラがようやくチラリとフヨウを振り返った。 「ッ!!」 フヨウは息を呑む。カツラはフヨウの視線を気にせずドレスをそのままゆっくりと下におろしていく。ドレスがするりと音をたて足元まで落ちると同時に、今夜見た黒い下着が食い込んだ尻が目の前に現れた。尻と足の境目はくっきりと美しいカーブを描き丸みがある。重力に反して上向きに上がった両方のふくらみはまさに桃のような形で下着から半分以上はみ出し、はっきりとわかる割れ目の先に何とも言いようのない思いを馳せさせた。細いくびれ、女性と見紛う程の後ろ姿。均整の取れた太ももの肉付きも妖艶さが溢れ、フヨウは金縛りにあったように目を見開きごくりと唾をのんだ。 「どうした?」 カツラは言いながらフヨウに体ごと振り返った。そして棚にもたれ長い足を交差させた。フヨウはカツラの言葉とともにはっとし顔を上げる。ばっちりとカツラと目が合った。

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