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第322話 19-25

ひとしきり果てたケリアは相手の体内からまだ抜かず、余韻を噛み締めていた。 やはり彼も夢中になった。もう何度目の中出しだろうか。 ケリアは言いようのない達成感を噛み締める。やった!奪い取ってやった!いや、取り戻したのだ。ケリアはこのままカツラを愛人にし、ずっとそばに置いておくつもりだった。 目の前で激しく喘ぐ男のさら髪に手を絡め肩にキスを落とし名前を呼ぶ。 「カツラ」 「満足しましたか?」 自分の声と同時に背後から聞き慣れた声がし、ケリアはさっと振り向いた。そこにはタイガが立っていた。 「タイガくん?」 無表情で無言で見つめるタイガにケリアははっとする。自分は今彼の伴侶のカツラと深く繋がっているのだ。なぜタイガがここにいるのかわからないが、快感のため半ば酩酊状態のケリアはそのことを気にもしなかった。誰よりも美しい男をまた手中に納めた優越感のほうが勝っていた。ケリアは勝ち誇るように言い放つ。 「もしかして、一緒にやりたい?僕は別にかまわないけど」 いやらしい下品な笑みを浮かべるケリアにタイガは暗示がとける言葉を放つ。 「カツラはここにはいません。でも楽しめたようでよかった」 タイガの言葉にケリアの表情が一瞬くもる。なにを馬鹿なことを言っているんだと前で四つ這いで果てている相手を確認する。その時示し合わせたように男が振り向いた。 「めちゃくちゃ激しい。たまりすぎだよ、ケリア?」 ケリアは自分の名を馴れ馴れしく呼ぶ男を凝視した。いったい何が起きたのか理解が追いつかず数秒静止したまま男の顔をまじまじと見た。 笑みを浮かべこちらを見つめる男の顔は標準より上だが、カツラには劣っていた。黒髪のため後ろ姿はカツラに見えなくもないが。そう、いま繋がっている男はカツラではないのだ。 「だ、だれだ!?」 ケリアは慌てて男の中から抜け出した。ケリアが出しまくった精液がどろっと男の体内から出る。 「ひどいなぁ。あんなにもりあがったのに。ケリアは上手だよ?何度も確認していたけど。自信もって!」 信じられないものを見るようにケリアは男を見続けていた。 「どう…どうなっているんだ!」 「ありがとう。もう大丈夫だよ。シャワー浴びてきて」 タイガはケリアを無視し、男に声をかけると、男は「はーい」と返事をしベッドからぬけだした。ケリアは男の姿が見えなくなるまで彼の後ろ姿を目で追ったあと、タイガに視線を移した。 「タイガくん…。きみが?」 「一つ忠告しておきます。彼との一連の行為はビデオに撮っています。今後一切カツラに近寄らなければビデオは公表しません。あと、カツラに処方した睡眠薬ですが。検査に出し記録に残すので、妙な真似をすれば警察に届けます」 「いったいなにを…。僕は…。僕はカツラと」 ケリアは必死に記憶を辿ろうとする。いつだ?いったいいつすり替わった?ケリアははっとする。 「あの強盗は君か!?犯罪だぞ!」 「どの口が言うんです?ちなみにあれは俺じゃありませんよ。知り合いですけどね」 「どうして…。どうして間違ったんだ」 ケリア頭をかきむしった。カツラと思いこみ何度も抱き、中出しで果てたのだ。いいようのない喪失感に襲われ涙が溢れる。 「あなたもそんなにカツラが好きなら正々堂々、真っ当な方法でいけばよかったのに。せめて友人でとどまれた」 「何をしたんだ!?いったい僕に!」 ケリアの顔は今や涙と鼻水でボロボロになっている。タイガは卑怯者のこの顔をカツラに見せてやればよかったと思った。 「少し暗示をかけたんです。お返しです。これでおわいこですね。」 「ふざけるなっ!」 ケリアが怒鳴ると同時にタイガは大きな一歩でケリアに近づき彼の髪を鷲掴みにし顔を近づけた。 「それはこっちのセリフだっ!人のものに手を出しやがって!!充分味わっただろう!こっちは腑煮え繰り返ってんだよっ!」 そう怒鳴り返しケリアをほうり投げた。 いつも真面目で行儀良くしているタイガの豹変にケリアは愕然とする。ケリアを睨みつけるタイガの瞳は濃く、表情には凄みがあった。先程の怒りが嘘のようにわずかに乱れた服を直し姿勢を正したタイガは表情だけは変えずにケリアを一瞥した。 「これは最後通告です。カツラのことは忘れるように」 タイガは放心状態のケリアを残し部屋から音も立てずに出て行った。

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