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第333話 20-6

その後カツラは黄色と白のドレスをニ着試着した。 白は遊び心あるドレスと定番の花嫁衣装。黄色はドレープになったドレスでメイク仕様にこだわりがあったため時間を要した。着せ替え人形のように確認がすむと次はこの衣装と忙しなく着替え、結果、撮影は行われなかった。 「なかなか大変だったみたいだな」 「俺のは問題なかったけど、他の衣装で手違いがあったらしいんだ。それで撮影どころじゃなくなってしまって」 帰宅後、夕飯をとりシャワーも浴び終えたタイガとカツラは今日の出来事を報告し合っていた。 「それにしても本当か?」 カツラはソファーに並んで座るタイガの膝に手をおいた。 「うん」 「タイガがそばにいてくれると落ち着くんだ。仕事だからちゃんとやらなきゃって思うんだけど、勝手が違うから」 「カツラ、大丈夫。わかっているし、俺がそうしたいからそうするんだ」 タイガはカツラの頬に手を添え自分の思いを伝えた。 当初のスケジュールでは打ち合わせは今日一日で終わるはずであった。しかし思わぬトラブル発生のため終わらなかった。完璧を期すため後日改めて別の日にその機会が設けられたのだ。その時にはタイガが打ち合わせ会場に滞在すると今カツラは報告を受けたのだ。 「カツラのドレス姿もまた見てみたいし。俺は女性はダメなんだけど。カツラの女装は別みたいだ」 「まったく。うまいこと言うな。そうやって俺を気分良くさせるのはタイガだけだ」 「カツラ」 笑みを浮かべていたタイガが急に真顔になる。なにか重要な話であろうか。 「急なんだけどさ。明後日から連休だろう?俺の実家に一緒に来てほしいんだ」 それはつまりタイガの父と対面するということである。もう少し先の話だと思っていたカツラはすぐに言葉が思いつかない。表情が僅かにひきつるカツラにタイガは優しく声をかける。 「大丈夫だよ。なにがあっても俺が守るし。もう夫婦なんだから。それにそんな化け物みたいな人達じゃないから」 タイガの両親は結婚するのが遅かったため、カツラの祖父のソロと年齢が近いかもしれないと話した。しかし、カツラの耳にはあまり聞こえていなかった。 「タイガ、そんな。その…、ちょっと面食らっただけだ。俺はほら。こういうことには無縁だったし慣れていないから。ははは…」 視線を落としクッションの角を指で折り曲げる様子はまるで幼子が思い悩んでいるようで、普段のカツラとは正反対である。それはタイガの心をかき乱し、次の瞬間にはタイガはカツラの顎を持ち上げキスをしていた。しばらくお互いの唇を吸い上い、舌と唾液を絡め合う。数分後、どちらともなく唇を離す。カツラは情熱的な瞳でまっすぐとタイガを見ていた。 「落ち着いた?」 「うん…。家族なんだから、挨拶しないとな」 カツラはタイガの肩に顔を寄せるように抱きついた。

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