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𝐷𝐴𝑌 𝟚𝟡 ⇨ 𝐷𝐴𝑌 𝟛𝟛 ⑯
時計を見ると19時を回りRock the Oceanの夜営業の電飾の外看板が派手にピカピカ光っている。
麻比呂は朝の出勤から時間が経つにつれ気持ちのそわそわが強くなって落ち着かない。
「麻比呂、何でそんなずっと外ばかり見てんの?」
『別に外見てる訳じゃない。窓が汚れてるから拭いているだけだって』
夜営業が始まってからお客対応はそっちのけで雑巾を片手に一番外の道路がよく見渡せる場所の窓ガラスを上から下右から左へと滑らせて何十分が経っただろか。
「あのさ、拭くのはいいけど他の場所もやってくれる?そこだけその箇所だけ穴が空きそうよ」
『うるさいなぁ、もうやんない』
母親の言葉に反抗しながらも自然は窓の方へ向けていつ来るかとチラチラ気にしているのは当然、今晩みんなで集まろと約束した礼と佑香と二人。
『恋人じゃないなら、、何なんだよ』
小さな声で愚痴っぽく言いながらスマホをポケットから取り出す。30分前に届いた三葉からの"行くね"と言うメールを最後に他にはメールは来ていない。とりあえず一番奥の6人掛けテーブルを確保して待つ。
ROCKな音楽が流れる店内のネオン管ライトが真夏の夜に彩りを揃える様に客入りも順調だ。
"すいません、注文いいですか"と客に声をかけられれば対応せざるを得ない。麻比呂は"はい"と返事してオーダーを取りに向かう。
その時入口のドアが開いて活気の良い母親の"いらっしゃいませ"が響いた。そこには礼と佑香が姿があって気付いた母親が駆け寄る。
「こんばんは」
「いらっしゃい。麻比呂から聞いてそろ来る頃かなって思ってたの」
「すいません、忙しい中突然お邪魔して」
「ううん、全然よ。それに、今日はこちらの可愛いお嬢さんも一緒で」
「あっこんばんは!三葉さんに誘ってもらって楽しそうだったので来ました。それにしても素敵なお店ですね」
「ありがとう。まぁ完全なパパの趣味のお店だけどね」
店の中をぐるっと見渡しながら佑香と母親がお喋りを始める。接客中の麻比呂はまだ二人の存在に気づいていないが礼はすぐに、麻比呂を見つけて真面目に働いている姿をじっと見つめる。
「奥の席とってあるから、どうぞ。まだ三葉ちゃん達は来てないけどすぐ来るはずだから」
「ありがとうございます」
二人は案内された奥の席に隣り同士で座り、待つ間飾ってあるギターを興味津々に見て楽しそう話している。側から見れば海に夏のバカンスを楽しんでいるカップルに見えているだろう。
『注文は以上ですね。少々お待ちください』
まだ二人が来ている事を知らない麻比呂は接客を終えて、手書きのオーダー表を見ながらキッチンへ行き母親に渡す。
『これ7番テーブルのオーダー』
「ありがと。あっ、麻比呂、お似合いの二人来たから水持ってってくれない?」
『お似合いの二人?』
「真壁くんと彼女よ。奥のテーブルいるわよ」
「お〜彼女連れてきたのか!そりゃ邪魔しちゃ悪いんじゃないか」
横で調理をしていた父親も手を動かしながら耳を傾けて会話に入る。礼が来ているのを聞いてそれとなく奥に目を向ける。二人はメニュー表を開いて注文を選んでいる様だ。
『違うよ。本人が彼女じゃないって言ってた』
「あらそうなの?」
「彼女じゃないなら奥さんか?」
『は?何でそうなるんだよ』
「だってよ、ただの友達が職場を訪ねてくるか?友達何人かと来るなら海に遊びにって可能性も考えられるけど、一人で来てるなら友達以上の間柄だろう」
その通り、父親の言った事は麻比呂も同じ様に思っていた事。それが胸のつっかえが昨日から取れない理由なのも分かっている。
『、、別にあの人が礼さんとどんな関係だって関係ない。店に来たただのお客さんだよ。じゃあ注文聞いてくる!』
そう言ってグラスに氷と水を注いで両手に持って二人のいる奥のテーブルに歩いていく。店内に流れてる音楽はパンクロックから一転、ロックバラードの曲調になって落ち着いたバーの雰囲気に変わった。
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