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第31話

あれから入学式も終え何名かの友達も出来た 学部の違う楓とは前ほど一緒に過ごす事は減ったが、時間が合えば一緒に帰り夕ご飯を共にしていた。 そんな大学生活も半年が経った頃俺の周りで異変が起こった 誰かに見られているような、視線を感じる事が何度かあった でもその他に何かあるわけでもなかったから気のせいだろうと過ごしていれば、ある日の帰りポストを見れば1枚の紙が入っていた 今日も凄く可愛いね。学校頑張ってね。 宛名も何も無いただそれだけが書かれた紙 男の俺に対して "可愛いね" の言葉に違和感を感じ間違えか?と思ったけど、間違いだとしてもこんな紙おかしいよな、、、そう思いながらも紙が1枚入っていただけで他は特に何も無かったから、誰に話す訳でもなくそのままにする事にした だけどそれからは毎日 君はほんとに可愛いね。 朝行く時躓いて転びそうになっていたね、気を付けて。 公園で猫を撫でていたね、好きなのかな?笑顔が凄く可愛くて俺にも向けて欲しいな。 そんな言葉が書かれた紙が毎日1枚づつ投函されるようになった それらは全て俺がふとした時にした行動だったりに触れられていくようになった それから2週間が経った頃、楓と時間が合いご飯を食べてからの帰り、ポストを見ればいつもと同じように紙が1枚入っていた 一度心臓が大きな音を立てたけどゆっくりと紙を手に取り見てみれば 今日は遅い帰りなんだね、、、夜道は危ないから心配になるな。それと隣の男と随分親しいんだね。 読んだ瞬間サッと血の気が引き慌てて周りを見渡す そんな俺の行動を不思議に思ったのか「どうした?」そう言いながら手に持っていた紙を楓が覗き込んできた 見た瞬間楓は何も言わずに俺の手を掴みエレベーターの方へ足早に移動しボタンを押した。 ちょうど1階で止まっていたエレベーターはすぐに扉が開き、楓は素早く乗り込んだ 階に着いた後も俺の手を離すことなく部屋に向かうけどそこは楓の部屋で 「かえで、、?」恐る恐る名前を呼ぶけど返事はなくて、、、 不安になりながらも大人しく従っていればそのまま部屋に入れられリビングのソファへ俺を座らせると、俺の目の前に紙を突き出し「いつから?」と静かに、低い声で問いかける 「2週間前ぐらいから、、、」 「なんで早く言わないの」 「紙入れられるだけで他は何も無かったから、、、」 「でもこれ明らかに尚也の事監視してるよね?」 「、、、、」 楓は深くため息を吐きながらその場にしゃがむと俺の手を取る 「心配なんだよ。こんな事するなんて明らかにヤバいやつでしょ。」 先程とは違う優しく言われるその言葉に俺は何も言えなくて 「これからはなるべく俺と一緒に帰るよ。」 「でも楓、研究とかで忙しい時あるでしょ」 「その時は友達と帰って。絶対に1人になったりしないで。分かった?」 そう言いながら俺を見る楓の目からは心配の色が見えて、、、 「分かった。」 俺は小さくそう返事した

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