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第32話
それからはなるべく早く帰るように気を付け楓と帰れない日は友達と帰った
「 亮介 も湊 も悪いな、、、送ってもらって」
「気にすんなよ。あんな話聞いたんじゃ俺らも心配だし!」
「そうそう。尚也に何かあったら嫌だしな。」
そう言って笑顔を見せる2人に俺は「ありがとう。」そう返した
亮介と湊とは同じ学部でたまたま近くに座った時に話しかけられた
2人ともベータで性格は明るく、最初緊張していた俺に気さくに話しかけてくれ徐々に仲良くなっていった
家が俺のマンションから少し遠いのにもかかわらず事情を話せば快く引き受けてくれて、どれだけお礼を言っても足りないぐらいだ
「それにしてもあの楓と話せたなんてなー」
亮介がふとそんな事を呟く
「あのって?」
「尚也知らねーの?」
「うん」
「頭が良くてスタイルが良くて顔も良い。そしてアルファ!うちの大学で人気の高い人の1人だよ。おまけに大学内で話せるのなんて尚也だけだったし。まぁ尚也もその1人ではあるけどさ。」
「ん?楓は分かるけど何で俺?」
「「えっ?」」
俺の一言に亮介と湊の2人が揃って驚いた声を上げる
「お前マジで言ってる?」
「だから何が?」
「まじかぁ、、、」
「お前、、、まじかぁ」
「何だよ2人して」
「お前自分の顔の良さ自覚した方がいいぞ。俺、最初お前の事オメガなんかと思ったし」
「いや、オメガのわけないだろ、、、オメガって何かこう儚げというか、、、そんな感じのなんか綺麗な人だろ」
「いや、だから、、お前はそうなんだよ」
「???」
「楓が必死になって俺たちにお願いしてたの分かったわ。これは危ねーわ。」
「こんなにまで自覚ない人いるんだな、、、ビックリだわ、、、無意識にヤバいやつ誘き寄せるやつじゃん、、、危機感ちゃんともてよ尚也。」
2人がそんな風に言う意味が分からなくて首を傾げれば、今度は「「はぁぁー」」と2人揃ってため息を吐いた
結局エントランスまでで良いと言った俺の言葉を無視して2人は部屋の前まで送ってくれた
「ポストに入ってたって事はお前の部屋知ってるってことだろ。待ち伏せしてたらどうするんだよ、、、」
「そうだよ。お前が部屋に入って鍵かけるまでは見守る。」
2人の心配しすぎだとも思ったけど、俺の事を思っての行動だから素直に受け入れた
この1ヶ月間、楓と亮介、湊に送ってもらっていたが変わらずポストに紙は毎日入っていた....
「それにしてもこの紙入れてる奴は暇なんかね。毎日毎日」
今日も変わらず入っていた紙を見ながら亮介が呟く
「それは俺も思ってた、、、」
欠かさず毎日入れられている紙
時には俺のその日の行動に触れられている内容的にどこかで俺を見ているわけで、、、
時間が経てば興味を持たれなくなるだろう、なんて呑気に考えていた気持ちも今では気持ち悪いなという気持ちになってきていた
「もういい加減警察いった方がいいんじゃないか?入れられてからどれぐらい経ったよ」
湊のその言葉に「1ヶ月半ぐらい、、、」と呟けば「お前それは長いだろ、、、」なんて亮介が引きながら答える
「近々行ってくるよ、、、」
「「そうしろ、、、」」
そんな会話をした翌日だった
いつもとは違う内容の紙が入れられていたのは
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