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第46話
体調の戻った楓は再び忙しい日々を過ごしていた
「今日も遅いの?」
まだ日が登ったばかりなのに家を出ようとしていた楓に声をかける
「ごめん、起こしたか。」
「いや、昨日早く寝たから目覚めただけ」
「そっか」
「そんで、今日も遅いの?」
「遅いけど、11時前には帰るよ」
「そっ、、」
「あと少しで終わる予定だから、、。大丈夫、もうあんな体調が崩す程の無理はしない」
「亮平や湊も心配してたから、、、」
「ありがとって伝えといて。終わったらさ、4人でご飯食べに行こっか。」
「いいね。伝えとく」
「じゃあ行くな。」
「気を付けて」
その言葉に「うん」と軽く返事をして楓は家を出た
その数時間後に家を出て大学へ向かった俺は亮平達と待ち合わせて授業を受ける
2人に楓との朝の会話を伝えれば喜んで楽しみにしていた
もう少し、、、そう言っていた楓の忙しさはあれから2ヶ月は続き、今日ようやく終え3人で楓を労う会を開いた
久しぶりの飲みにテンションが上がり進むお酒
そこまで強くない俺は早々に顔を真っ赤にさせ楓の肩へと寄りかかる
「なおや?お前真っ赤じゃねぇか、、ほら水飲め」
そう言って渡された水が冷たくて気持ちよくて
ふわふわといい気持ちの俺の瞼はどんどんと下がっていった
それに気付いた楓は 「尚也もうヤバいから連れて帰るわ。亮平、湊、今日はありがとな」そう言って俺を抱えて立ち上がった
お店を出れば、まだ2月の空気はひんやりとしていて火照った体にはちょうどよくて
「楽しかったねぇ~」なんて言いながらフラフラと歩く俺を心配そうに見ていた楓が俺の前にいきなりしゃがみ込んだ
「かえで?」と名前を呼べば「お前危なっかしいから、ほら乗れ」そう言う
「のれ?」
「せーなーか!おんぶしてやるから」
「いいよ~!俺ちゃんと歩けるし!」
「歩けてないから言ってるんだよ」
「だいじょーぶ!それに重いしいいー」
「はぁ、酔っぱらいは大人しく従ってください」
「酔ってない~」
なんて言いながらフラフラと1人歩き出せば慌てて追いかけてくる楓を見ながらキャッキャと笑う。それに呆れながら楓は俺の後を着いてきた
結局、楓に腕を引かれるようにして歩き家に帰ってきた俺はそのまま玄関で座り込んだ
「尚也!部屋まであと少しだから頑張れ」
そう言う楓に「もう無理!」と言って腕を伸ばす
「ここでそれかよ、、、」なんて文句を言うけど軽々と俺を持ち上げ部屋に運べばそのままベッドへと寝かせた
俺の上着を器用に脱がせ「おやすみ」と言って部屋を出る楓に、何とかお礼を伝え俺は夢の中へと落ちていった
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