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求めすぎる感情

 それからは、この部屋を中心に逢瀬を重ね、時々聡子さんの顔を見るためにお店に行ったりしていたが、6月の頭に会った時に司が 「俺ね、6月30日誕生日なんだよ。期末テストも終わった頃でしょ。またどっか行こうか」  と言い出した。 「え、誕生日なの?お出かけはしたい!けど平日だよね」  カレンダーを見ながら、どうするの?と司に首を傾げる。 「まあ、少し早めだけどさ、その2.3日前の27、28の土日。どっちかに出かけよう」  稜の顔が晴れやかに微笑まれた。 「うん、行こう行こう!今度はどこに行こう?」 「どこか行きたいところある?」  iPadの地図を開いて見せて、ーどっち方面がいい?ーと聞いてくる。 「あまりよくわからないから、司が行きたいところでいいんだよ?誕生日なんだし」 「じゃあ…富士山でも見にいく?」 「富士山!?行く!」 「じゃあ決まりだな。次ぐ日休みがいいから土曜日にしようか。27日」 「うん!」  稜は元気に返事をして、部屋のカレンダーに書き込みに行った。 「富士山生で見たことないんだよね、ほんと楽しみ!」 「今度こそ温泉入るからね」  にっと笑って稜の頬を撫でてくる。 ーえ〜ーと呟いて、恥ずかしそうに司に抱きついてゆく。気持ちと行為が真逆だよ、と言われ 「どういう顔したらいいかわかんない」  と応え、司に強く抱きしめられる。 「またそんな可愛いこと言う〜〜。お風呂に入るだけだよ。何考えてる?」  背中をポンポン叩いて、意地悪なことを言ってみた。 「そうだけど…そうだけどさ?なんか裸は…」 「じゃあさ?…」   抱きついてきている稜の髪を撫でながら、耳元で 「今から一緒にお風呂入ってみる?」  と司が囁いた。 「えっ!」  気持ちも何も準備ないままそんなことを言われ、不意に起き上がって顔を見てしまう。稜の顔は心なしか赤くもなっている。 「そうすれば、温泉一緒に入れるでしょ?」  本当にそれだけとは思えない感じで笑ってはいるが、稜もそろそろキスの次があってもいいかなぁ…とは考えていた。 「へんなこと…する?」 「変なことってなんだろう。おれは稜に変なことなんてしたことある?」  泣いてはいないが、涙を拭うような仕草で頬をなでて優しく問いかける 「ないけど…さ…」 「もう一歩…進んでみよ?」  やっぱりじゃん〜〜  稜の顔が一気に真っ赤になり、もう〜〜と抱きついてしまう 「なになに、変なこと考えてるの稜じゃん〜」 「もう一歩って…なにする…の?」 「それは入ったら教えてあげる」  ずるい〜と抗議してみるが、はいはい、じゃあ準備してくるねと稜を下ろして司は浴室へ向かって行った。  稜の心臓はドキドキしっぱなしである。  土曜日の今日はまだ11時で、時間はいっぱいある。何が起こるのか、楽しみとちょっとした怖さで、何となく正座をしてしまっていた。 「ちょ、稜」  正座の稜を見て笑いながら戻ってきた司は、もう一度稜を抱き抱えて座り込んだ。 「どうした?緊張してる…大丈夫だよ、嫌がることはしないから」  ほっぺにちゅっとして、顔を見て、瞼にちゅっとしてまた顔を見て…そして口にちゅ…としてそのまま深く合わせていく。  慣れたことからゆっくり緊張を解いてあげたかった。きっと気持ちがいいはずだから。  シャワーで身体を流して、2人で浴槽に入る。  司もそれほど大きくは無いが、2人で入るには少しだけ狭かった。だから稜を前に座らせ同じ方向を見ながら座り込んだ。 「ギュウギュウだ」  司は稜を後ろから抱きしめるようにして、頬を寄せる。 「でも密着できていいな」  耳をはむはむしながら、そう言うが稜は恥ずかしさで何も喋れない。 「リラックスして。まずは…こうかな…」  頬をもって優しく横を向かせ、そこに顔を寄せてキスをした。 「好きでしょ、チュウ」  舌を絡ませないで、唇だけを蠢かして稜の緊張を解いてゆく…が… キスをしながら、司の手が稜の股間へと伸ばされる。 「んんっ」  唇を離して咄嗟に司の手に手を重ねると、 「ちょっとだけ…反応してたね」  重なった手を握って 「一緒にやってみる?自分でしたことあるでしょ?」  初めて他人に触られて、恥ずかしさもあったが何故か少し興奮もする。  司だったからだと思う。 「あ…」  司の手に包まれた自分の手と、司の手が段々硬くなるペニスを擦り上げ、思わず声が漏れてしまった。 「その声…いいね。いい声出すんだよね稜は。もっと聞かせてほしいな」  手を蠢かせて擦り上げ、司の手は先の穴の方へ指を伸ばし、お湯の中でなおぬるぬるするその部分をクリクリと撫で回す。 「んっあっ…」  粘膜の入口は、自分でも触れたことはない。 「自分だと、こうして擦るだけだった?」  相変わらず稜の手と一緒に擦っている手を強調して擦り上げると、もう硬さはマックスになっていく。 「ん…んんっ…やっやぁ…」 「いやなん?ならやめようか。稜が嫌がることはしないよ?」  そう言われて、首を横に振ってしまう。 「気持ちいい?」  その問いには、数秒空けてからうなづいた 「恥ずかし…ぃ」  一緒になって擦っている手と逆の手は、司の足に置かれて掴むところもないままに何かしら動いている。 「恥ずかしいことないでしょ。感じてるんだからみんなそうなっちゃうんだよ。俺のも…わかる?」  稜のお尻の後ろに、押しつけられた司のペニスももうだいぶ硬くなっていて、稜のお尻の割れ目の端あたりで擦られていた。 「触ってみる?」  司の足の上で所在なさげにいた稜の手を、先っぽを触っていた手で掴んで後ろ手に自分の勃ち上がったものへと充てる。  初めて触る他人(ひと)の物。熱くて硬い。好きなひとの『おちんちん』 「擦って…」  耳元で言われ、体勢は悪いが形に沿って擦り上げてゆく。 「うん…気持ちいい…じょうず…気持ちいいよ稜…」  囁くような吐息が耳にかかり、それだけでも稜のペニスは角度を増す。 「司の…すご…い…熱い…あっあぁ」 「稜のもすごいよ…顔に似合わない感じ…もういきそう?」  一緒に擦り上げているものは、もうたまらない感じで熱くなりパンパンに膨れ上がってきた。 「んっ…ぅん…も…いきたい…イク…あっぁっイクイ…くいくっんんっ」  声を上げ始めたと同時に速く蠢かされた手に合わせて、稜のものは膨れ上がり、そして、お湯の中へ吐き出されていく… 「はぁっ…はぁ…ぁ…いきなり…ひどい…よぉ」  前のめりにうずくまるように身体を丸めて、お湯の中の自分が出したものの存在をかき消すようにお湯を混ぜた。 「いきなりしないと、稜怖がっちゃうでしょ」  何だかうずくまってしまった稜を後ろから抱きしめ、体勢を変えようと一度立ち上がらせる。 「ね、よく見せて…稜の…」  立ち上がらせたところでこちらを向かせ、まだ半分ほど勃って揺れている稜のペニスに手を当てた。 「やっ…あぁんっ」  手を当てたと同時にすぐに口に含み、口の中で出し入れを始めてしまう 「つかさぁ…んんっあっだ…め…あっ」  抵抗をしてみるものの、初めての感覚に抗う術がなく、快感が背中を伝って脳に行くような感じがたまらなく気持ちいい。 「あっあぁっす…ごぃ」  司は司で、片手で稜のを擦りながら口で出し入れをし、もう片方の手はお湯の中で自分を擦り上げている。 「んっ…稜のは…大きくて…おいし…んっんっここ…感じるところ?」  カリの部分に前歯を当てて引っ掛けるように出し入れをする。 「ん〜ここじゃないか。じゃあここかな」  カリの後ろの縫い目の合わさるところに舌を尖らせて擦るように舐め上げ、手で竿の部分を擦る。 「はっぁっぁっ」  反応あり… 「ここかぁ…」  弱い所を見つけられ、そこを執拗に責められた稜は思考が止まった頭のまま声をあげ、司の髪を掴み初めてにしては色っぽく乱れてくれた。  そして 「ふっ…くぅっあぁっぁんっ」  司の舌先で塞がれていた先の穴が開放されたと同時に、稜は司の口内へと精を放つ。  もちろん司はそれを飲み下してしまった。 「え…」  数秒して意識が少し戻ると、飲み込んでしまった司に謝ってしまう稜がいる。 「何も謝らなくていいよ。うれしかったし」  司はそう言うと、あっつ…と湯船から上がり、縁に腰掛けた。 「すごく可愛かったし綺麗だったよ、稜。こう言う最中だと稜は変わるねえ…結構俺やられたよ?」  ガン勃ちの自分のペニスを、今の稜を思い起こすように擦り始める。 「俺もイっとかないと」  そんな司を稜も反対側の縁に身体を預けて見ている。 「俺のイくとこ見てる?」  笑って擦り上げているそのものをじっと見ながら、稜は湯船に戻り司のペニスを手にした。 「お?触ってくれる?嬉しい」  拙い動きだが、上下に擦り上げさっきされたように先の穴にも指を滑らせてゆく。 「上手じゃないかもだけど…」 「最初から…ぁ…上手なわけないでしょ…でもきもちいい…」  壁に頭を預け、司は稜の手を堪能する。  そして不意に感じる滑った感覚 「え、稜?」  と壁から頭を上げて見下ろすと、稜が口に含んで見よう見まねで出し入れをしていた。 「いっいいよそこまで。そんなこと…んっ…でもきもちぃな…」  止めたいけど、気持ちいいし…とどうにもできなくなってくる。 「気持ちいいよ稜…口の中に出さなくていいからね…あぁ…いい」  もう止める気は無くなった。稜の意思に任せて、できることをしてもらうことにする。 「んっんっ…司も大きい…口にいっぱいだよ」  年齢を考えれば十分犯罪。でも稜は…こう言う行為に向いていた。最中の色っぽさは年齢なりでは決してない。  こんなおっさんが翻弄されるほどの… 「あっ稜出そう…口離して。あとは自分であっねえっ離して」  稜の髪を撫でて、離そうとするが稜は首を振って離れない 「そこまで真似しなくていい。から…でちゃうよ稜…で…んっあぁあああっはぁ」  限界だった。離そうとして動かせば動かすほど、頑なな口が締め上げて刺激を与えられてしまった。 「出して出して、ここでいいから出しなさい」  稜の前に手を出して。片手はシャワーを準備するが、稜はぎゅっと目を瞑ってごっくんと飲んでしまった。 「こらぁ…稜!」  呆れて司は、シャワーのお湯を稜の前に出してやり 「口濯ぎなさい」  子供を叱る様な口調で手のひらにお湯を溜めて、稜の口元へ持ってゆく。  稜はそれを口に吸い上げて、また飲んでしまった。 「稜〜もう…稜は頭いいから何でもすぐに吸収しちゃうな…こんなことまで真似なくても、本当に良かったのに…」  司は自分の口にお湯を溜めて、そのまま稜にキスをするとお湯を一気に稜の口の中へ流し込み、それをまた飲まれる前に稜の鼻をつまんで、後頭部をやさしく押しながら浴槽の外へ顔を出させると 「はい、ぺーっ」  言われるままに、稜は口に溜められた水を吐き出した。  鼻を摘まれると意外と飲みにくくなるので、まんまとそこを突かれる。 「司のは全部欲しいのに…」  そんなことを言う稜の向きを再び変えて、後ろ向きに抱きしめた。 「そんなに焦らなくていいんだよ。徐々にでいいの。今日だって、稜を気持ちよくさせたいだけだったんだよ?」 「一緒に気持ちよくなりたいじゃん…」  思っている以上に思考は大人びている子だった。  思春期真っ只中の男子が、性的な行為でこれだけ相手を思えるのは元々の性格もあるだろうが、人生何回目かなと思えるようである。 「稜のそういうところ、すごいよね…俺も見習わなくちゃいけないかも」  肩にお湯をかけてやりながら、頬をつける。 「司は僕を気持ちよくしてくれようとしてるよ?」  「俺が稜くらいの時は、自分がイクので精一杯だった」  苦笑して頬にちゅっ 「大抵そんなもんだけどね。だから偉いなって」 「そろそろ身体洗お」  照れ隠しなのか、そういって稜は立ち上がり浴槽を出た。  かけてあったボディ洗い用のタオルにボディシャンプーをつけて泡立てると、身体を洗い始める。  タオルをシャワーフックにかけて、手で身体を擦り始めた稜に司は驚いた。 「いつもそうやって洗うの?」 「あ、うん。こういうタオルって毎日洗ってると肌が硬化するって聞いてるから。それに手の方が色々細かいところも洗えるから」  言いながらお尻を突き出しぷりぷりとした丸いお尻を擦り、その中までも洗うのを見せつけてくる。  そして前も、きちんと皮を動かして洗う。 「あ…ついいつもみたいに洗っちゃった。司いるのに」  急に恥ずかしくなり、背中を向けてしまった稜を見ながら司は激しい妄想に囚われていた。  今そのボディシャンプーで滑らかになっている肌を抱いたらどんな声を出すのだろう。  泡のついたお尻を撫でて、中の蕾に指を入れたらどんな反応をするのだろう。  そして、そこに自分を突き立てたら、その背は…どれだけ反れるのだろう…。  少し自分がまずいところに来ている自覚を持たなければと思い知った。  とにかく中学生のうちはダメだ。今までの行為だって本当はするつもりもなかったのだ。本当にどうかしてきてるな。  少ししたら期末試験の時期だ。6月27日の約束の日まで、会わないようにしておくのがいいかもしれない。  試験にかこつけるのがどうも情けないが、毎週会っていたら自分が信用できなかった。 「じゃあ俺も洗おうかな」  司も浴槽を出て、フックにかかっているタオルで身体を洗い始める。 「これそんなに肌に良くないの?」 「うん。すぐにってわけじゃないけど、毎日使ってるうちに肌の表面黒くなってくるよ」  へえ…とタオルを見つめ、そういえば麻のタオルとか見かけるな、と思いいたる。 「じゃあ今度、麻のを用意しよう」 「ありがとう〜それなら平気だね。ここでお風呂入るのも増えそうだし」  何気ない言葉が、稜の気持ちも表していた。  稜も少し自分に気が向きすぎていると思う。  嬉しいことなのだが、ずっと言ってるように稜の将来に支障を来たす訳には絶対にいかないのだ。 「そう言えば稜、ちょっと思い出したんだけどさ」 「うん、なに?」 「期末って、6月末から7月頭辺りじゃなかったかな。さっきスマホ見ないで話しちゃったけど、その頃だったらドライブは少し先延ばしにしよう」  実は稜はわかっていた。でも成績を落とさない自信はあったし、司の誕生日は祝いたかった。 「あ、その顔は解ってたな」  シャワーを借りて身体を流しながら 「もう、だめだよそこはちゃんとしようって言っただろう」 「でも僕、成績落とさないよ?絶対に」 「油断したらダメだよ。3年生の1学期の成績は、受験に影響あるからね。万が一下がったりしたら、俺は責任感じちゃうよ。そんな騙すようなことしたらダメだろ?」  稜は俯いてしまった。 「そこは厳しく行くからね。今後そういうことないように」 「はい、ごめんなさい」  じゃあ後の話はお昼ご飯食べながらにしようか。食べに行こうよ」  ここであまりしつこく叱っても仕方がない。  もうお昼時だし、少し外で健全に歩き回ろう。 「カツ丼食べたい!」  ううう、さすが10代… 「ん、わかった」  蕎麦屋でいいなら俺は蕎麦食ってよう… お腹の出も、胃袋のキャパも気になる年齢に差し掛かっている司であった。  食事中に話し合い、ドライブは期末も終わった7月11日の土曜日にすることにした。  もちろん期末の結果次第では考える、とも伝えてだ。  そして、来週1回会ったらそれ以降は試験終了まで会わない約束もした。 「寂しい…」  食べていた箸を止めて、ボソッとつぶやく。 「受験本番近づいたら、もっと期間空くんだから。少しずつ慣れような…。俺だって辛いよ」  そして少し2人の感情もクールダウンしなきゃともきちんと伝えた。 「短い期間でこう…感情が上がってきてしまったから…ちょっと暴走し始めてたよね、俺たち。稜は勉強に集中。俺は仕事に集中して、しばらくそういう生活しような。そしてさ」  ん?と稜が顔を見てくる。司はそんな顔に微笑んで 「会った時には、またいっぱいキスしよう」  小さな声だったがそう言った。  稜は小さくーうん…ーとは言ったけど元気はなかった。 「来週会えるんだから、そんな顔しないでくれよ。来週は近場ドライブしよう」  ドライブは好きなので、ちょっと笑顔が戻る。 「近県ならどこでもいいよ。考えておいてね」  蕎麦つゆに蕎麦湯を足して、司は飲み干した。 「蕎麦湯って美味しいの?」 「ん?これ?それだけで飲むのは人によるかもだけど、麺つゆで割れば俺は好きかな。飲んでみる?」  そんな普通の会話もして、稜は少し機嫌は直った様だった。  試験がんばれば司に会える、はいいモチべーションである。  その日から、稜は試験勉強を始め、まずは来週のお出かけのプランも考え始めた。

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