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この幸せを霊峰に

 期末テストは順位を一つ上げ、点数も5教科488点で学年3位を獲得した。  中々1番という訳にはいかないが、前回の中間で順位を一つ落としたのは痛恨だ。  どうやら中間の時は、朝からの腹痛で調子が悪かったと言っていたが、それでも4位は頑張った方だなという話にもなった。  今回はそれを取り戻したにすぎず、稜もこの点数で満足しているわけではなかったのだ…が、成績が上がったのは事実だったので、遠出のドライブは敢行されることとなる。  7月11日の朝7時頃、司が稜の家の近くまで迎えに行き、富士山へと向かっていった。 「ひっさしぶりだな〜遠出ドライブ。富士山楽しみ」  稜は前回を踏まえ、今回は前の日に飲み物と朝ごはんを用意して置き、それを食べてからやってきた。 「コンビニ寄る時間もったいないからさぁ」  そう言いながら早速おにぎりを頬張っていたが、 「しかし、俺の軽食のために寄るけどね」  にっと笑って、最初に出会ったコンビニに寄込んだ。 「ここ昨日僕がきたとこじゃ〜ん。ここで待ってていい?」 「いいよ、大したもの買わないしすぐ戻るから」  おにぎりを手に持っていたので、おくところがないというのもあって、稜はお留守番。  司はものの3分ほどで戻ってきた。 「はやいね」  やっと今おにぎり一個食べ終わったところなのに。 「コーヒーとこれ買っただけだからね。稜これ食べるかい?」  稜の前に、袋に入ったフランクフルトを差し出してくる。 「他意は…ないよね?」  思春期小僧の稜は、もう何にでも反応してくれるから面白い、んだけど司は他意がありまくりだったらしく、 「ケチャップつけたら、それ舐め取ってよ」 「絶対食べない」  稜は笑って、袋を突き返した。 「嘘だよ。じゃあこっちにする?アメリカンドッグ」  司も笑ってそれを受け取り、もう一つの袋を差し出す。 「あ、こっちならいいかも」  稜もありがと、と受け取った。  なんでもない土曜日の道は、それほど混雑もなく御殿場経由で向かおうとしていたために東名高速へ入り、順調に進んでいる。 「富士山どの辺から見え始めるかなぁ」 「見える分には場所によってはどこからでも見えると思うけれど、ちゃんと確認できるのはまあ厚木辺りに入った頃かな」 ーそうなんだねえーとキョロキョロしながら、本当に楽しみそうだ。 「五合目まで、今なら車で行けるみたいだけど行ってみる?流石に登山をする気にはなれないけど」 「え、五合目って約半分ってこと?」 「そうじゃないみたいだな。詳しくはわからないけど、半分じゃないっていうのは知ってる」  まあ確かに、半分も車で登ったら時間もかかるだろうし、登山の意味もあまりなくなってしまう。 「でも、車で行けるところまで行ってみたい」 「わかった、じゃあ行ける場所あとでナビ入れような」 「ワクワクする〜」  結局途中でスタバまで買った稜は、アフォガートフラペチーノを飲みながらスマホで富士山を調べ始めていた。  山中湖へ行きたいこともあって御殿場ルートを外し、須走口から五合目を目指すこととなった。  到着して降りた途端に稜の言った一言が 「さっむ!」  だった。  須走は4つある登山口の中でも5合目が2番目に低いところだが、それでこの寒さなら、他のところはもっと寒そうだ。 「7月なのに〜〜…」  歯がガチガチいうほどではないが、体を震わせるほどには寒い。  今日の稜の格好といえば、半袖Tシャツに半袖のオーバーシャツを着ているだけなのだ。  一応寒いかもと思い持ってきたのも、薄出の春コート。  駐車場にある温度計は13度を示しており、馬鹿みたいに寒くはないが、車から降りれば体感的に震える様ではある。 「こっちおいで」  寒さを読んでいたのか、司は薄いブルーのシャツの上に少し厚めのロングコートを羽織ったので、稜を引き寄せコートの中に肩を抱いて入れ込んだ。  稜も司の腰に捕まり、ーあぁあったかいーとほんわかして、富士山を見上げた。  御殿場に入る辺りから、すごい〜富士山大きいーとはしゃいでいたが、目の前に…なんなら五合目とやらまで来て富士山に足をつけている今、見上げる富士山を黙って見つめていた。  圧倒される。日本一の山。 「大きいね」 「そうだな、霊験あらたかなどと言われてるけど、確かになにか…なんて言ったらいいのかわからないけど感じるものはあるな。俺もここまできたのは初めてだから」  目の前に聳え立つ富士山は雄大で、自分の小さな悩みや、受験のことなど全てうまくいく様に思えてくる。  稜は自然と手を合わせた。  何を願ったのかは本人しかわからないが、何故かそうしたくなったと、後で言っていた。  ここから登山へ入る人々が、ゾロゾロと歩いてゆく中、それを見送った2人はせっかくだからと山小屋も見にいくことにした。  ありきたりなキーホルダーや人形が売ってる中に、稜は登山用の杖を見つけて、登りもしないのに 「え、これ面白い。五合目って書いてあるんだね。買おうかな…」  と、例の怪しい飴以来の変なもの買いが疼き出している。 「何に使うの?」 「玄関に飾るの、司のとこの」  魔除けになるの?と不思議になって杖が売ってるところを見てみたがそういう記述はない。 「でも富士山だよ?霊山だよ?きっと防犯になるよ。買おう」  稜は、今日は斜めがけにしているバッグからお財布を出して、レジのおばちゃんのところへ向かっていく。 「本当に買ってるよ…」  と、司は呟いてから 「ああ、俺が買ってやるから」  とレジに走ったが、 「これは自分で買わないと意味がないんだ。と断られ、稜は嬉しそうに自分の肩くらいまでの杖を持ってご満悦だった。  その山小屋ではキノコづくしのメニューがいろいろあったが、山中湖畔で食事をと思っていたので、ちょっと残念だったが諦めて、もう少し富士山を小屋から眺めてから、下山した。 「杖は、司がだいぶお歳を召したときに、絶対役に立つって。僕がそばで見守りながら歩こうね」 「勝手に爺さんにしないでくれよ。まだまだ現役だぞ」 「そういえば今回の誕生日で何歳だっけ。40歳?」 「内緒にしておく…」  15歳に言われると結構キツい…。  食事は、山中湖畔のホテルで3時まで部屋が借りられるコースを予約しており、11時半にホテルへ着いた2人は、部屋へ通され畳の上でくつろいだ。 「こういうシステムもあるんだね。面白い」 「チェックアウトしてからチェックインまでの時間の有効活用だな。我々も便利に使えるしありがたいシステムだ」  テーブルの上にはちゃんとお茶菓子とお茶が用意されていて、ものの5分で仲居さんがホテル特製の松花堂弁当と、お味噌汁や小鉢、香のものの乗ったトレイを持ってきてくれて、ごゆっくり…と告げて下がって行った。 「おいしそー」  いただきます、と手を合わせて稜は料理に手をつける。 「こういうお弁当形式ってなんかいいね。まとめられてて綺麗だし」 「でも稜には足らないんじゃないか?育ち盛りだし」 「ん、まあね。でも見た目で満足できるし、美味しいからね。足らなかったらまた何か都合つけたらいいし」  お味噌汁は、豚汁だった。 「豚汁だ、美味しい」  ちょっと寒かったから、暖かい汁物はありがたい。 「食べ終わったら、風呂入ろうな。外見てみて」  ん?と窓の外を見るが、ちょっとわからなかった。 「なに?」 「食べ終わったら窓の外見にいくといいよ。ここは部屋付きの露天風呂があるんだよ」 「え!贅沢!すごい!」  稜は食べ終わっていなかったが、窓の方へ這って行き、 「あ、ほんとだあ〜〜すごい〜。窓からこんなに富士山見えるから、お風呂に入りながら見られるんだね。司ありがとう」  自分の席へ戻り、満面の笑顔で司にお礼を言う。 「俺が他の人に稜を見せたくなかっただけなんだけどな」  え?っと一瞬戸惑った稜だったが 「なに〜。どんだけ俺好き〜?」  と、ちょっと揶揄うように言ってみる。  しかしそう言う時はいつも冷静に返されるのが常で… 「稜が俺の事好きなくらいかな?」  じゃあ…すげー好きじゃん…ボソッと言って、レンコンの煮物をサクサクと噛み締める。  またやられちゃった…へへっと笑って、今度はきゅうりをポリポリと齧った。  食べ終わったトレイは、ドアの外に出しておいてくださいね、と言われていたので全部まとめてドアの脇において、2人は露天風呂へ向かう。  一度一緒にお風呂には入ったが、露天の開放的な雰囲気に恥ずかしさが募ってしまった。 「誰も見てないんだからさ」  先に脱いで、掛け湯をしながらー早くおいでねーと声をかけると、稜は意を結したように服を脱ぎ、身体にお湯をかける。  お湯の感じはすごく気持ちいい。  先に入っていた司の横に並んで富士山を見ながらお湯に浸かった。  入ってしまったら、恥ずかしさもなくなってしまった。 「凄く気持ちいいねえ…」  柔らかい泉質は肌に馴染み、湯温も適温で本当に気持ちいい。 「だね、いい温度だし、きちんと管理されてる」  お湯を混ぜて肩にかけ、司も富士山を見つめる。 「こう言う風にみる富士山が一番いい気がするな。5合目は観光で行く所じゃないねやっぱり、寒かった」(個人の感想)  裾野を広げ、時期的に冠雪は少ないがまだ雪が残っていてラッキーではあった。 「うん、本当綺麗だね。細かい嫌な事全部忘れる」 「嫌なことあるの?」 「受験かな」  その言葉に思わず笑って、司は稜の肩を抱いた。 「それは仕方ないね。誰もが通る道だ」  そう言って励ましのちゅーと言いながらキスをしてくる。 「そういうキスは嫌だよ」  稜は笑って司の方へ向き、向かい合って膝の上に乗った。 「愛あるちゅーを望みます〜」  司の首に手を回して、自ら唇を合わせてゆく。  舌を絡めて、何度も顔の角度を変え、長い間キスをした。 「キス…上手になったなぁ…稜」 「ほんと?嬉しい」  再びキスをしてお互いに堪能するが、もう2人のものが張り詰めている。 「ここじゃあお湯の中って訳にいかないから…そこの椅子に行こう」 「やだ、司ここに座って」  稜は立ち上がって司の肩を叩いて立ち上がらせると、風呂の淵に座らせてその間にまた座り込むと司のペニスを口にした。 「おやおや、ずいぶん積極的になっちゃったね」  稜の頭に手を乗せて、髪を撫でながら少しの快感に酔う。 「ほぼ1ヶ月会えなかったからね…その間練習しちゃったよ」  ペニスを手にして舐めながら上目遣いで司を見つめた。 「練習…?」  おもちゃでも買っちゃったかなこの子…などと思ってみるが 「でもさ、練習に使ったの甘すぎるしだんだん細くなってっちゃうし…」  そう言われてピンときた。 「ね、まさかと思うけど…まだ持ってたの?」 「家で…と思ったけどなんだか食べる機会無くてさ。でもこの1ヶ月会えなくて寂しかったから」  そう言って、飴で練習したようにソレを深く口に咥え込む。  もちろん練習道具とは、前回のドライブで寄った『珍宝館』で買ったペニス型の鼈甲飴のこと。  どうやって舐めてたのかを想像するだけで今の自分の『本物』が反応してしまうけど、稜は一生懸命に今の『ソレ』を舐め続けている。  音まで立てて… 「稜は本当に勉強熱心だね。たった一回俺のを咥えただけなのに…飴で練習しただけなのに…こんなにも俺を興奮させてくれて…」  15の子に咥えられて、40(しじゅう)になった男のちんこがガチガチだ。 「ね、稜…ちょっと立ってお風呂出よう。のぼせちゃうよ、温泉なんだし…」  そう言われても首を振って離そうとしないが、またイッてしまうわけにはいかない。  「一緒に来てよ」  髪を撫でて言い聞かせるように声をかけ、やっと顔をあげた稜の頬を包んで立ち上がらせる。  そこでまた深くキスをして、 「おいで」  と風呂から出て部屋との境の窓の脇、木を張られた壁に稜を寄りかからせた。  富士山が見えるように立たせると、司はもうガン勃ちの自分のペニスとこちらもかなり硬くなった稜のペニスの裏同士を合わせ手で握り込む。 「え…あ…なにこれ…司の熱い…」 「稜のも熱いよ」  そしてそのまま腰を揺らすと、合わさった部分が擦れるのもそうだし、握られた手で擦られる感触に、稜の頭が壁に押し付けられた。 「あ…これ…なに、きもちいい…」  司は言葉を遮るように唇を塞ぎ、舌を絡ませながら2人分を握ってた手を蠢かし、腰を揺らして裏表から刺激を与えてくる。 「んっん…ぁ…あぁ…」  キスもしたいけど、腰に甘美な快感を感じてそこに集中したいしで稜の頭の中は混乱した。 「気持ちいい…?」  口を離してそう聞いてくる司に頷くことで返事をして、稜は司を抱きしめ 腰を擦り付ける。 「ん…んぅ…いい…ぁ…これなに…凄く気持ちいい」  司はいつも初めてのことをしてくれる…そしていつも気持ちがいい。 「あっあぁ…も…いっちゃうよぉ…気持ち良すぎる…いいの…イっていいの…」 「勿論だよ…稜がイきたいときに、いつでもイくといい」  その反応に手と腰の動きを変えて、甘美に苛んでゆく。 「あっああっつか…さ…あ……イク…いくぅ…んっ」  司をギュウっと抱きしめ、腰を擦り付けて、稜は2人のお腹の間で精を放った。  稜のイき声を耳元で聞かされて司も無事なわけがない…稜より遅れること数秒…稜が放った場所へ司も放っていく…。  壁際で2人で抱き合って、荒い息を吐きあった。  稜の目の前には富士山…霊峰に見守られ、稜は、こんな幸せがいつまでも続くよう祈るような気持ちで目を瞑った。  ホテルを出て、山中湖へ向かう。  今日は風もなく、湖面が穏やかだったこともあり湖に着くと 「見て司、富士山が逆さに映ってる」 「話には聞いてたけど綺麗なもんだな」  司もその美しさに目を奪われた  山中湖は逆さ富士が見られることでも有名で、条件が揃わないと見られないのだろうが、本当にラッキーで美しい富士山とその逆さ富士を拝むことができた。 「帰りはさ、中央道で帰ってかの有名な『談合坂SA』に寄っていこう」 「有名なの?」 「うん。結構色々あって、面白いみたいだよ。俺も行ったことないから行ってみようよ」 「楽しそうだね。行こう行こう」  こう言うところは普通に中学生なんだけどねえ… 喜び勇んで車に向かう後ろ姿を眺め、司は稜のギャップに苦笑するしかない。 「あんなにエロエロでいいのかな…」 「何?呼んだ?」  今ので振り向くと本当にエロ魔人だぞ…と内心吹き出して、 「いいや、呼んでないよ。じゃあ行こうか」  キーを開けて、車に乗り込む。  今度の目的地はSAだった。

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