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キュウリ(ごんぶと)
夕飯の買い出しに近所のスーパーへ来ている。
最近は物価高騰で嫌になるな。
特別プライス☆キャベツ一個438円だと?
なるほど特別プライスだわ。
おっ……キュウリのバラ売りをしている。
なに、一本30円!?
最近にしてはかなり安いな。よし何本か買っていこう。
ん……? 大きさにけっこうバラつきがある。
よく吟味しないと損をするやつだ。
ええと……? こっちのキュウリは中くらい。
こっちのはえらく痩せてるな。
「……」
ふいに脳裏に花ちゃん先生の全裸(※予想図)が浮かんだ。
……花ちゃん先生のキュウリはどれくらいのサイズ感なんだろうか。
考え出すと止まらない。
痩せキュウリくらい……?いやいや、妄想でもそれは失礼か。ではやはりこっちのまあまあ平均的かつ美味しそうな中くらいのやつ?
ん……、やけにデカいのもあるな。アッハハ、さすがにこれはないだろう。
いや待てよ……決めつけは良くないんじゃないか?
花ちゃん先生がもしあの風態で、巨大キュウリの持ち主だったとしたら?
「……」
イカン想像してしまった!
なんだろう、かわいくて生徒と見分けもつかないような花ちゃんのキュウリが実はたいそう凶悪だったら、何だか凄くいやらしいな!?
それでネコだなんて……、
いや……いや待て?
もし、もし花ちゃん先生がネコではなかったとしたら?
「……」
つまり、つまりあの可愛らしい顔でっ、バ、バリタチだったらどうするんだッ!!(※ノンケかもという選択肢はない)
え……花ちゃん先生が、騎乗位以外の理由で俺の上に……?
『──ふふ、弓削せんせ。僕の、気持ちいいですか?』
「!!」
トゥンク……
いや何だ今のトゥンクって!?違う!俺はバリタチ!!
「あれっ、弓削先生も買い出しですか?」
「ひいィッ!」
気がつけば側に花ちゃんいた。
「あっごめんなさい驚かせちゃっ……」
「申し訳ございませんんん!!」
「えっなにが……」
キュウリで想像してましたなんて口が裂けても言えねええ! 恥ずかしいっ、穴があったら入りたい!
そうだ俺は穴に入れたいんじゃなくて穴に入りたい派なんだ、いや違くて、
「わあー!今日キュウリ安いですねぇ!?僕も一本買って帰ろ!どれがいいかな〜?」
スーハースーハー、無邪気な花ちゃん先生の隣で息を整える。
「僕キュウリの丸かじりが好きなんですよね!うーん、でも一人暮らしだし、二本は多いなぁ」
は?
まる……かじり……だと?
ほんとに?蒸し鶏のバンバンジーに千切りにして添えるとかじゃなくって?
この段階で鼻血が出そうな俺に花ちゃん先生が畳み掛ける。
「わぁ、見て下さいこのキュウリ!先端にまだ黄色いお花がついてる〜!」
えっ……花? ああほんとだ、キュウリの成長が早かったのか、まだしおれていない花がついてる。
花ちゃん先生は急に恥ずかしそうに頬を染め、俺に耳打ちをした。
「……実は僕、キュウリの花にマヨネーズつけて花ごと食べるのが好きなんです」
「……え、は!?!?」
「って馬鹿みたいですよねー!えへへっ」
こつん☆と自らの頭を小突いて無邪気な子供のような。
でもなんか……なんか、キュウリの先端についた花にマヨネーズをつけて食べるって……よく分からんが、なんだかミョ──に、
エッッッッロい!!!
とうとう鼻血を噴いた。
「あっ!でもこっちのキュウリ、凄く太くて大きーい!ねぇ?弓削せん、せ、……」
うん……?
花ちゃん先生は俺と極太キュウリを交互に見比べると、急に真っ赤になった。目を逸らし、口元を隠してプルプルと震えている。
え?花ちゃん先生────!?
「あの、はなちゃ……乙花……先生?」
「……」
花ちゃん先生は花のついたキュウリと極太キュウリを二本わしづかみにすると、カゴに放り込むなり、物凄い速さで去っていった……。
第4話おわり・:.:+
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