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メイド服で撮影会〔後編〕
「あっ弓削先生っ! よかったぁ、お願いですぅ助けてくださぁーい!」
ひーんと泣きベソで胸に飛び込んでくる。
スーツにしがみつかれる感触がたまらない。
「朝来たら生徒たちに、いきなりコレ着て立てって言われれてぇ……!」
「あなたね、仮にも教師なんだから断ればいいでしょうが!?」
「でもぉ、売り上げで飼育小屋の具合の悪いウサギを手術させたいんですって言うからぁ〜」
「……」
そいつは絶対ウソに決まってる。証拠に3Cのやつらの黒目は全部『¥』になっているぞ。
遊ぶ金欲しさに花ちゃん先生の善意につけこんだに違いない。
「弓削せんせぇ、ねぇこのカッコ変ですよね?似合いませんよね? 恥ずかしいいい……!」
「えっいや……」
「花ちゃんセーンセ♡ 次はボクの番ですよっ!」
と、横から割り込んできたこの声は……柏木!!
保険医の柏木は、俺の胸から強引に花ちゃん先生をかっさらってステージに引き戻すと、
「イェーイ!」
パシャ!
って、
「おいキサマ、正気か!? お前それでも教師……」
「アレッ弓削先生もいたんですか? はいはい、じゃあ記念に弓削先生も一枚どうぞっ♡」
「え、はっ?」
「ボク整理券2枚持ってますから、1枚お裾分けしますよ。はいチーズ!」
古い感じの掛け声と共に、無理やり花ちゃん先生の側に寄せられパシャッ!と撮られた。
「……エッ……」
ハイどーぞ♡
手渡された写真には、全体的に斜めってメガネがズレたマヌケ面の俺と、その隣にびっくりと口を開けた無防備な花ちゃん先生が映っていた。
大きな瞳をひときわ開いた、アリス風メイド姿で。
一生手に入らないと思っていた奇跡のツーショット写真。
「……」
呆然とする俺に柏木が耳打ちをした。
「弓削セーンセ、これでボクに一つ借りができましたね。返すなら、体で返して欲しいなぁ……。弓削センセ、何か勘違いされてるようですけど、ボクが欲しいのは……◯◯先生ですから」
ちょうど◯◯ のところでガシャーンと陶器が割れ、肝心な部分は聞き逃した。
柏木が何を言っているのか分からないが、この写真は末代までの家宝にしよう、そうしよう。
※その後 花ちゃん先生を助けて撮影会は中止になった
第5話おわり˚✧₊
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