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第18話 ずっと願っていた?

「なんで、これが、こんなところに……」  シグルドはリオルのことを覚えていたのだ。それだけじゃなく、結婚してもわざわざ制服を新居に持ってくるほど大切にしてくれていたようだ。 「リオル……?」  聞き覚えのある声がして、リオルはハッとドアのほうを振り返る。  そこにはシグルドが立っていた。  なぜ、シグルドがここにいるのだろう。今夜は城の夜警をしているはずではなかったのだろうか。 「お、お帰りなさい。あ、あれ仕事は——」 「夜警がなくなったから、訓練だけで帰ってきたのだが、これは……」  シグルドの視線が痛い。  開けっぱなしのワードローブ。ベッドの上に広がっているシグルドの服。誤魔化しようのないくらいに完璧に作り上げたオメガの巣。  巣作りしていることは、シグルドに頑なに内緒にしていたのに。  シグルドは信じられないものを見たかのような顔をして立ち尽くしている。オメガの巣を初めて見たのかもしれない。  リオルはこの屋敷に来てからすでに何度も巣作りをしている。今までシグルドに気がつかれないうちになんとかしていたのに。  これは完全にまずい。  またシグルドに怒られる……! 「リオル。それ、巣作りだよな……? 俺のために作ってくれたの?」 「ち、ちがっ、巣じゃない……っ!」 「へぇ。こんなに立派な巣を作ったのに?」 「えっと、これは、これは……」  言い訳のしようもない。こんなところを見られてしまったら、今さら誤魔化せない。 「巣を作ってくれるってことは、まさかリオルは俺のフェロモンで欲情してくれるの?」  シグルドがゆっくりと巣の真ん中にいるリオルに近づいてくる。その顔は怒ってなどいない。目を細めて、今までに見たことがないくらい幸せそうな顔をしている。 「大好きなオメガに巣を作ってもらうのは、アルファの夢だ。ずっと待ち望んでいても、その夢は絶対に叶わないと思ってたのに、まさか……リオルが……」  シグルドがベッドの上に上がり、膝立ちの状態でリオルの身体を抱き締めてきた。ふわりとリオルを包み込むように、優しく、強く。  シグルドはとても魅惑的な匂いがする。巣作りの服と本物は比べようがないくらいに本物のほうがいい。  あったかいし、いい匂いがするし、シグルドの胸に頭を寄せると優しい心音が聞こえる。

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