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第24話

 「……許可しよう」  レナードに承諾してもらい、息を整える。  「私はジン様を守るためにこちらに います。いまは食事に毒が入っていないか見分していたのです。先日の件はご承知ですよね?」  一気にまくしたてるとレナードは眉を跳ねさせた。癇に障ったのかもしれないが構わず続ける。  「ジン様が狙われているということはレナード様も危険かもしれません。 気をつけてください」  「私を脅そうと言うのか」  「事実をお伝えしているだけです」   じっと見上げるとレナードは段々と表情を曇らせて、ぷいとそっぽを向いた 。  「部屋に戻る」  レナードはルイスたちに背中を向けて、食堂を出て行ってしまった。  張り詰めていた空気が元に戻り、力が抜けて椅子に座った。  「すごいな、ルイ。レナードにあそこまで言う人物はいままで見たことがない」  「……すいません。出しゃばりすぎました」    「いいや。気分がよかった」   頭をくしゃりと撫でられて嬉しかった。レナードに反抗するような発言をしてしまったけれど、昔からジンにきつく当たっていたので見ていられなかった。  「あの、まだレナード様とは」  「相変わらず仲良くはないな」  「そうですか」  十年経ったいまも二人の溝は深いらしい。やはり後継者争いのせいだろうか。  第一王子であるレナードが次の玉座に就くのが順当だが、王は竜の選定で決められる。いまの国王も王位継承権第三位だったが竜に選ばれたことにより王様になった。  本人の器量によって王が決まるらしいが、詳しいことはよくわからない。  ジンは王様になりたいのだろうか。  その手の話を一度も聞いたことがなかった。  「ジン様」  クアンが慌てた様子でジンに耳打ちをする。ジンの表情はどんどん険しくなっていき、なにかよくないことが起こったのだろうと察した。  「すまない、ルイ。ちょっと席を外す」  「はい。いってらっしゃいませ」  席を立ってお辞儀をするとジンは小さく頷いて、食堂を出て行ってしまった。  ようやく一人になれたことで緊張が解けた。テーブルに突っ伏して息を深く吐く。   食事は美味しいけれど、敷居が高いのでマナーが気になってしまう。  自分にはまだまだ早すぎる。  午後の授業まで時間はまだある。ジンがいないのに貴族の教室に戻っても仕方がない。  久しぶりに一般棟へ行こうと立ち上がった。

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