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17.メール
部屋に戻ると、時計の針は9時前を指していた。
まだ眠くないけれど、やることも無い。
一応、とスマホを確認すると、メールが3通届いてた。
内2通は皐月くんで、
『大丈夫?いつでも電話してね。』
『リュートさんから聞いたよ。
長原さんとお泊りなんて、大丈夫だった?』
2通とも、僕を心配する内容だった。
『返事遅くなってごめんね。
僕なら大丈夫。長原さん、紳士だったよ。
心配してくれてありがとう。』
慌てて返信を打った。
それからもう一通は、その長原さんから。
『バイトお疲れ様。本当は今日も一緒に居たかったな。
また付き合って遊んでくれる?』
付き合わせたのは僕の方なのに、気を遣わせないような言い方をしてくれてる。
慣れてるからって言ったらそれまでなんだけど、でも……
この人のことを好きになれたらな…って。
弱ってる所為か、彼に対して初めて、そんなことを思ってしまう。
『昨夜は有り難うございました。
また機会が有れば、よろしくお願いします。』
でも、無駄に期待をさせちゃいけない。
当たり障りのない返信を打って、ベッドのサイドテーブルにスマホを置いた。
その、コツンとたった小さな音をかき消すように、コンコン、と部屋のドアがノックされた。
「入っていい?」
まだ返事もしてないのに、外から訊かれる。
「…どうして?」
「確認したいことがある」
「質問なら、このままでも答えられるよね」
「いや。部屋、見せて欲しい」
「…………どうぞ」
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