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38.家庭の事情【柊一Side】

うちのババアは見えっ張りだ。 なんかどっかのお嬢様女子大出身らしくて、旦那のステータス気にして、他人の旦那の事まで気にして、正にママ友地獄にずっぷりなタイプ。 俺の父親が、地元の豪家の2つ前の当主の、三男の次男の次男…だっけか? 兎に角、結構な枝分かれをした末の家庭に家柄なんて有ったもんじゃないと思うんだが、母親には大問題らしい。 女子大時代の同級生が本家の嫡男に嫁いだってのを聞いた頃から、騒ぎ立てるようになった。 本家に負けないように勉強しろ、本家に負けないよう偉業を成し遂げろ、名前を轟かせろ…って、そんなん全部聞いてたら、なんの為に生きてるんだが分かりゃしねぇ。 そもそもババアは出来の良い長男、郁弥にご執心だったから、言うことを聞かず素行の悪い俺には早々に見切りをつけ、その負担は全部兄貴に行っていたように思う。 ところが、ある日兄貴が結婚したい人が居ると言って、有紗さんを連れて来た。 悪い虫が付かないうちにちゃんとした娘さんと、と見合いを勝手にセッティングされて焦ったんだろう。 ババアの『ちゃんとした娘さん』ってのが具体的にどんな女を指してんのかは分かんねぇ。 俺には、優しくて愛情深そうな、ちゃんとした人に見えた。 ただ、彼女は幼い頃に両親を事故で亡くし、施設で育てられた人だった。 その一点が、ババアにとっては全てだった。 人柄など関係無く、母親は彼女を拒絶した。 そして、兄貴は反対を押し切って籍を入れた。

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