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51.甘美な罰【柊一Side】
ああ…、本当に、俺はなんて間違いを犯すところだったんだ……。
改めてそう思えば、自分はこんなに愛されていて良いものかと、幸せになっても赦されるのだろうかと、不安が首をもたげてくる。
けど、こうして、居なくならないでと俺に縋り付いてくれる忍の幸せが俺と共にあるのなら、どう足掻いても、俺は幸せになってしまうだろう。
罪深い俺への罰は、まるで褒美のような甘さで……
……忍。未来永劫、俺を縛り付けていいよ。
お前が望むなら、来世だってその次だって、一緒にいさせて欲しい。
「───愛してるよ、忍」
「ぼくもっ、っ…愛してる、からぁっ…!」
決して離れないようしがみついてくる身体を、ひょいと抱き上げる。
160cmそこそこ、細身の身体。
余計な乳 が付いてない分、同じ体格の女よりも軽い気がする。
けど、存在はこんなに重い。
大切だ。今まで出会った誰より、これから出会う誰よりも、一番───忍だけが、特別。
抱き上げたまま玄関に行くと、流石にそのままでは靴が履きづらいと思ったのだろう。忍は俺の首から腕を外すと、支える手を外させて床に下り立った。
履き終えると今度は抱き付くではなく、手をぎゅっと繋いでくる。
愛しさが込みあげて、腰を屈めるとそのこめかみに唇をチュッと触れさせた。
驚いて見上げた真っ赤な目が、嬉しそうに細められる。
「行くか」
「うんっ」
玄関ドアを開けて一歩踏み出した忍が、その足元に驚いて小さく悲鳴を上げた。
「もーっ、やっと出てきた~っ」
地べたに座ってたヒサトが立ち上がろうとするから、その胸を蹴っ飛ばして床に転がす。
「いって!何すんだよシュ…っ、え?ええっ!?なに怒ってんの!?」
「何怒ってんの…?テメェ、忍が死にたくなるような事しといて?怒ってんの?怒んねぇハズがねぇだろーが!!」
「えっ!ちがっ、あれは誤解!冗談!冗談だってばっ!!」
「冗談で済むなら?何は要らねぇんだっけ?あぁ?…命、だっけなあ?」
「違っ、あれっ、違うって!忍ちゃぁんっ!!」
助けて!と忍に向けられた視線を断ち切ろうと人差し指と中指をその目に向けると、
「柊くん…」
繋いだ手が控えめに、クイクイ、と引かれた。
「ん?どうした、忍?」
声を和らげて振り返る。
「僕、田沼くんに変なことされてないよ。コーラとフランクフルト貰って、後はちょっと話してただけ」
「は?コーラとフランクフル…ト……」
ヒサトを見やれば、物凄い勢いで「うんうんうん!」と必死に頷いている。
つーことは?
あの写真は、俺の忍がフェラさせられてるように見せてただけの、フェイク写真………?
「………取り敢えずテメェは死んどけッ!」
起き上がりかけてたヒサトの胸をもう一度蹴りつけると、見事に転がった体は隣の部屋の玄関にぶち当たってようやっとその動きを止めた。
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