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59.赦し

「俺さ……、忍のこと思い出して、ごめんって言えばさ、それで赦されてチャラになるって…思ってたんだよな」 申し訳なさそうな、過去の自分を責めるような、柊くんの声音。 「なってる……と思う」 「なってたら、忍、こんな風に泣かないだろ?」 おでこにおでこがコツンって、もう一回、当てられた。 ボロボロに泣いちゃって、ブサイクな顔───こんな間近で見られちゃったら、柊くんに嫌われるっ! 慌てて顔を伏せて手の平で覆い尽くした僕の、手からはみ出した耳にフッと吐息を感じた。 「見られんの恥ずかしい?か~わい」 恥ずかしいんじゃない、可愛くない、2つの意味で首を振る。 「ううん、じゃないの。可愛い忍は、こっちに来なさい」 柊くんは、よっ、と掛け声を発しながら隣に座る僕の体を抱き上げて、正面から膝の上に座らせた。 「寒くない?」 背中を労るように優しく擦ってくれる。 シャワーを浴びている間にすっかり温まっていた空調の効いた部屋では、裸でいても寒くはない。 …んだけど、背中を撫でる手の平が心地好くて……。 その首にスリ、と頭を擦りつけた。 「なんで服脱いでるの?俺、忍の裸見ちゃうと、堪んないんだけど」 「……舐めて欲しい?」 ちょっとだけ、顔を上向かせて様子を覗く。 「そりゃ舐めて欲しいけど、忍が嬉しくないんだったら舐められてもしょーがないだろ?」 嬉しくないわけが無いのに。 さっき僕が泣いちゃったから、嫌がってるんじゃないかって思われちゃったのかな? 「俺さ、美味しそうに、エロい顔して一生懸命咥えてる忍が好き。そんな忍見てるとスゲー滾んの。だからさ、忍の気持ちが乗らないのに舐めさせても、ホントに気持ち良くはなれないだろ?」 柊くんは僕の肩を掴んで、お互いの顔が見える距離に体を離した。 そして、その柔らかな声とは異なる少しこわばった表情で、僕の瞳をじっと見つめてくる。 「先に解決しよう。忍の中にわだかまってる事」 いい子だから全部話してごらん、と───子供をあやす声でそう言われれば僕は催眠術にでも掛けられたかのように、震える唇を小さく動かしたのだった。

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