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62.可愛い【柊一Side】
「忍、好き…好き…」
何度も好きと言いながら、忍の首筋に唇を押し当てる。
それだけでゾクゾクするのか、忍は時折声を漏らしながら必死に俺にしがみついてビクビクと体を震わした。
「きもちい?」
あれ以来初めて、幸せそうな涙を零して、うん、と頷く。
その答えに調子に乗った俺は、忍の耳をはむんと噛んで、その穴の中に舌を忍ばせた。
「あぁんっ」
ああ……これだよ、これ…。
「ほんと、感じやすくて可愛い」
感情があふれ出して言葉になる。
けど、その言葉が恥ずかしかったのか、忍は身を捩って俺の舌から逃げ出すと、潤む瞳で俺を睨みつけた。
「キス…しないって言った…。口当たってたら、キスじゃないの?」
今まで俺に文句なんてほぼ言ったこと無かったのに……
反抗的な忍も、可愛いなぁ…!
「口と口が当たんなきゃキスには換算しません」
唇に指を当てて蠱惑的に笑ってやると、真っ赤に染めた顔を横に向ける。
露わになった首筋に、カプリと噛り付いた。
「ひやぁんっ」
だから、それな。いちいちビクビク体跳ねらかしちゃって、か~わいいの。
次言ったら必死に我慢しちゃいそうで勿体無いから口には出さないけど。
まあ、快感に抗う忍ってのも可愛いから、必死に我慢しちゃう姿も………
もう、なんでも可愛いからいいか!
照れようが嫌がろうが、言いたいこと言いまくってやる。
俺の罪深さには敵わねぇけど、俺の深~い愛情を疑った忍への、これは罰だ。
俺の「可愛い」攻撃を食らいやがれ。
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