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69.癒し【柊一Side】
ちゅ…ちゅ…と時々キスで音を鳴らしながら、忍の顔に掛かったモノを全部舐めとった。
「ごちそうさまでした」
両手を合わせてニヤリと笑ってやると、忍は目を数回瞬かせて、やがて呆れたように小さく笑った。
…やっぱな。忍は笑ってんのが一番可愛い。……いや、快感に震えて泣く姿も捨てがたいが。
けど、忍の心情を考えると、笑顔が一番だろ。
願わくば、心から幸せって顔して笑って欲しい。
その為にはもっと、俺が信じさせて安心させてやらなきゃなんだよな。
1.いつでもどこでも思った時に好きだと伝える
2.忍を最優先する
3.元カノの影をチラつかせない
……ってーこれ、記憶失う前もフツーにやってたことじゃねぇか。
そんでも忍を不安にさせるとか、俺どんだけ信用ねぇんだよ……。
も~~~っ、このバカ男俺!!
ごめんな、忍!!
「あーっ、もう!忍、好きだーーっ!!」
「っ…!?」
突然叫んで抱き着いた俺に、忍は驚いたわりにすぐに順応し、抱き返して背中をポンポンと叩いてくれた。
その優しい感覚にホッとする。
色白で華奢、だけどいくら可愛くても、忍は男だ。
女みてーに柔らかいマシュマロ乳が付いてるわけでもねぇし、尻もきゅっと締まってる。
力入れなくても曲げりゃー腕の力こぶも多少は浮かび上がるし、目立たないが喉仏も僅かにある。成人男性にしちゃあ、声高っけぇけど。
腰は細ぇし、肌は艶々のさらさら、それでいて触れればしっとりと吸い付く弾力。
…いやいやいや、つまり何が言いたいのかっつーと!
こうして抱きしめてひっついてるとさ、
「…はあぁ……、きもちいー…」
感触からサイズから、匂いにぬくもり、忍のすべてに癒される。
男とか女とか関係無く、忍だからそう感じるんだ。
忍だから、こんなに愛しいんだ。
「んっ…」
なのに忍は何故かもぞもぞ、俺の腕の中から抜け出そうと体を捩る。
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