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83.サーバルキャット【柊一Side】
サークルの学祭の準備に参加して、終わったのが午後7時。
皆で飯食い行こうって誘いを断って、電車でふた駅、駅近のビルに足を進めた。
サークルに入ってない忍はとっくに家に帰ってて、今夜はローズで待ち合わせ。
家まで迎え行くっつったんだけど、会える時間が短くなるから1人で行くって断られた。
その忍はまだ現れない。
俺の両隣にはツッキーと、こっちも常連のよーちゃん。
よーちゃんこと遙 さんは、色っぽい美人系だ。勿論男だから、色気と美人の無駄遣いだけど。
よーちゃんの横に座った長原(忍のこと狙ってるタチのヤツ)は、可愛いネコちゃんに挟まれてて羨ましい、とか冗談かましてくる。けど………
ツッキーとよーちゃんの共通点は、同い年ってことだけじゃない。
強気で暴力的(ツッキーに限っては何故か俺にのみ)。
つまり俺は、ネコに囲まれてウハウハのタチなんかじゃなくて、2体のサーバルキャットに牙を向けられた可哀想な野ネズミってトコだろ。サーバルキャットってーかサーベルタイガーってーか。
そもそも俺、忍以外の男はどーでもいいし。
可愛いネコ、美人なネコ、どっちにしろ性的キョーミはありません!
「あっ、そう言えばさ、忍くんが学祭誘ってくれたんだー。悠さんと一緒に行くからサービスしろよ。秦野のサークルって何すんの?」
「はあ!?やだよ、来んな」
「むっ。お前に誘われたんじゃないし。忍くんが誘ってくれたんだもん」
ツッキーが頬を膨らませば、
「えー!僕誘われてもねーし!秦野~!今すぐ僕のことも誘え!誘わねーとち〇こ蹴っ飛ばすぞーっ」
よーちゃんも口を尖らせる。
「ツッキー誘ったの俺じゃねーし!」
あーっ、もう!ゲイのヤツ相手ならともかくな、男のそんな姿、俺からしてみたら別に可愛くもなんともねーっつーの!
「感じ悪いぞ、秦野。忍くんにフラレちゃえ」
「そーだそーだ!しのちゃんにフラレろ」
「ばかか!二度とフラレねーわっ!」
縁起でも無ぇ!なんだこの口の悪いネコ共は!!
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