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88.ソファーでイタズラを【柊一Side】
年上の優しい友達に、言葉以上に感謝して。
2人掛けのソファーではあるけど、脚を広げて真ん中にドカリと腰を下ろして、その間に忍を座らせた。
背中から抱き締めて、細っこい肩に顎を乗せる。
「…ちょっと緊張するね」
初めて座る特別な席に声を震わせる忍の胸に手を這わせれば、その心臓はどきんどきんと通常よりも大きく脈打っていた。
いつもよりも少し熱を帯びた身体から、忍の甘い香りがふわりと漂った。
「……なあ、キスまで可ってさ、何処にしてもいいってコトかな?」
柔らかくて艶やかな黒髪に顔を埋めて、白い項に口付ける。
ちゅ…とワザと音を立てれば、忍は敏感に反応して首をきゅっと竦めた。
「しゅ…くぅん…」
「ん?きもちい?」
首筋に舌を這わせながら、布の上からクニクニと小さな突起を刺激する。
忍は困ったように、だめ、と言いながら、太ももをそっと擦り合わせた。
「感じちゃったね」
「んーん…、感じてないっ」
こんなビクンビクン身体震わせてるくせに、感じてないって……
それさ、俺みたいな男にそんな事言ったら、何がなんでも「きもちいい」って言わせてやるって思わせちゃうって、気付かないもんかね。うちの子は全く、無防備ってーか。
「じゃあ、もっと気持ちいいこと、しぃの体にいっぱいしちゃおう」
「えっ、…やっ、だめっ」
「こら」
パシ───と、忍の脚間に伸ばした手は、意外な伏兵によって叩き落とされた。
「秦野くん、それ以上はお家に帰ってからにしてください」
ね?と輝く笑顔で覗き込んできたのは、マスター・リュート。フォー〇の遣い手……じゃねーけど、とにかくヤベェ人だ。
すみません…、と小さく答えると、綺麗に微笑んで……どうやら許されたらしい。
そうしてる間に、忍はするりと膝から下りて、ソファーの俺の左側、開いてる隙間に座ろうとする。
避けてやるとちょこんと腰を下ろし、そして何故かマスターに礼を言った。
「ありがとうございます、マスター」
って、俺から助けてくれてありがとう、か?
それはちょっと感じ悪ぃんじゃねーの?忍。
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