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第2章 第8話 通じ合う気持ち***
*R18要素あり。背後にご注意ください。
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「ぁあ匂いが濃い……甘い甘くて堪らない……」
亜紀良のバリトンが耳を侵食する。脳髄から腰にクる。
「んぁ……あきら……っ」
亜紀良が俺の首筋に顔をうずめた。深く息を吸い込むと今度はアルファのフェロモンの濃度が増した。甘くて刺激的で理性がすべて飛んでしまうほどの……。
「ぁ……欲しい。はや……く」
身体の奥が疼く。早く繋がりたくて仕方がない。俺は腰を摺り寄せて早くとこの先をねだった。亜紀良の手が後蕾を弄ると期待でビクビクと身体が震える。
「ぁ……ぁっん」
「っ! こんなに濡れて……僕の事を考えててこうなったんか?」
「んぁ。……っ」
そんな言い方をするなんて余計に興奮してしまう。オメガの後蕾はアルファを誘うように自ら愛蜜をたらしその訪れを待ち望む。
「じゅん。もう僕だけのもんや。……覚悟してな。逃すことは出来へん」
かすれた声で俺の中をぐちょぐちょとかきまぜる指に感じて達しそうになる。
亜紀良の舌がうなじから鎖骨まで降りてきてじゅっと吸い上げられた。
「うぁっ」
「僕のもんやって証付けとかないとな」
ぢゅっぢゅっとキスマークをあちこちにつけられる。
「ここも可愛がってやろう」
胸の頂をつままれてぴりっとした刺激が走る。
「いた……」
「最初だけや。ちゃんと開発してやるから」
舌先でつつかれべろりと押しつぶすように舐め上げられる。くすぐったいような感覚が走った。
「あ……亜紀良」
前回は発情期で訳が分からないまま獣のように求めあったのでその時の記憶は曖昧で快楽を追うことしか考えられなかった。だけど今日はそうなる事を許さないかのように執拗にいたぶってくる。
「僕もじゅんも興奮してくると我を忘れてしまうからな。自我があるうちにこの身体に教え込みたいねん」
何を教え込まれるというのだろう。すでに身体は亜紀良を欲してるというのに。睨む様に亜紀良を見つめると苦笑する。
「あかんってそんなもの欲しそうな顔したら。今日はじっくり焦らしたいねん。僕のことをもっと欲しがって欲しい。そして体で感じて欲しいんや」
亜紀良の意地悪な言い草に抗議をするように僕はその唇と吸い上げた。下唇を甘噛みし舌を差し込むと強く吸われ絡め取られた。上顎をなぞられ舌の裏側を刺激されるとぼうっとしてくる。
身体から力が抜けると中の指の数を増やされた。
「はぁ……もっ……挿れて……」
興奮しきった俺が懇願するように亜紀良を見上げると、眉間にしわを寄せ指のかわりにそそり勃つモノをあてがわれた。
「じゅんっ!」
「ぁああああ」
一気に穿たれ嬌声をあげてしまう。だがそれも嬉しくて自分で身体をゆすり更に奥へ奥へと誘う。
「んっんっ……もっ……とぉ」
互いの気持ちが通じるだけでこんなにも幸福に感じられるものなのか。亜紀良とひとつになっている喜びで涙が溢れてくる。もっとどろどろになるまで溶け合いたい。
「ぁあもっとあげる。もう誰にも……触らせへん」
亜紀良の動きが早くなり、与えられる快楽に飲み込まれる。
「ぁあっ……イイ……イッちゃう……」
「じゅん……うねってる……っ」
亜紀良が腰を大きくグラインドさせると快感が突き抜け俺は白濁で二人の腹を濡らした。それでもまだ足りない。もっと愛して欲しい。
「亜紀良さ……すき……あ……きら」
「可愛いなあっもぉっどうしてくれよう」
深く口づけながらも亜紀良の動きは容赦がない。声にならない喘ぎを繰り返しながら俺はさらなる高みへと上り詰めて行った。
「んぅ……」
「大丈夫か? 気が付いたか?」
あれから何度も繋がり俺は気を失っていたようだった。亜紀良が心配そうに抱きしめていた。
「ぁ……けほけほっ」
叫びすぎたのが声が枯れている。亜紀良がコップを手に水を飲ませてくれた。
「つい、度が過ぎてしまったんや。じゅん君が可愛すぎて止まれへんかってん。腰は大丈夫か?ちょっとハードな体位もしてしまったから明日は筋肉痛になるかもしれん」
どんな体位や? 夢中やったから覚えてへんけど。きっと恥ずかしい体位やったんやろうな。じと目で亜紀良をみると苦笑する。
「じゅん君の身体が柔らかかったから。ついね。わざとやないよ」
「それ以上言わんでいい。恥ずかしくて隠れたくなるから」
「ふはは。可愛いなあ。どこに隠れても地の果てだろうか連れ戻しに行くけどな。もう逃がせへんから」
「……うん」
はたから見たらちょっと怖い事言うてるんやろうが、今の俺にしたら求愛に聞こえるから恋愛って不思議だ。
「庇護者の方々に俺は挨拶しに行かなくてもいいの?」
「もう会わせたくない。用事のある時で良いよ」
「それで亜紀良さんの仕事とかに支障はでないの?大丈夫?」
きっとあの裏にも表にも力がありそうな人達の協力があって亜紀良の仕事は順調に行ってるのではないだろうか?
「じゅん君っ。僕の事心配して言うてくれてるんか? 君はホンマに良い子やなあ……ごめん。大人って腹黒いんやわ」
「それぐらい。今ならわかるよ。俺を高塚の家から引き離してくれた時に自分の意思だけではどうにもできない事もあるんやなって感じた。父さんも本当はよそで子供なんて作りたくなかったと思うし、義母の手前、俺を籍に入れなかったんやと思う」
「じゅん君。僕が悪かったんや。あのとき、君を引き取った時、僕はホンマは囲ってしまいたかったんや。でもなあ、僕は自他ともに認めるほど執着心が強くてな。君を壊してしまうんやないかと怖くなった。君はまだ子供やったしな」
俺は亜紀良に抱きしめられたままうっとりとその声に耳を傾けていた。
「前も言うたけど僕の欠点は言葉で言われないと理解でけへんとこや。きっとじゅん君は僕の事を好きやとわかっていた。そこは疑ったことはない。でも、じゅん君の口からその言葉が聞きたかったんや」
亜紀良は嬉しそうにニヤけている。なんやこの人子供みたいやな。そうか賢すぎる人って子供のまま成長してない部分があるって聞いたけどひょっとして亜紀良さんみたいな人の事を言うのかな?
「海外の仕事もひと段落ついたんや。だからもう行かへん。後はここからチャットやメールで指示する。WEB会議もできるし。じゅん君と離れることのほうがデメリットが多いと気づいたんや」
「デメリット?」
「そうや。もう君の身体を知ってしまった以上、離れるのは辛すぎる。この甘美な体を忘れることは出来へん」
「身体だけみたいに聞こえる」
「すまん。身体も! 容姿も顔も。じゅんって存在自体が。そのまま全部が僕を捕えて離せへん。捕らわれてしまったのは僕のほうやったわ」
「亜紀良さんは口が上手い。また俺のこと騙そうって思ってない?」
「そんなに僕は信用がないか? まあこれは仕方ないな。これからは信用してもらえるように尽力するよ」
「うん。わかった」
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