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元彼3
どこから探そうかと思い今回はお金は持ってたはずだからと思い、真っ先に駅の近くにあるネカフェに行った。外にいるよりネカフェにいてくれた方が安心だから、そこにいて欲しいという思いがあって最初にネカフェにいった。
でも、ネカフェに行っても律くんの姿は見えなかった。
ネカフェには来なかったのか。それとも帰ったのか。
いや、そんなに長時間経っているわけじゃないから来たのにすぐに帰るということはないだろう。
とすると、どこか外にいることになるけれど、マンションからここへ来るまでには人の気配はなかった気がする。
それとも俺がネカフェに頭が奪われてて気が付かなかっただけだろうか。
ネカフェは駅のそばにある。まさかとは思うけど、電車に乗ってどこかへ行った? いや、今までの律くんの行動からするとそれはないように思う。ということは家の近所だ。
マンション内ということはないから、その近所。となると、昨日律くんを見かけた公園が頭に浮かぶ。どうかいてくれ。
公園以外で行きそうなところというと、俺が行ってくると言ったスーパーに行って入れ違いになった可能性はある。
公園に行く前に、念のためにスーパーに寄ってみたけれど、時間が経ちすぎていて当然のことながら律くんの姿はなかった。
となると公園だろうか。昨夜いたから、いる可能性は高い。早く律くんを見つけたくて走って公園まで行く。
少しでも早く律くんを見つけたくて、足がもつれそうになりながらも急いで走る。こんなに必死に走るのは社会人になってからはない。
目当ての公園は少し奥まっていて、通りからは手前のベンチかブランコしか見えない。奥の方は通りからは見えず危険だ。
さっきネカフェまで行くのにこの道を通ったけれど、人の気配はあっただろうか? もし律くんがいたのなら俺に気づいて声をかけてくれたと思うのだけど、それも入れ違いだったのだろうか。
通りから見えるベンチとブランコには律くんの姿は見えなかった。もしかして、もう帰ったんだろうか。それなら本当の安心ではないけれど、とりあえずいい。でも、そうでないのなら見つけなくては。
律くんはもう大人だ。しかも男だ。守ってあげなければいけない存在じゃない。でも、心配なんだ。好きだから。
公園の中に足をやり、奥まで目をやる。やはり姿は見えない。俺が買い物に行っている間に彼から連絡があり帰ったのだろうか。もう諦めて帰ろうか。
そう思ったとき、奥の草むらから悲鳴のようなものが聞こえた気がした。
よく目をこらすと、草や木が揺れているように見える。誰かいるのだろうか。
まさか青姦してるんじゃないだろうな、と思いながら声をかけて近づく。
「誰かいるんですか?」
そう声を発すると、揺れていた草や木がピタリと止まった。
声に反応したということは、人がいるということだ。ほんとに青姦じゃないだろうな。そんなところ見たくもないし、相手も見られたくないだろう。
そう思っていると、人の悲鳴のようなものがまた聞こえた気がした。それはほんとに小さくて、耳をすましていても聞こえるかどうかの小さなものだ。
「……助けて!」
今度ははっきりと聞こえた。すると、その声に続く声があった。
「静にしろ!」
「……んぅ!」
明らかに人がいるし、その声の内容からするにいい想像はできない。声のする方へと急いで行き、先ほど揺れていた草を払うと、そこには数人の男に押さえつけられて口を塞がれ、服の乱れた律くんの姿があった。
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