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② 咲磨 視点

「いや…、合格だったけど。聖も同じ高校受けてた」     「え?あんた、知らなかったの!?てっきり同じ志望校だから2人とも張り切ってるんだと思った。聖くんは特進科って聞いたけど、どうだったのかしら」     「聖も受かってたって」   「あら!よかったじゃない!聖くんのお家も誘って、土曜日に合格祝いでもしようかしら!咲磨も予定空けておいてね」     「うん…」     はたして、聖が同じ高校を受験したのはたまたま何だろうか? それとも、俺に合わせた?   後者だった場合、俺は期待してしまう。   でも、ふと思い直した。 聖は人見知りで新しい友達を作るのが怖いから、友達要因で俺と同じ高校にしたのではないか? 学科は違うわけなので、聖への片思いを捨てられるように、少し距離を置こう。     それから、入学式までは、たまに連絡を取ったり、合格祝いをしたり、卒業式があったり、今までの友達としての距離のまま俺たちの中学時代は幕を閉じた。     それから、無事、同じ高校に入学し、事前に約束していた通り(聖から提案してきた)一緒に登校する。 初日は「はぐれたら怖いから」とか言って、手をつないできた。 「いや、さすがにそれは…」と断った。   すると聖はしゅんとして俺の制服の袖をつかんだ。 正直、電車内を見渡す限り、同じ制服の人が多く、それすらもお断りしたい気持ちだったが、あまりに聖が可哀想に思えたのでそのままにした。   昼御飯の時も聖は弁当を持って、わざわざ普通科の俺のクラスまで来る。 さすがに申し訳ないのと、クラス中の視線が痛いので(なんでこいつ、こんな美形と飯食ってんの?という圧)、普通科と特進科の教室の間にある中庭で食べることにした。   のが、いけなかったのかもしれない。 他学年からも聖は”超絶美人な1年生”と噂されるようになり、瞬く間に呼び出されて告白されるようなモテ繁忙期がきてしまった。   「もう、やだ」   半泣きで聖が愚痴を溢す。 朝の電車は死ぬほど混んでいて、聖はふわふわの頭を俺の肩にのっけて言った。   「ごめん。俺が中庭に行こうなんて言ったから」   「咲ちゃんは悪くないよ。遠いから気を使ってくれたんでしょ」     いい加減、高校生にもなって「咲ちゃん」は辞めてほしかったが、最近の聖の落ち込み様を見ると言いにくかった。 おまけに、今日は爆弾を落とさなくてはいけない。   「あのさ、登校なんだけど…、俺、来週から朝練始まるから一緒に行けないかも」   「え…?」   「春に地区予選もあるし、そこから県とか関東大会とか…、うち強豪だしインハイも行くかもしれない。1年だから、試合は出れないかもだけど、練習はいかなきゃ」   「やだ!!」   とうとう、聖は泣き出した。 廻りの視線が痛い。 なにせ、屈強そうな男子が線が細い美形の男子を泣かせているのだ。

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